EMMはあらゆるデバイスの管理ツールへ
自販機やATMも「iPhone/Android管理ツール」で管理できるようになる?
スマートフォンやタブレットの管理に利用されてきたEMM製品は今後、管理対象の拡大が進むと見込まれる。その対象はクライアントPCだけではなく、身近な組み込み機器に及ぶ可能性がある。
モバイルデバイスやコンテンツ、アプリケーションまで総合的に管理するエンタープライズモバイル管理(EMM)ベンダーは2013~2015年にかけて、モバイルデバイス管理(MDM)からの転換をうまく図ってきた。だが、まだやるべきことはある。
エンタープライズモバイルソフトウェア業界で、EMMが世間に最も周知された製品分野であることは、紛れもない事実だ。同時に最も競争が激しい製品分野でもある。EMMの国際市場は引き続き好調で、2016年には勢いを増すだろう。年間成長率は17.7%であり、2014年に12.7億ドルだった市場規模は、2019年には28.5億ドルになると米調査機関のVDC Researchは予測する。
差異化が難しくなったEMM市場
市場が成熟するにつれて、ベンダーの統合も進んでいる。Citrix SystemsやDell、Google、IBM、Microsoft、Oracle、SAPは、各社のモバイル戦略を増強するために主要EMMベンダーを買収してきた。EMM市場は2016年に、その進化における次の大きな段階を迎えることが予想される。それは、さらなる統合と各種エンドポイントのサポートだ。
EMM市場の競争によって、幾つかのベンダーはビジネス戦略を変えることになった。Good Technologyは2015年に計画していた新規株式公開を延期したが、最終的にはBlackBerryによって買収されている。Dellは自社のソフトウェアグループを再編したが、EMM製品への影響はほとんど見られなかった。
SAPのエンタープライズモバイル製品/サービスも手探り状態のように見える。SAPは「Afaria」ブランドで展開していたMDM製品を「Mobile Secure」として再ブランド化。合わせて組織改変でモバイルチームをテレコミュニケーション組織に統合している。
主要ベンダーは、EMM市場で進歩を遂げている。例えばIBMとMicrosoftは、デバイスメーカーやセキュリティベンダーなどのパートナーと密接に連携する方法を模索している。全ての関係者が研究開発の予算を拡大し、製品の革新サイクルを短縮化している。
IBMとMicrosoftは、それぞれ「IBM MobileFirst」と「Microsoft Intune」を市場に投入し、EMM市場で確固たる地位を確立している。偶然にもIBMとMicrosoftはそれぞれ、従来のエンドポイント管理製品である「IBM Endpoint Manager」「Microsoft System Center Configuration Manager」をEMM製品と徐々に融合させている。
EMMベンダーにとって差異化は難しくなっている。その主な理由は、IT部門が管理しなければならないモバイルOSは一般的にAppleの「iOS」とGoogleの「Android」の2種類しかなく、その管理機能に多様性を持たせる余地は、ほとんどないからだ。EMMベンダーが将来的にグローバルな市場シェアを拡大するには、付加価値再販業者やシステムインテグレーター(SIer)とのパートナー関係を継続することが重要になるだろう。
競争は管理対象の豊富さへ
iOSとAndroidは優勢だが、多くの企業は各種デバイスを所有している。そのため、IT部門にとっては、複数の種類のOSとデバイスを柔軟に管理できるツールを実装することが重要になる。
筆者は、EMMベンダーが多種多様なエンドポイントを管理する機能の開発に重点を置くようになると予想している。これには、ATM(現金自動預払機)やキオスク端末(店舗内情報端末)、自動販売機、パーキングメーター、レジスターといった組み込み機器も含まれる。EMMに焦点を絞っている小さなEMMベンダーにとって、この転換は容易でない。ずっと規模の大きい次世代のエンドポイント管理ベンダーと、真っ向から対決することになるからだ。
企業がモバイル端末をより適切に管理し、コンプライアンスを維持する上で、EMMが前進するために重要な部分を担うと考えられるのがID管理だ。米国のヘルスケア業界や行政機関に課されているモバイルデータに関する法規制では、データの厳密な保存場所やデータの転送者、暗号化レベルを企業が把握することを求めている。
例えば、HIPAA(米国における医療保険の相互運用性と説明責任に関する法令)では、保護されるべき電子医療情報(ePHI)に対して厳格なセキュリティの要件を定めている。モバイルデバイスはパスワードで保護されていなかったり、許可されていないネットワークに接続していたりすることがある。そのため、ePHIの不当な開示は、モバイルデバイスにおいて大きなリスクとなる。
EMMベンダーは、自社製品のセキュリティ機能強化についてID管理ベンダーを当てにしている。こうしたID管理ベンダーには、例えばCentrifyやOkta、Ping Identityなどがある。だがEMMベンダーはこの戦略を取りやめて、組み込み機器向けの機能を開発し、より適切なIDとアクセスの制御機能を提供するようになると予想する。
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