今度こそ会計業務のペーパーレス化【第1回】
電子帳簿保存法改正、スキャナー保存できる文書とは?(2/2 ページ)
電子帳簿保存法のこれまでのルール、これからのルール
電子帳簿保存法が対象とする文書の「保存場所」については、従来通り以下のルールが今後も適用される。
- 国税関係帳簿、国税関係書類(決算関係書類)については、納税地に保存
- 国税関係書類(取引関係書類)、電子取引に係る電磁的記録においては、納税地または国内の事務所・事業所などに保存
対象文書の「保存期間」については課税文書の保存期間に合わせて最大9年だが、今後10年超への延長が予定されている。次に、2015年の改正により、2016年1月以降から可能になった要件を説明する。
スキャナー保存の要件緩和
1つ目は「スキャナー保存の要件緩和」だ。今回の改正の目玉であり、具体的には次の2点がある。
- 国税関係帳簿にかかわる「電磁的記録などによる保存制度の承認」を不要にした
- スキャナー保存の際に必須とされていた「電子署名」を不要にした(ただし、入力者を特定する対応は必要)
特に電子署名を不要にした点は事務的な負担を大きく削減することが期待される。なおこれらの緩和が行われた半面、事業者は「適正事務処理要件」を満たす必要がある。すなわち、書類の状態で不正がなされていないことを運用面で担保する仕組みを手当てする。具体的には、不正防止や適正な事務処理について文書で定めた社内規定や業務マニュアルをもとに「国税関係書類の電磁的記録によるスキャナ保存の承認申請書」と一緒に、実務開始の3カ月前に提出する必要がある。
金額基準の廃止
2つ目は「金額基準の廃止」だ。これまでは国税関係書類については「3万円未満」に限定していたが、「全て」の書類をスキャナー保存することを可能にした。
適時入力方式に係る要件の緩和
3つ目は「適時入力方式に係る要件の緩和」だ。具体的には、
- スキャナー保存時に必要としていた「書類の大きさ情報」の保存を不要にした
- 白黒階調(グレースケール)によるスキャンも許可した
これらの緩和により、以下の「取引関係書類」をスキャンして保存し、紙の書類を廃棄する運用が可能になっている。
- 会社が発行した契約書、請求書、見積書、領収証などの写し(データが存在し、紙も存在するもの。金額基準がなくなり、電子署名も不要)
- 会社が受け取った契約書、請求書、見積書、領収証など(紙しか存在しないもの。金額基準がなくなり、電子署名も不要)
| 種類 | 書類の例 | 保存形式 (データ) |
保存形式(紙) | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 国税関係帳簿 | 仕訳帳、総勘定元帳、補助元帳 | ● | ― | |
| 国税関係書類 | 決算関係書類:貸借対照表、損益計算書、棚卸表など | ● | ○ | ※1 |
| 取引関係書類(自社から取引先へ):契約書、見積書、注文書、請求書など | ● | ● | ||
| 取引関係書類(取引先から自社へ):契約書、見積書、注文書、請求書など | ― | ● | ※2 | |
| 電子的取引における電磁的記録 | 注文書、契約書、送り状 | ○ | ― |
●赤丸:事前申請することで、データのみの保存ができる
●青丸:事前申請することで、スキャンしたデータを保存できる
※1事前申請でデータの保存ができるが紙の保管も必要
※2紙で受領することが前提条件にある。実際はデータで受領しても紙印刷して保存したものが正とされる
スキャナー保存における要件
国税関係書類をスキャナー保存する場合、以下の5つの要件を満たす必要がある。
- 真実性の確保(スキャンした書類が真実であることを保証する)
- 見読可能性の確保(一定の品質をもって書類を保存する)
- 関係書類の備え付け(スキャナー保存に利用しているシステムの概要や操作説明書などの関係書類を備え付け、それらを管理運用する内部統制の仕組みを保持する)
- 相互関連性の確保(書類と帳簿の相互において一定のキー情報などをもとに書類の記録事項を容易に確認可能にする)
- 検索機能の確保(年月日や取引金額といった検索キーによって取引情報を任意に検索可能にする)
これらの要件のうち、特に「真実性の確保」においては要件が大きく緩和された半面、スキャナー保存するための環境要件が厳格に定められているので注意が必要だ。具体的には以下の対応が求められる。
- 書類を作成または取得した後に速やかに入力すること(発生の都度入力することが基本となるが、業務サイクルの後もしくは適時なタイミングで過去分をまとめて入力することも可能)
- スキャナー入力装置の信頼性の確保(スキャン機器の形状、性能、入力方法などを規定。データ訂正履歴の保存も必要)
- 信頼のおけるタイムスタンプ局(TSA)によって生成されたタイムスタンプを付与する
次回は、スキャナー保存作業を経理業務フローにどのように落とし込むか、またスキャンに必要な環境整備などについて解説する。
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