「利便性」と「安全性」の両立を実現
スマホやタブレットの活用、“二兎”を追わない企業は失敗する
モバイルワーカーは会社のデータにアクセスする必要があるが、オープンアクセスの実現は簡単ではない。企業はユーザーからの要望とモバイルセキュリティへの不安とのバランスを取らなければならない。
モバイルデータアクセスを提供するためには、IT部門は典型的な難問に打ち勝たなければならない。一言でいえば、ユーザーからの要望とデータセキュリティに対する不安をうまく両立させることである。セキュリティの側面から見れば、IT部門は可能な限りアクセスを制限したいところだ。しかし、オープン性やユーザーエクスペリエンスの側面から考えれば、データは可能な限りアクセス可能であるべきである。この2つは真っ向から対立するように見える。だが、ありがたいことに実はそうでもない。
全てのデータに同しレベルのセキュリティが必要なわけではない
このジレンマに打ち勝つには、事業部門の利害関係者に加え、実際にそのアプリケーションを利用する人々の代表や、セキュリティ担当者、法務部、人事部、ITチームから横断的にスタッフを集め、1つのチームを編成する必要がある。そして、安全なモバイルデータアクセスの提供を目指すプロセスの初期段階において、それらの人々が相互に話し合い、意見を交換することが肝要だ。
モバイルデータセキュリティは最後に取っておくべきものではない。むしろ、意思決定プロセスの初期から重要な検討事項として取り扱うべきだ。少なからぬ時間と資金をプロジェクトに投じたにもかかわらず、最初から考えておけば簡単に解決できたデータセキュリティ問題のために、結局土壇場でお払い箱にしてしまう。こういった状況は珍しくない。コンプライアンスと安全を維持するための最低限のセキュリティニーズを洗い出し、その制約の中で可能な限りユーザーフレンドリーなアプリケーションを提供するために、チームメンバーを集め、さまざまな課題に取り組まなければならない。
全てのデータが必ずしも同等ではないという点を理解しておくことが重要だ。同期・共有サービスを利用するアプリケーションの多くは、基本のコラボレーションを提供することが目的であり、そこではセンシティブデータ(慎重な取り扱いが求められる情報)がやりとりされることはない。このようなデータの安全性を確保するには、単純な認証手法やセキュリティレベルで十分だ。その次の段階になると、機密性の高い情報が含まれる。そうした機密データには、何かしらの多要素認証や資格証明ベースの認証技術が適しているだろう。通常はこの段階からモバイルコンテンツ管理(MCM)ツールを導入する。このツールはもともと機密情報の取り扱いに非常に優れている。どのデータを共有するか、誰と共有するかなど、より細密なコントロールが可能だ。
法律で規制された情報や、給与データなど高度にセンシティブな情報を含むものは、さらに強固なセキュリティが求められる。その場合、通常は最高レベルのセキュリティを適用するのが望ましい。多要素認証に加え、情報漏えい防止(DLP)ツールの導入も必要になるだろう。その結果、IT部門はクラウドベースの同期サービスから離れ、中央管理型のMCMシステムへの移行を加速するはずだ。法律で厳しく規制された業界向けの選択肢は最初から限定される。
留意すべきは、現在市場に非常に多くのアプリケーションが存在し、さらに毎日のように新製品が登場しているが、全てのシナリオに適した万能ツールは存在ないという点だ。会社はまず目標を定め、利害関係者と話し合うことに時間と労力を投資しなければならない。そして、他部門にまたがるチームを編成してプロジェクトに取り組む必要がある。モバイルデータセキュリティとユーザーエクスペリエンスとのバランスを取り、どちらも犠牲にしてはならない。モバイルデータアクセスを最初からアプリケーション開発プロセスの一部として扱えば、他のモバイル戦略と同様に成功させることができるだろう。
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