包括的なモバイルセキュリティ研修が不可欠
「iPhone」をパスワード未設定で放置させない方法
モバイル端末のセキュリティを脅かす要素はあらゆる場所に存在する。従業員には自分の身を守る訓練をしてもらうことが大切だ。
IT部門にとってセキュリティの方程式を解くことは困難だ。モバイル端末の流入で、事態はさらに複雑化している。業務上重要なアプリケーションとデータが入ったモバイル端末はあらゆる場所に存在し、企業をかつてないほどのリスクにさらしている。たった1人のユーザーがパスワードを設定していないスマートフォンを放置しただけで、全社的な不正侵入事件に発展しかねない。
本稿ではITガバナンスについて企業に助言する専門団体ISACA(情報システムコントロール協会)の役員、エディ・シュワルツ氏にインタビューし、現代のモバイルセキュリティを脅かすリスクについて語ってもらった。シュワルツ氏はデジタル広告市場のサイバーセキュリティを手掛けるWhite Opsの最高執行責任者(COO)だ。モバイルセキュリティ研修の重要性と、避けるべき重大な過ちについて解説する。
併せて読みたいお勧め記事
Apple vs. FBI
- MSがプライバシー保護でAppleを支持、「地獄への道はバックドアから始まる」
- Apple ティム・クックCEOが裁判所の命令を拒否してまで守りたかったもの
- 「Apple vs. FBI」で起こり得るプライバシー懸念にCIOが震えている
モバイルデバイスのコンプライアンスに苦心するIT管理者
従業員の意識向上が不可欠
―― 現代のセキュリティを脅かす筆頭の脅威とは。
シュワルツ氏 従業員が自分のモバイル端末に適切なセキュリティ対策を講じていない状況がそれに当たる。パスワードを設定していなかったり、基本である4桁の暗証番号を使っていなかったりするモバイル端末が存在する。他人が触れることのできる場所にモバイル端末が放置されることもある。適切なセキュリティ設定と、モバイル端末に対する適切な行動について、従業員の意識を高めてもらう必要がある。
犯罪者が「トロイの木馬」をはじめとするマルウェアのインストール方法を見つけ出し、従業員に正規の機能を提供しながら別のプロセスに介入することもあり得る。その被害はさまざまで、一部のOSではサービスやプロセスがインストールされ、端末のデータが盗まれたり消去されたりする。たとえマルウェアがインストールされないとしても、従業員の端末が突然自分で制御できない状況に陥ることもある。
現在、世界の主要メーカーは半年から9カ月ごとに、同じスマートフォンの新しいバージョンをリリースしている。アプリは場合によっては数日ごとに自動で更新されるものもある。われわれはそうした更新の実際の内容を十部に理解できているわけではない。
企業にとって、従業員が利用するIT製品を統制することは非常に難しい。例えば従業員に対して、Samsung Electronicsの「Galaxy S7」やAppleの「iPhone 6s」の利用を本当は許可していない、といったことを言い出しにくくなっている。この世界は変化が速く、セキュリティ対策の方を現状に順応させる必要がある。
―― 急速な変化に追い付くために、ITプロフェッショナルがすべきことは何か。
シュワルツ氏 職務内容に応じた包括的なモバイルセキュリティ研修を実施することが重要だ。その上で私物端末をはじめ、あらゆる端末で会社の資産を守るためになすべき対応を取る必要がある。企業にとって大切なのは、従業員に情報を提供し、最善のセキュリティ対策を講じるよう継続的に促し、対策は単純なものにとどめておくことだ。
われわれは誰もが自らの安全と安心に責任を負っている。危険な地区に住んでいるにもかかわらず、玄関も窓も施錠しない状態では、自分の身に何も起きないと想定することは難しい。インターネットは必ずしも友好的な場所ではないことを認識すべきだ。少なくとも犯罪者を招き入れて盗みを働かせることがあってはならない。
セキュリティチームは基準を設定してそれを監視、徹底しなければならない。セキュリティチーム自らがリスクについて知識の習得に努める必要がある。多くの場合、従業員が使うモバイル端末は規制できないし、基盤のOSも管理できない。モバイルアプリの多くは市販アプリであり、それらが基にしているセキュリティ原則は疑わしい。モバイル端末のためのセキュリティ戦略を継続的に検証する責任は、われわれ全てにある。
―― モバイルセキュリティに関して、IT部門が犯しがちな最大の過ちは。
シュワルツ氏 モバイルセキュリティをデスクトップセキュリティと同じように扱うと、多くの判断を誤ることになる。もう1つの過ちは、自分で何もかも制御できていると思い込んでしまうことだ。自分がやるべきことが分からなければ、重点を置くべき分野について真の専門知識を持つパートナーを見つける必要がある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[フォーティネットジャパン合同会社] 複雑化しがちな「SASE運用」 IT・医療・金融などの事例に見る導入成功の秘訣 -
製品資料
[フォーティネットジャパン合同会社] 「SD-WAN」導入で失敗しないための5つの重要事項 -
技術文書・技術解説
[フォーティネットジャパン合同会社] VPNの代替候補「ZTNA」を理解できるようになる“3大要素”とは? -
事例
[フォーティネットジャパン合同会社] すぐ分かる「SD-WAN」選定のポイント 成功企業はどんな成果を出した? -
製品資料
[SCSK株式会社] 「Dropbox」管理・運用の困りごと解決ガイド
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
2
PHP脆弱性「PHP2Shell」で2260万件に影響 情シスの緊急チェックリスト
-
3
Microsoft月例パッチ1400件超で過去最多 「限界点」を迎えたパッチ管理
-
4
「Microsoft 365」が乗っ取られる MFAを破る“本物の画面”の恐怖
-
5
「エージェントを作るな、スキルを作れ?」 Anthropicが提唱するAI運用の勘所
-
6
RAGで「データをAIに送る」運用が限界を迎えている理由
-
7
なぜ人はいるのにDXが進まない? ライオンも直面した“老害”レガシーシステム
-
8
生成AIが普及しても「技術書」を手放せないエンジニアの本音
-
9
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
10
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
3
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
4
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
5
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
6
AI駆動開発のスピードと安全性を両立 「品質・セキュリティ管理」の実践ガイド
-
7
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
8
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
9
「標的型攻撃メール」事例・サンプル集
-
10
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー