IT部長さんのための技術トレンド【第8回】
1回で分かる:仮想マシンを丸ごとバックアップする「VADP」の仕組み(2/2 ページ)
VADPバックアップの動作フロー
それでは、バックアップ動作の説明に移っていこう。下記が動作フローである。
1.バックアップサーバがvCenterサーバに対し、仮想マシンのスナップショットを要求する
2.仮想マシンのスナップショットが作成され、VMDKファイルへの書き込みが停止する
3.バックアップサーバへVMDKファイルを転送し、バックアップストレージに格納する
4.仮想マシンのスナップショットが削除され、元の状態に戻る
次に、詳しく見ていこう。
1.バックアップサーバがvCenterサーバに対し、仮想マシンのスナップショットを要求する
バックアップが開始すると、まずバックアップサーバがvCenterサーバに対しネットワーク経由で仮想マシンのスナップショット作成を要求する。
vCenterサーバが存在しない環境では、直接、ESXサーバに仮想マシンスナップショット作成を要求することになる。仮想マシンがWindowsで「VMware Tools」が動作している場合、スナップショット作成の前にVSSが実行され、データの整合性がとられる。
2.仮想マシンのスナップショットが作成され、VMDKファイルへの書き込みが停止する
仮想マシンのスナップショット作成が完了すると、VMDKファイルの書き込みが停止する。その後の変更データはVMDKファイルに関連付いたデルタファイルで管理される。
また、仮想マシン内に表2のプリスクリプト/ポストスクリプトを準備しておくことで、「スナップショット作成開始前とスナップショット作成完了後」に実行させることができる。ポストスクリプトは「スナップショット作成完了後」に実行され、「スナップショット削除完了後」に実行されるのではないことに注意してほしい。
| 仮想マシン | スクリプト | 説明 |
|---|---|---|
| Windows | パターン1: C:\Program Files\VMware\VMware Tools\backupScripts.d{br} パターン2: C:\Windows\pre-freeze-script.bat C:\Windows\post-thaw-script.bat |
パターン1では、左記フォルダ内のスクリプトが、スナップショット作成前後にアルファベット順で呼び出される。スナップショット作成の前処理では引数に「freeze」、後処理では引数に「thaw」が渡されて実行される。 パターン2では、スナップショット作成の前処理では「pre-freeze-script.bat」、後処理では「post-thaw-script.bat」が実行される |
| Linux | /usr/sbin/pre-freeze-script /usr/sbin/post-thaw-script |
スナップショット作成前にpre-freeze-scriptが実行され、スナップショット作成後にpost-thaw-scriptが実行される |
3.バックアップサーバへVMDKファイルを転送し、バックアップストレージに格納する
書き込みが停止したVMDKファイルをバックアップサーバへ転送しバックアップストレージに格納する。
初回のバックアップはVMDKファイル全体が転送される。ただしバックアップの取得サイズはVMDKファイルのサイズではなく、仮想マシンが実際に使用しているサイズになる。
また、CBT(Change Block Tracking)という仕組みで増分バックアップも可能だ。VMDKファイルにひも付いたCTKファイルがVMDKファイルの変更ブロックを管理しており、前回のバックアップからのブロック増分でバックアップできる。
さらに、バックアップ製品によっては永久増分バックアップが可能だ。増分バックアップデータを前回までのバックアップデータと合成し、フルバックアップデータを作成する機能である。これによって、初回のフルバックアップ以降は増分バックアップで運用できる。
バックアップデータの転送経路は、SANストレージの場合、SAN(FC、iSCSIネットワーク)経由でストレージから直接転送することが可能だ。
一方、ネットワーク経由では、vCenterサーバに登録されているESXサーバのホスト名で解決されるネットワークからバックアップされる。
ネットワークが複数ある場合に意図したネットワークで転送したい場合は、名前解決で調整する必要がある。もちろん、データストアが内蔵ディスク、SANストレージの場合でもネットワーク経由のバックップは可能だ。また、VSAN、VVOL環境については、2016年4月現在、ネットワーク経由でのみバックアップが可能である。
4.仮想マシンのスナップショットが削除され、元の状態に戻る
バックアップデータがバックアップストレージに格納されると、仮想マシンのスナップショットが削除される。スナップショット削除のタイミングで、デルタファイルがVMDKファイルにマージされ、VMDKファイルはもとの状態に戻る。スナップショットの削除が完了するとバックアップ完了だ。
今回は、VADPバックアップのバックアップ動作について詳しく解説した。VMware環境を構成するコンポーネントとバックアップサーバの関係や、動作や仕組みについて、具体的にイメージできるようになったのであれば幸いである。
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