「Windows Server 2016」を控え、激変する技術環境
Linuxとコンテナを受け入れるMicrosoft、Windows管理者は頭を抱えることに?(2/3 ページ)
トレバー・ポット氏
コンテナはWindowsシステム管理者にとって多くのことを意味するが、それはMicrosoftのライセンス体系に大きく依存する。
物事が適切に進めば、Windowsにアプリケーションがインストールする現在の方法はコンテナに取って代わるだろう。アプリケーションが必要な全てのファイルやレジストリのエントリ(ファイル)が、コンテナにしか存在しなくなるので、ライブラリやOSに関するデータが散乱せずに済む。アプリケーションをインストールするのに必要な作業はコンテナをコピーして登録するだけだ。アンインストールする場合は、コンテナの登録を解除して削除すればよい。今までWindowsにアプリケーションをインストールする際、アプリケーションをOSから切り離すことはほぼ不可能だったため、コンテナの活用は重要だ。開発者がMicrosoftのガイドラインに従わないため、Microsoftのガイドラインは絶えず変化している。また、コンテナ化されたアプリケーション間の通信はOSの内部メッセージバスではなく従来のネットワークを通じて通信される。つまり、ファイアウォールによる保護、検査、アプリケーション間レベルでのセキュリティ適用が可能だ。
Windows PowerShellさえあればよいと考えている人は少なくない。そのような人にとってはそれでよいのだろうが、Windowsシステム管理者の大多数が中小企業に属しGUIの方を好んでいる。Microsoftが過去数年間で実用性を証明したものよりもずっと優れたユーザーインタフェース(UI)が登場しない限り、Windows PowerShellはコマンドラインとスクリプト愛好者のみが採用することになるだろう。
現在コンテナは、社内アプリケーションを開発する自前の社内開発チームを持つ企業が、アプリケーションをパッケージ化する便利な方法として使用している。大規模な運用チームでコンテナが便利に働くケースがあるかもしれないが、そのような運用チームがMicrosoftの製品やサービスのみを採用しているという話は聞いたことがない。なぜなら、それでは採算が合わないからだ。
重要なのは、コンテナが決して仮想化の代替ではないということだ。もしそのように主張する人がいればコンテナについて理解していないといえる。コンテナがアプリケーションをパッケージ化する方法の1つであるのに対し、ハイパーバイザーはOSをパッケージ化する方法だ。両者には大きな違いがある。
OSをパッケージ化する際には、環境を丸ごと包むことになる。この中には全てのライブラリやカーネルのバージョン、構成、監視、ネットワーク構成などが含まれる。OSには幾つもの稼働部分があり、1つでも調整すればアプリケーションの動作に大きく影響する。
一方コンテナは、多くはないが幾つかのネットワーク要素を保有できる。また、パッケージ化されたアプリケーションに関連するライブラリの幾つかを保持することもできる。ただし、パッケージ化されたOSのカーネルは含まず、その他の環境変数の多くはOSレベルで設定されたままだ。
例えば、同じ運用環境が必要な1万個のアプリケーションがあるとすれば、同じOSで1万個のコンテナを実行することになる。一方、8個の異なる環境で実行しなければならない1万個のアプリケーションがあれば、8種類のVMを実行して、それぞれに関連するOSのコンテナにアプリケーションを分類するだろう。
Microsoftが最大限努力しているのは確かだが、同質のデータセンターなど存在し得ない。たとえ組織が1つのバージョンのOSを実行していたとしても構成はさまざまだ。また、ほぼ全ての組織が複数のOSを実行している。つまり、環境はそれぞれ異なるのが普通で、しばらくはこの状態が続くだろう。そのため、ハイパーバイザーには将来性がない。
一方でコンテナは、アプリケーションのパッケージ化を容易にする。従って、少なくとも運用の観点での結論は「VMのOSで実行しているコンテナにアプリケーションを展開する」のがよいことになるだろう。OSの構成を共有できれば、アプリケーションはその構成を含むVMのコンテナに展開される。結果、最大限に効率が高いとはいえないかもしれないが、理論上の完璧な効率と現実的な管理のしやすさの間で最善の妥協点に落ち着くデータセンターが誕生するだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
4
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
5
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
6
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
7
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
8
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
9
「結局使わなくなる」Microsoft 365 Copilotを半年で定着 キリンの3施策
-
10
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー