ガイ・カワサキ氏に聞くイノベーションの極意
元Appleエバンジェリストが伝授、“次のスティーブ・ジョブズ氏”になれる10個の方法(2/3 ページ)
4. アイデアを練り、広げる
カワサキ氏は、革新的な商品は以下の5つの特徴から派生しているか、これらの特徴を体現していると考えている。
- 深さ:革新的な商品は、顧客が自分のニーズに気付く前に顧客ニーズを先取りする。例えばアパレルブランド「Reef」のサンダル「Fanning」は、「履く人の足の保護」というサンダルとしての役目を果たすだけでなく、底に付いた栓抜きで飲料用の瓶の王冠を外すことができる
- インテリジェント:革新的な商品は賢い。米自動車大手Fordの「Mustang Shelby GT 500」で提供される「MyKey」システムは、オーナーが最高速度の制限といった幾つかの安全機能をプログラムできるようになっている。「皆さんがこれを見たら、『この会社は分かっている』と言うはずだ」とカワサキ氏は語る
- 完全:この特徴はAmazon.comに典型的に見られる。同社はオンライン書店として創業したが、IT部門向け製品/サービスも含め、ほとんど何でも扱う仮想の巨大スーパーマーケットへと進化した
- エンパワーメント(能力の発揮をサポート):カワサキ氏は、ユーザーが能力を発揮できるようにサポートする製品の好例として、すっきりしたデザインを持つAppleの「MacBook Air」を挙げる
- エレガント:革新的な商品は見た目も使用感も心地よい。ユーザーインタフェースとインダストリアルデザインは“付け足し”ではいけない
5. 使い方は消費者に委ねる
企業は顧客ニーズを最優先して商品を開発することはできる。だがいったん市場に投入したら、どのように使われるかはコントロールできない。自分たちが正しいと考える方向に導こうとするのではなく、流れに従うべきだ。Appleはデスクトップパブリッシング(DTP)で、米化粧品製造のAvon Productsも保湿化粧品の「Skin So Soft」でそうした。Skin So Softは利用者の口コミで「虫よけになる」という評判が自然に広がった。「あなたの会社の商品にこうした現象が起こったら、ありがたく売り上げを受け取ればいい。余計なプライドは禁物だ」(カワサキ氏)
6. 好き嫌いが分かれるものを提供
「あなたの会社の商品を気に入ってくれる人もいれば、嫌う人もいる。最悪のシナリオは、人々に気に掛けてもらえず、関心の外に置かれてしまうことだ」とカワサキ氏は指摘する。タクシー配車サービス「Uber」のようなデジタル技術による創造的破壊者が典型例だ。同社は便利さからユーザーに歓迎されているが、タクシー業界からは競争相手として憎まれている。
7. ニッチを狙う
「マーケティングの究極の目標だ」とカワサキ氏が語るのは、ユニークかつ価値の高い商品を生み出すことだ。「利益はユニークで価値の高い商品から生まれる。人々はそこにお金を掛けるからだ。人々はそこに意味を見いだし、歴史もそこから作られる」
多くの場合、商品は「ユニーク」「価値の高さ」のいずれかの特性しか持たないという。するとどうなるか。商品がユニークだが価値があまりなければ、企業は売るのに苦労することになる。一方、商品の価値は高いもののユニークではなければ、企業は価格戦争に巻き込まれることになる。
カワサキ氏はユニークで価値の高い商品の例として、スイスの腕時計メーカーBreitlingの遭難信号発信機能を持つ腕時計「Breitling Emergency」と、ヘリコプターと飛行機のハイブリッド機「Bell Boeing V-22 Osprey」(オスプレイ)を挙げた。
8. 未熟な商品でも思い切ってリリースする
カワサキ氏は「企業は未熟な商品作りに努めるべきだ」と言っているわけではない。だが革新的な商品をきっかけとして変革が起こるのは、その商品が市場に出てきたからこそだ。「『チップが十分に安く、十分に高速』といった望み通りの条件が全てそろうのを待っていたら、いつまでも出荷できない。世界に取り残されてしまう」
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