【連載コラム】医療ITの現場から
在宅医療では「いつでも」「どこでも」「誰でも」使えるシステムが普及のカギ
タブレット端末の普及により、クラウド型電子カルテが広く使われ始めている。このように「いつでも」「どこでも」「誰でも」という3つの条件をクリアしたシステムが、在宅医療では普及するかもしれない。
在宅医療のICT化
在宅医療におけるICT化は、タブレット端末が普及するまでは、ノートPCに電子カルテを搭載し、患者宅や車内で入力作業をするケースが一般的でした。「電子カルテで閲覧したい患者さんのカルテデータを抜き出す方法」か「リモートで診療所のサーバにアクセスする方法」のどちらかでした。
2010年の医療分野のクラウド解禁、タブレット端末の普及により、在宅医療のICT化は「タブレット端末でクラウドサーバにアクセスする方法」に変わりつつあります。近年では、クラウド技術を活用し、インターネット経由でどこでも電子カルテを利用できる「クラウド型電子カルテ」が増加傾向にあります。
直感操作、音声入力、そしてアウトソーシング
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在宅医療で電子カルテを操作する環境は、診察室とは比べ物にならない困難さがあります。スペースともに時間の制約がある中で、カルテ記載、診療コストの入力作業が必要になります。そこで、電子カルテにはスマートフォンのような直感的な操作が求められます。また、声で入力操作ができる「音声入力システム」も注目されています。
現在では、コールセンターと医療クラークの技術を組み合わせて、カルテの記載を遠隔地でアウトソーシングするサービスも出てきています。いずれは人工知能(AI)技術を活用して、音声ガイダンスに順番に答えるだけで、カルテ記載が完了するシステムなども出てくるかもしれません。いずれにしても、在宅医療の特性を考慮すると、キーボードとマウスによる操作という一般的な考え方から離れた発想が必要なのかもしれません。
多職種間連携でクラウド技術を活用
また、在宅医療では、医師や看護師、薬剤師、ケアマネジャー、介護福祉士、ヘルパーなど多様な職種のスタッフがチームを組んで患者さんに対応します。そのため、多職種間での情報共有が必要不可欠となっています。かつて紙の時代は、連絡ノートなどを患者宅に設置し、情報共有を図ってきました。現在では、クラウド技術をベースにした「多職種間連携システム」(医療のソーシャルネットワーキングサービス)が数多く開発され、発売されたことで、距離や場所の制約なく、リアルタイムに情報共有が可能になり、職種間連携が効率化されると期待されています。
「多職種間連携システム」は、職種はもとより、さまざまな年代の方が使用するため、「誰もが使える」簡単なシステムという考え方が重要です。PC操作が苦手なITリテラシーの低い方でも使える操作性が普及の絶対条件となります。いまだに医療の世界にある「PCが苦手だから使わない(使えない)」という考え方を打破する必要があるのです。
在宅医療では、「いつでも」「どこでも」「誰でも」という3つの条件をクリアしたシステムが普及していくと考えます。
PCへの苦手意識を捨てて、まずは地域包括ケアシステムを利用してみよう
在宅医療から始まったクラウド技術を活用する波は、法人内での診診連携(診療所と診療所の連携)、病診連携(診療所と総合病院の連携)に活用範囲を広げています。今改定での診療報酬での評価などを受けて、いずれは法人内から地域へ活用範囲が拡大し、地域包括ケアシステム内での情報共有に発展することは確実です。
これまでクラウド技術は「セキュリティ面」や「スピード面」などの不安要素から、医療分野ではなかなか普及が進みませんでしたが、2016年度の診療報酬改定による政府の後押しがブレークスルーとなって、クラウド技術が大いに活用されていくと思われます。
その際、医療従事者はPCに対する苦手意識を捨て、積極的にチャレンジする姿勢が大切であり、ベンダーは使う側のITリテラシーに左右されない「直感的な操作性」や「システム操作の外注化」など、使う人の状況に応じた対応が重要になるでしょう。
著者紹介
大西大輔(おおにし だいすけ) メディキャスト株式会社 メディプラザ統括マネージャー
2001年一橋大学大学院MBAコース卒業後、同年日本経営入社。2002年に医療機関の“選ぶ”を支援する展示場「メディプラザ」の1号店を東京(神田)に立ち上げ、その後2003年にメディプラザ大阪、2005年にメディプラザ福岡を順次開設。2013年医師の右腕を育成する「電子カルテクラーク導入プログラム」をプロデュース。専門の医療IT分野については、医師会、保険医協会などの公的団体を中心にセミナー講師を多数実施。
【関連サイト】
医療関連商品カタログ「メディプラザ」
医師の右腕を育成する「電子カルテ+クラーク養成講座」
医院・クリニックのオフィシャルホームページ制作システム「Wevery!」
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