医療用手書き入力アプリも活用
「iPad」で業務を効率化した徳永薬局が目指す“在宅調剤”の理想像
首都圏西部を中心に在宅医療に注力をしている徳永薬局では、「iPad」を活用した情報共有基盤を整備して在宅調剤の業務効率化を進めている。
首都圏西部を中心に45店舗の調剤薬局を展開する徳永薬局は、在宅医療に注力をしている。2010年3月に在宅部を設置し、2015年6月には5店舗目の在宅専門薬局となる成瀬在宅センターを出店した。
徳永薬局は訪問調剤業務の効率化と円滑な地域医療連携を目指し、IT化にも力を入れている。在籍する訪問薬剤師12人に米Appleのタブレット「iPad」を配布し、情報共有の基盤を構築している。今回は、徳永薬局在宅営業部 統括部長 小林輝信氏に在宅医療/訪問調剤の取り組み中でITをどのように活用しているかを聞いた。
iPad導入の経緯と目的
訪問調剤では「訪問結果報告書」と「薬歴(カルテ)」の記入が必須となる。小林氏は「訪問調剤を始めたころは患者宅で紙にメモをして、店舗に戻ってからメモを見ながらカルテを記入したり、訪問結果報告書を作成したりしていました」と語る。また、医師が複数の患者を往診後にまとめて処方箋を発行することも多く、往診終了後の19時ごろに処方箋が届き、それから訪問調剤に赴くことも多いという。
「同じことを二度書く手間はもちろんのこと、複数宅に訪問調剤に伺い店舗に戻って薬歴と結果報告書を記入するのは、長期的に継続可能なやり方ではないのでは、と考えるようになりました」(小林氏)
そこで徳永薬局はiPadを導入。iPadで薬歴を入力して電子化したり、訪問結果報告書を作成したりすることで記入作業の負荷軽減を図った。訪問結果報告書では「何時に寝るか」「便が出ているか」「ふらつかないか」などの生活上の必要項目事項の記入ひな型を準備して、記入を簡便化。入力者による記載内容のブレを抑えている。
iPadの導入効果
「iPadを導入し情報共有システムを整備したことで、訪問結果報告書の記入に関わる業務量は格段に減りました」(小林氏)。グループホーム(共同生活介護)や特別養護老人ホーム(特養)などの施設に医師と同行する施設在宅の場合、医師同行中に記入できるので、iPad導入前と比べて記入時間が半分以下で済むようになったという。また個人宅に訪問する個人在宅医療では、薬剤師が患者と話しながら記入するのは難しいものの、それでも記入時間を4割程度低減したと試算する。
徳永薬局では現在、訪問結果報告書の入力業務をより効率化するために、医用辞書を搭載する手書きアプリ「Medical mazec for Business」のiOS版を利用している。在宅調剤では机に置いて入力することが難しく、片手で入力することもある。このような場面ではソフトウェアキーボードの操作が非常に困難だった。小林氏によると「iPadのソフトウェアキーボード入力は慣れが必要ですが、手書き対応のMedical mazec for Businessならどの薬剤師でも使えます」という。
Medical mazec for Businessは、医用漢字や、漢字とかなが混ざった文を変換する交ぜ書き変換などの予測候補を表示する。徳永薬局はこうした機能を生かし、薬剤師がストレスなく短時間で訪問結果報告書を入力できるようにした。
また、徳永薬局では薬局外からでもiPadで電子薬歴にアクセスできるようにしている。「訪問調剤は365日24時間対応が基本となります。どこからでも電子薬歴にアクセスできるようになったことで、夜中に問い合わせがあった場合でも即座に対応できるようになりました」(小林氏)
今後のIT活用について
徳永薬局は、iPadを活用した情報共有基盤を整備したことで、薬剤師がより患者本位の業務に注力できるようにした。「今後は地域包括ケアシステムとの連係も含めた情報共有をより進めていきたいと考えています」(小林氏)
2015年6月に開業した訪問調剤センターである成瀬在宅センターは、町田市介護課直轄の「地域支援包括センター」の隣にあるなど、成瀬在宅センター成瀬調剤薬局では行政とも連携する形で医療介護連携に注力している。
在宅調剤では、薬局が医療従事者や介護関係者とも患者の情報を共有して連携することで、よりよい医療・介護サービスを提供できるようになる。「成瀬在宅センターでもIT化を進めるとともに、地域ごとの包括ケアシステムの仕組みとも連係を取ることで、よりよい調剤サービスを提供していきたいと考えています。そのためにはiPadや『iPhone』といったスマートデバイスを有効に活用していくことは必須であり、今後ともより効率的な活用方法を検討する予定です」(小林氏)
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