専門家がアドバイス
企業のデータサイエンスチームに“完璧な人材”が不要である理由
企業がデータサイエンスチームを形成するときには、希少価値の高い人材を求めるよりも、さまざまなバックグラウンドを持った人材を確保すべきだ。
データサイエンスの分野で成功を望む企業にとって、慣習の構築はスポーツチームを作るようなものである。
ここ数年で企業にとってのデータサイエンスの価値が広く認知されるようになって以来、企業はデータサイエンティストを求めている。だが、データサイエンティストには、コンピュータサイエンスと統計学、そしてビジネスに関する知識が必要で、企業はさまざまなスキルを兼ね備えた人材を探すのに苦労している。この全てのスキルを備えた候補者は、希少価値の高い人材といわれ、ほとんどがFacebookやGoogleなどの大手インターネット企業に勤務しているのが実情だ。この問題を回避するには、企業はデータサイエンスに対してチームアプローチを採用する必要がある。
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データサイエンスの人材不足をどう補うか
アトランタを拠点とし、現在はIBMの1部門として気象データと気象予報サービスを提供するThe Weather Companyでデータサイエンス部門の責任者を務めるマイケル・フェラーリ氏は次のように語る。「私が形成したチームでうまく行っているのは、データサイエンティストと懸け離れたバックグラウンドに基づいたチームだ。この種の環境では、これが長所になると私は考える」
現在のデータサイエンティスト不足については、さまざまな評価がなされてきた。例えば、McKinsey and Companyでは、2018年までに米国で熟練した分析スキルを持つ人材は、最大19万人不足すると予測している。また、Glassdoorは、データサイエンス職の平均年収が11万3436ドル(約1200万円)だと見積もっている。これらの要因により、チームアプローチが必須になっている。
フェラーリ氏は、The Weather Companyのユーザーが生成した位置データを活用して広告のターゲットを改善するデータサイエンスチームを作り上げるために最近、入社した。 現在、同氏は新しい従業員を7~8人採用するプロセスを進めており、さまざまなバックグラウンドを持つ人材を探している。データエンジニアリングとコンピュータサイエンスについて高いスキルを持つ人材が必要である。一方、高い統計スキルを持つ人材も欠かせない。それから、ビジネスやソーシャルサイエンスのバックグラウンドを持つ候補者も探している。
企業のデータサイエンスに関連するあらゆることについて専門家レベルで対応できるという候補者は履歴書を誇張していると同氏は考える。求めるのは特定のスキルの有無よりも好奇心のようなソフト面のスキルだ。通常の採用プロセスでソフト面のスキルを評価するのは難しいかもしれないが、データサイエンスチームの成功の鍵を握っているかもしれない。
「以前は完璧なデータサイエンティストを探していた。だが、現実問題として、そのような人材に巡り合ったことはない」(フェラーリ氏)
現在、データサイエンスの分野では、企業は1つのポジションに複数の役割を集約するのではなく、特定のタスクを複数の役割に分散するようになっている。これは現在データサイエンスの分野で見られる現象で、過去にITが発達したときと同様である。そう語るのは、カリフォルニア州サンノゼにあるノースイースタン大学シリコンバレー校で地域学部長を務めるP.K.アガーワル氏だ。
「今では基本的なコンピュータスキルは、企業内のほぼ全てのポジションで標準となっている」とアガーワル氏は指摘する。現在、データサイエンスの分野でも同様の事象が起こっている。ヘルスケアやサプライチェーンといった特定の分野を専門とする企業アナリストは、2019~2021年までにもっと増えると同氏は予測する。これらの人材のほとんどは、ビジネスのバックグラウンドを持ち、統計スキルを習得した人物になるだろう。同時に、技術指向のビジネスワーカーは「Apache Hadoop」や機械学習のような複雑なシステムの基礎を学ぶようになるだろう。いずれにせよ、データサイエンスは少数の高度なトレーニングを受けた人材の独占領域ではなく、基本的な職務に組み込まれるようになる。
「データサイエンティストは引く手あまただ。主な要因は統計だが、統計のスキルは誰もが習得できる」(アガーワル氏)
それでも、高度なトレーニングを受けたデータサイエンティスト、つまり希少価値の高い人材の仕事がなくなるわけではない。分析の世界は速いペースで進化を続けており、今後も分析に対する需要は十分にあることが予想されると同氏は言う。今でさえ、基本的な分析スキルを持つ人材は増えており、自動化ソフトウェアによってデータ準備に費やす時間は少なくなっているのだ。そのため、人工知能とコグニティブコンピューティングシステムは、現実のものになりつつある。これらのシステムでは、機械学習に関する高度な専門知識が必要となる。
「機械学習と人工知能は猛スピードで進化している」とアガーワル氏は語る。
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