「教育ITソリューションEXPO」レポート
堺市の小学校がWindowsタブレット2000台で使う「校務・授業連係システム」とは?(1/2 ページ)
市内の全小学校に対して2000台のタブレットを導入した堺市教育委員会。教員が日常的にITを活用できる環境を構築し、授業支援と校務支援を連係させた新たなシステムを構築した。その中身を探る。
公立小学校のタブレット導入事例では、1クラス分に当たる約40台のタブレットをコンピュータ教室に導入するケースが目立つ。児童のタブレット1人1台環境を実現し、グループ学習などに活用しているのだ。
こうしたタブレット導入スタイルと一線を画すのが堺市だ。同市は2014年度、1500台のタブレットを購入し、市内の全市立小学校に対して配布した。ただし導入先はコンピュータ教室ではなく普通教室。教員が1人1台のタブレットを日常的に活用できる環境を整備したのだ。
堺市は長期的には、児童に対してもタブレット1人1台体制を目指す。だがその前に、教育現場にIT活用を長期的に定着させるには、当面は教員のタブレット稼働率の向上が欠かせないと判断したという。
教員がいつでも使えるタブレットが教室にあれば、授業だけでなく校務の効率化にも生かせる。堺市の教育研究機関である堺市教育センターは、教員の負担軽減を目指し、タブレットの授業支援システムと校務支援システムを連係させた新たなシステムを構築した。同センターは、このシステムを「新堺スタイル」と名付け、2016年4月に本格稼働させた。
授業支援と校務支援。2つの異なるシステムが連係した新堺スタイルとは、どのようなシステムなのか。そこから得られる効果とは。教育機関向けイベント「教育ITソリューションEXPO 2016」(EDIX)の専門セミナーに登壇した、堺市教育センターの浦 嘉太郎氏の講演内容をレポートする。全国的にも注目を集める堺市の取り組みを見ていこう。
「先生がPCに付きっきり」の弊害を教訓にタブレットを導入
堺市教育センターは2006年から教育機関のIT整備に取り組んできたものの、当初から順調に進んだわけではなかった。最初は52インチの大型デジタルテレビと教育用ノートPCを整備し、デジタル教材を提示できるようにしたものの、結果として日常的な活用に至らなかったという。浦氏は「設置が煩雑で、かつ教卓からしか操作できず、教員がクライアントPCの操作に付きっきりになったのが原因だ」と語る。
市内13校で校内LANの実証実験にも取り組んだが、他の学校に広げることはできなかった。堺市は市内に93校もの小学校があり、モデル校を作って横展開するには学校数が多く、想像以上にハードルが高かったという。
転機が訪れたのは、全国的に教育機関へのタブレット導入が進んだ2013年ごろだ。堺市教育センターも同時期に導入の検討を開始した。導入に当たっては過去の経験を踏まえ、教員が授業スタイルを変えなくても活用できるIT環境を目指した。導入の初期段階では児童がタブレットを活用するよりも、まずは教員が指導用タブレットとして活用する方が効果的だと判断し、普通教室に端末を配備する形を採った。
市内の全小学校で一斉にタブレット活用をスタート
堺市は2014年度にタブレット導入を本格化させた。市内の全市立小学校の全普通教室(特別支援学級を除く)にタブレットを1500台導入し、1教室1台の環境を整備した。翌2015年には、特別教室や特別支援学級に対しても500台を追加導入。授業を受け持つ教員が、教室で日常的にIT活用できる環境を実現した。
堺市教育センターは、教員の指導用タブレットの活用を中心としたIT活用スタイルを「堺スタイル」と呼び、市内の全市立小学校で一斉に運用を開始した。タブレットと併せて無線LANアクセスポイントと授業支援システムを整備。過去に導入した52型の大型デジタルテレビと併せてIT活用を進めている。
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