クラウド時代のオフィススイート選定術【第2回】
SaaS版とパッケージ版の「Microsoft Office」、比較して分かる4つの違いとは(3/3 ページ)
1:ユーザーにひも付くライセンス提供
パッケージ版のMicrosoft Officeは、基本的にデバイス単位でライセンス提供していた。2000年代初頭であれば、企業は高価なクライアントPCを1人1台支給し、Microsoft Officeライセンスをデバイスの数だけ管理すればよかったかもしれない。具体的には、会社の従業員数とクライアントPCの台数、Microsoft Officeのライセンス数がほとんど同数ということを想像するとよいだろう。
しかし、時代は変わっている。現在は比較的安価なクライアントPCを1人で複数台使いこなし、社内だろうと外出先だろうとビジネスのスピードを意識した業務をしている企業が増えている。また業務や社内処理の多くがシステム化し、クライアントPCが処理すべき業務も加速度的に増加している。それに伴い、クライアントPCに求められるスペックや負荷が高くなり、クライアントPCのライフサイクルが短くなってきていることを感じているユーザー企業も少なくないだろう。
そのため現在は、従業員数とクライアントPCの台数で比較した場合に、従業員数よりクライアントPCの台数が多くなる企業が増えている。従来のパッケージ版だとクライアントPCの数だけMicrosoft Officeのライセンスを用意する必要があり、高いコストが掛かってしまう。
そこで、Office 365 ProPlusはライセンスの課金対象をデバイスではなくユーザーにした。今まではデバイスに縛られていたMicrosoft Officeのライセンスが、ユーザーへひも付くことにより、利用コストを軽減し、Microsoft Officeをさまざまな種類のデバイスで効率的に利用できるようになる。
2:マルチデバイス対応
クラウドサービスの利用が企業の業務システムにまで浸透し始めたことで、企業の働き方は大きな変革を求められている。従来は社内のクライアントPCから、社内のLANでしか利用できない社内システムを操作することが一般的だった。それはパッケージ版のMicrosoft Officeも例外ではない。
だがそのような時代は終わりを告げ、いつでもどこでも、必要な時に必要な機能を利用する時代に移り変わっている。それに拍車を掛けているのがAppleのスマートフォン「iPhone」やGoogleの「Android」搭載端末を筆頭とするスマートデバイスである。Office 365 ProPlusはクライアントPCからスマートデバイスまで、さまざまなデバイスで利用でき、WordやExcel、PowerPointのソフトウェアをスマートデバイスから利用することも可能だ。同一ユーザーであれば、タブレット端末で最大5台、スマートフォン端末で最大5台、合計10台のスマートデバイスでMicrosoft Officeのソフトウェアを利用することができる。
3:常に最新の機能を自動的に提供
Office 365 ProPlusは、常に最新機能が自動的に提供される。企業は利用するMicrosoft Officeのソフトウェアバージョンが統一され、クライアントPCの管理が容易になる。また、常に最新のセキュリティ対策がアプリケーションに適用されるため、セキュリティリスクが軽減される。最新デバイスへの対応状況の確認や製品のサポート終了に伴う移行など、煩雑な作業も不要だ。
だが、このことをメリットだと捉える企業とデメリットだと捉える企業がある。どちらに捉えるかはその企業の運用方法と社内システムの兼ね合いによるところが大きい。
4:買い切りではなく利用費用という考え方
オフィススイートのデファクトスタンダードであったパッケージ版Microsoft Officeも、クラウドの時流に対応するべくOffice 365 ProPlusを提供し、継続して機能強化している。
SaaSの多くは買い切りではなく、利用した期間に応じて料金を支払う「サブスクリプション方式」を採用している。契約期間を1カ月程度と短くしていることも多く、ユーザーはよりよいSaaSへと乗り換える可能性がある。ソフトウェアベンダーは次々に良いソフトウェアを開発し、便利なソフトウェアへと成長させ、ユーザー企業に継続してソフトウェアを使ってもらう必要がある。そのため、Office 365 ProPlusも常に機能強化を続けている。
今回は、パッケージ版とSaaS版のMicrosoft Officeの特徴を解説してきた。第3回では、Googleが提供する「Google Apps for Work」について、文章作成ソフトウェア「Googleドキュメント」を中心に解説する。Googleドキュメントは企業向けオフィススイートの主力となるのか。判断の参考にして欲しい。
筆者紹介
廣瀬 晃 富士ソフト
富士ソフトに入社以来Microsoft製品を扱う部署に所属し活動する。もともとはSharePoint Serverの技術者であったが、Office 365の前身である企業向けオンラインサービス「Microsoft Business Productivity Online Services(BPOS)」時代からMicrosoftのクラウドサービスの提案・構築を手掛ける。現在はOffice 365を始めとしたMicrosoft製品をお客さまへ訴求するプリセールスとして活動する傍ら、Microsoft製品のセミナーのプレゼンターとしても活動している。
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