速いだけのストレージなら要らない
オールフラッシュストレージベンダーが熱望される「とんでもなくすごい」機能とは
オールフラッシュストレージが企業ITシステムにおいてごく当たり前の存在となる中、IT管理者はデータアクセスの効率化だけでなく、アナリティクスやデータ保護といった高度な機能も必要としている。
オールフラッシュストレージは、収益を生み出すアプリケーションのためのニッチでハイパフォーマンスなストレージシステムから、多様なワークロードを処理するメインストリームのストレージシステムへと移行しつつある。
ただしオールフラッシュデータセンターを実現するためには、オールフラッシュストレージベンダーはスナップショットやシンプロビジョニングといった基本の機能だけでなく、アクティブ/アクティブコントローラーやレプリケーションといった企業向けの機能を提供する必要がある。
さらに、サービス品質(QoS)やパフォーマンス解析、他のデータストレージプラットフォームとの統合など、オールフラッシュストレージに固有の機能も必要となる。
基本の機能
オールフラッシュストレージが登場した2014年ごろに、ベンダーの最大の関心事は1GB当たりのコストだった。NAND型フラッシュメモリの価格低下に加え、重複排除や圧縮といったデータ効率化技術のおかげで、多くのオールフラッシュストレージベンダーは、HDDのみを使用したパフォーマンス重視のハイエンドシステムよりも価格競争力の高い製品を提供できた。オールフラッシュストレージの1GB当たりの実質コストは、データ効率化とフラッシュ価格の継続的な低下によって、高性能とメインストリームどちらのワークロードにも適したものとなっている。
初期のオールフラッシュストレージは、シンプロビジョニングやスナップショットといった基本機能の他には、上述したデータ効率化機能を搭載するだけのモデルがほとんどだった。だがメインストリームのワークロードをオールフラッシュストレージで処理するためには、さらに機能が充実し、企業向けのレガシーストレージシステムと同レベルの機能を実現する必要がある。
企業向けの機能
オールフラッシュストレージへの投資を正当化できるアプリケーションやワークロードは大抵、ミッションクリティカルなものだ。そこで、アクティブ/アクティブコントローラーやレプリケーションといった高可用性機能が必要となる。基幹業務アプリケーションを正常に稼働できることは、そうしたアプリケーションに必要なパフォーマンスを提供するのと同じくらいに重要だ。2016年現在、オールフラッシュストレージ製品の大半は、SSD(ソリッドステートストレージ)の1つに障害が発生した場合に備えて基本的なデータ保護機能を搭載する。コントローラーの障害に備える機能を搭載するモデルも多い。ただし、その方法には注意が必要だ。
オールフラッシュストレージの中には、コントローラーの可用性を確保するために、アクティブ/パッシブ構成を採用するモデルがある。通常は全てのワークロードを1台のコントローラーで処理し、そのコントローラーに障害が発生しない限り2台目のコントローラーは作動しない。この構成は、フェイルオーバーでも通常と同じパフォーマンスを維持できる。
もう1つの方法が、アクティブ/アクティブ構成だ。ボリュームまたはLUN(論理ユニット番号)はいずれかのコントローラーに割り当てる。通常はどちらのコントローラーも動作するが、障害が発生すると既存の割り当てに加えて障害が発生したコントローラーのLUNにも正常なコントローラーを割り当てる。ただし、この構成には次のような問題がある。
- フェイルオーバーでは、1台のコントローラーで2台分の処理をこなさなければならず、アプリケーションのパフォーマンスに影響する可能性がある
- IT管理者はいずれのコントローラーも過負荷にならないよう、手作業でコントローラーのワークロードでバランスを取る必要がある
高可用性機能としてはもう1つ、ディザスタリカバリー(DR)のためのレプリケーションがある。ただし、この機能をまだ搭載しないオールフラッシュストレージベンダーも存在する。DR用コピーの作成機能を搭載しないというのは、多くの企業にとって懸念材料となる。だが、非搭載であることのメリットもあるようだ。レプリケーションにサードパーティーのソフトウェアプラットフォームを利用すれば、通常、OSやアプリケーションのサポートは向上し、オールフラッシュストレージからDRサイトのHDDベースのシステムに複製する機能も提供される。
高度な機能
オールフラッシュストレージベンダーには、単なる企業向け機能以上のものも期待したい。ITプランナーがオールフラッシュストレージへの投資をよりインテリジェントに管理し、より大きな投資収益率(ROI)を得られるようにするためには、オールフラッシュストレージベンダーは以下のような高度な機能を提供する必要がある。
アナリティクス レポーティングの深度にもよるが、IT担当者はアナリティクスによって、自社のシステムから最大限のメリットを引き出すために必要な洞察を得ることができる。
サービス品質(QoS) サービス品質(QoS)機能は、解析情報を基に、基幹業務アプリケーションが必要なパフォーマンスレベルを常に確保できるようにする。IT管理者がオールフラッシュストレージを購入するのは通常、特定の基幹業務アプリケーションのパフォーマンスの問題を解消するためだ。QoS機能があれば、この最大の購入動機に影響を与えることなく、より多くのメインストリームアプリケーションでフラッシュによるパフォーマンスのメリットを享受できる。
他のプラットフォームとの統合 調査によると、企業のデータは「1年以上アクセスしていないもの」が全体の80%を占めるという。オールフラッシュストレージは、こうしたデータをセカンダリーストレージに移動する機能を提供する必要がある。この目的のために、オブジェクトストレージシステムを統合し、古いデータやスナップショットやバックアップについては、コスト効率が高くスケーラビリティの高いオブジェクトストレージに保存できるようにしているオールフラッシュストレージもある。
ストレージへの3D TLC NANDの統合 TLC(トリプルレベルセル)の3D NAND型フラッシュメモリはMLC(マルチレベルセル)のNAND型フラッシュメモリと比べて、容量単価は低いが、耐久性で劣る。この欠点を補うべく、予備のフラッシュ容量を追加で提供しているベンダーもある。割り当てられていない追加の容量があれば、書き込みをより広く分散させることができるので、結果的にシステムの耐久性は高まる。3D TLCをMLCと組み合わせて配置することで、MLC層に3D TLC層の緩衝材的な役割を担わせるやり方もある。ITプランナーは、オールフラッシュストレージベンダーに3D TLCのプランがあるかを確認し、3D TLCの弱点の緩和方法についても納得しておく必要がある。
スケールアウト型のオールフラッシュストレージ スケールアウト型のオールフラッシュストレージは、ノードを追加することでパフォーマンスと容量を拡張できる。こうしたオールフラッシュストレージの値打ちは、データセンターの成長軌道によって大きく異なる。オールフラッシュストレージを1回スケールアップすれば、向こう数年分のパフォーマンスと容量のニーズを満たせるという企業は多い。迅速かつ散発的な成長が予想される企業はスケールアウト型のシステムを検討するといい。
オールフラッシュストレージは、ピンポイントで導入するパフォーマンス製品から、従来型のデータセンター製品へと大きな進化を遂げた。今では、オールフラッシュストレージはアーカイブデータにもアクティブデータにも適していると主張するベンダーもいる。オールフラッシュストレージの導入拡大を検討するITプランナーは、オールフラッシュストレージをメインストリームのHDDシステムと同等レベルに引き上げる機能だけでなく、オールフラッシュストレージへの投資から最大限の価値を引き出すための高度な機能にも注目すべきだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
2
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
3
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
4
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
5
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
6
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
7
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
8
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
9
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
10
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー