OpenStack Days Tokyo 2016 事例レポート
10年先の基盤となるか――JFEスチール、NTTドコモ、富士通がOpenStackに期待すること(2/2 ページ)
「全ての社内システムをクラウドへ」富士通がOpenStackを活用する意味
最後に、富士通 デジタルビジネスプラットフォーム事業本部の太田雅浩氏が登壇し、「全ての社内システムをクラウドへ」と題して、2015年2月から取り組んでいる社内システムのクラウド移行におけるOpenStack活用事例を紹介した。
富士通では現在、グループ国内外で稼働中の全ての社内システム計約640システム、サーバ約1万3000台を、次世代クラウド基盤に移行するプロジェクトを進めている。この次世代クラウド基盤の中核を担っているのが、OpenStackをベースにしたクラウドサービス「FUJITSU Cloud Service K5」(以下、K5)だ。
富士通がOpenStackを活用する意味について太田氏は、「ベンダーに依存しないオープンなクラウド環境を構築できる」「コミュニティーによる継続した成長が期待できる」の2点を挙げる。しかし、富士通の顧客の多くは大企業であり、これだけでは基幹系システムの運用ニーズを満たすことはできない。OpenStackのメリットに加えて、「『品質保証』と『運用が回る』という富士通のポリシーを合わせることで、顧客起点での新たな企業向けクラウドを目指したとしている。
「品質保証」としては、マルチアベイラビリティゾーン環境によるフェイルセーフの実現や容易なメジャーアップグレード、大量パッチ適用時のローリングアップグレードによる無停止メンテナンスなどによって、可用性と保守性の向上を図った。「運用が回る」では、顧客システムが稼働している基盤の状況を見える化、トラブル時の再発防止策を見える化、運用に最適なログを見える化することによって、システム挙動の把握および説明に必要な詳細情報の提供を実現している。
また、富士通が全ての社内システムをクラウドに移行する背景には、システム全体のコスト削減という目的も大きかったという。コスト削減に当たってはK5によるスケールアウト/スケールインの機能を活用した。「例えば、通常運用時のリソースを仮想サーバ2台に抑えておき、ピーク時には状況に応じて自動でスケールアウトし、仮想マシンの台数を拡大する。そしてピークが過ぎたら、オートスケールインで自動的に2台まで戻る。これによって、通常時のリソースコストを大幅に削減することができた」としている。
企業向けのクラウドではセキュリティ対策も欠かせない。K5では、「FWaaS(Firewall as a Service)」と「セキュリティグループ」の機能によって、インターネットとイントラネットを物理的につなぎつつ、強固なセキュリティを実現。「基幹系システムが物理的にインターネットとつながった環境で、セキュアに動いていることを自社導入で実証している」と、太田氏は、富士通での社内導入を通じて強固なセキュリティを実証していると訴えた。
社内システムのクラウド移行の進捗状況については、「2015年度は65システムを移行した。2016年度中には178システムを移行し、200台以上のシステムをクラウド基盤で本格稼働させる予定だ。そして2017年度には、大部分の移行パターンを実践したい」との見通しを述べた。
将来的には、社内実践して得られたノウハウを、OpenStack活用のリファレンスモデルとして情報発信していく考えだ。さらに、2016年7月の英国リージョン開設を皮切りに、米国、オセアニアなど順次グローバルにリージョン展開することも計画している。
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