「Google Apps」 vs. 「Office 365」
Gmailが大人気でも「Microsoft Outlook」が使われ続ける“切実な事情”(2/2 ページ)
“慣れているもの”が一番
Microsoftが提供しているという事実を踏まえると、Office 365が使えるレベルに達すれば、採用が進むのは当然だ。多くのユーザー企業はOutlookやExcel、そして「Microsoft PowerPoint」など、Microsoft Officeソフトウェアに強い愛着を持っている。「弁護士など、一部の職業の人たちにとってはなおさらだ」とクリース氏は語る。
弁護士の業務では、Wordで作成した契約書を外部弁護士に送信し、修正や削除が全て変更履歴に記録された状態で戻されるといったことがよくある。またクラウドへ移行する大規模企業には、Word代わりの「Googleドキュメント」、Excel代わりの「Googleスプレッドシート」など、GoogleがOfficeの代替として提供するオンラインサービスを使うことによる混乱をとにかく避けたいという思いがある。
「そうした大規模企業にとって、管理という点では、Google Appsのような全く新しい製品に移行するより、Office 365を使用する方が面倒が少ない」とクリース氏は語る。
カリフォルニア州パロアルト市役所の最高情報責任者(CIO)、ジョナサン・ライヘンタール氏も同じ意見だ。同氏は2016年5月にOffice 365を使い始める前に、Office 365とApps for Workの機能を1つずつ比較したという。
「職員は皆、Microsoft製品を使い慣れていた。何しろ、ここ20年から30年ほど、ずっとMicrosoft製品を使い続けている。変更管理や変更に伴うコストは避けたかった。アプリケーションの使い方を新たに学ぶようなこともしたくなかった」と同氏は語る。
中小規模企業にはApps for Workが人気
一方、Gartnerによれば、売上高が5000万ドル以下の企業の間ではGoogleが50%近いシェアを誇るという。
特にスタートアップ(創業直後の企業)はGoogle Apps for Workのコストの低さに魅力を感じている。デスクトップやモバイルデバイスでGoogle Apps for Workを利用するための料金は、1ユーザー当たり月額5ドルから。Microsoftの同等プランは月額8ドル25セントだ。またGoogle Apps for Workに搭載されるコラボレーション機能を使えば、どこで仕事をしていようと、ドキュメントをリアルタイムで共有し、編集できる。クリース氏によれば、スタートアップ企業はこうした機能も気に入っているという。
中には、Googleドキュメントを使って議事録を記録している企業もある。そのような場合、書き起こしサービスは不要となる。またリアルタイムなコミュニケーションを実現するGoogleのビデオ通話/メッセージングサービス「Googleハングアウト」を予算の策定に利用するといったことも可能だ。予算の策定には通常、Excelのスプレッドシートを各部門の責任者にメールで送り、全員の意見をまとめる作業が必要になり、そうした作業には通常1カ月から1カ月半ほどかかる。「だがGoogleスプレッドシートを使えば、そうした作業は不要だ」とクリース氏は語る。
Google Apps for Workのスプレッドシートプログラムを使えば、「誰かが“これを10%増やすべきでは”と提案し、他の誰かが“いや、5%で十分だ”と反論するといったやりとりが不要になる」とクリース氏は説明する。「その場で話し合い、“では7%にしよう”と決定することができる。それでもう終わりだ」(同氏)
アビダウド氏によれば、Hudbay Mineralsでは、従業員はどこからでもGoogleハングアウトを使用し、ドキュメントを共有したり、作業を共同で進めたりしている。Googleハングアウトをデスクトップから使う人もいれば、会議室で打ち合わせ中にモバイルデバイスから使う人もいるという。
さらにHudbay Mineralsはもう1つ、Google Appsのリアルタイム翻訳機能も重宝している。南米で事業を展開する同社にとって、大きな助けになる機能だという。「10ページや15ページといった分量のドキュメントでも、“このドキュメントを翻訳して”と言うだけで、Googleがその文書を丸ごと翻訳し、別言語版を作成してくれる」とアビダウド氏は語る。
翻訳された文については、文法的に常に正確とは限らないので、ネイティブスピーカーにチェックを依頼しているという。「一から翻訳するよりも、校正だけの方がはるかに楽だ」(アビダウド氏)
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