「Google Atmosphere Tokyo 2015」リポート
目指せ“生涯アドレス化” 慶應義塾が考える「Google Apps for Education」の使い道(1/2 ページ)
グーグルの「Google Apps for Education」を導入してメールシステムを刷新した慶應義塾。その狙いとは何か。導入や運用時に直面した課題とは。担当者が語る。
「私学の雄」と呼ばれる慶應義塾大学を擁する慶應義塾(東京都港区)。学生や教職員、一貫教育校の児童・生徒など合わせて約5万人を擁する同塾が2015年3月、メールシステムをグーグルのコミュニケーションサービス群「Google Apps for Education」の「Gmail」へと刷新した。ランニングコストの負担をはじめとする従来のメールシステムの課題の払拭だけでなく、コラボレーションの活性化などメールシステムにとどまらない活用方法も模索している。
Google Apps for Educationへの移行は決して順風満帆ではなかったと、慶應義塾ITC(インフォメーションテクノロジーセンター)本部 事務長の金子康樹氏は語る。その金子氏が、グーグルが2015年6月に開催した法人向けイベント「Google Atmosphere Tokyo 2015」に登壇した。慶應義塾のメールシステム刷新のいきさつやGoogle Apps for Educationの選定理由、今後の活用方針などを、同氏の講演内容を基に紹介する。
メールシステム刷新の背景:大量ユーザーのライセンスコストが重荷に
慶應義塾がメールシステム刷新に動いた大きな理由に、既存システムのライセンスコストの負担軽減がある。同塾は従来、ディープソフトの「DEEPMail」を利用したメールシステム「慶應メール」を運用していた。金子氏は、DEEPMailの機能面には「悪い部分はなかった」と指摘しつつ、「莫大なランニングコストが無視できなかった」と明かす。慶應メールの利用対象は、通学課程の学部生/大学院生や教職員合わせて4万人弱。この規模のライセンスコストは決して無視できるものではない。
コストにまつわる課題はこれだけではない。メールシステムの利用対象拡大という慶應義塾の方針も、メールシステム刷新を後押しした。同塾は「慶應義塾で一度取得したメールアドレスを一生涯使えるようにする」という方針の下、卒業生にもメールシステムを利用可能にすることを検討している。さらに、通信教育課程の学生/大学院生や一貫教育校の小学校、中学校、高等学校にもメールシステムの利用を広げる考えがあるという。「卒業生だけでも30数万人分のライセンスコストが追加で必要になる」と金子氏は説明し、コストが利用対象拡大のハードルになっていたと指摘する。
加えて、スマートデバイスからでもメールシステムを確実かつ快適に使えるようにしたいというニーズや、留学生/海外研究生の確保に当たりメールシステムのインタフェースを多言語化する必要性が高まっていたことなどを踏まえ、システム刷新を決断したという。2014年11月11日には移行のための猶予期間として、旧慶應メールに加えてGoogle Apps for Educationによる新慶應メールの提供を開始。2015年3月2日に旧慶應メールの運用を終了し、新慶應メールへ完全移行した(図1)。
選定理由:コストに加えて4つのポイントを考慮
慶應義塾は2010年ごろから新メールシステムの検討を開始し、コスト面に配慮して最終的に4社の提案を比較検討。さらに以下4点の検討ポイントも踏まえて総合的に判断し、グーグルが教育機関を対象に無償提供しているGoogle Apps for Educationの選定に至った。
- 機能
- メールとしての基本機能(各種プロトコルへの対応、Webメール、スマートフォン対応など)の充実
- メーリングリストをユーザー自身で作成・編集可能なこと
- メール単体ではなく、グループウェアやコラボレーションツールとしての機能があること
- 国際性
- 日本語以外のインタフェースが用意されていること
- 海外での導入実績が豊富なこと
- 他システムとの連係
- 学内認証システムとの連係が確実に可能なこと
- 移行に関する実績が豊富なこと
- 国内・国外の導入事例
特に機能については、カスタマイズをしてしまうと導入時や運用時のコスト高騰といった弊害が出るとの判断から、基本的に標準機能でまかなえることを前提に検討を進めたという。さらに、メールシステムの刷新に伴い学内認証基盤も刷新。Google Apps for Educationを含むWebサービスのシングルサインオン(SSO)システムを実現した。Google Apps for Educationの導入と認証基盤の構築は、Google Apps for Educationへの移行実績を評価してサイオステクノロジーに依頼した。
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