3種類の認証システムの組み合わせで実現
Google AppsとOffice 365を併用? 立教大学のSSOが複雑な訳
Google AppsとOffice 365。競合サービスであるこの両者を、複数の認証システムで連携させて併用しているのが立教大学だ。併用の理由とは何か?
立教大学は、メールシステムや学内ポータルサイトといったWebアプリケーションを対象としたシングルサインオン(SSO)システムを運用している。特徴的なのは、3種類の認証システムを組み合わせてSSOシステムを構成している点だ。その理由とは何か。ガートナー ジャパンが2013年7月に開催したセキュリティイベント「ガートナー セキュリティ&リスク・マネジメント サミット 2013」で講演した、立教大学メディアセンターの小川龍秀氏の話から明らかにする。
SSO導入の経緯:複数システムの乱立で認証統合のニーズが顕在化
学生数20890人、教職員数2609人を擁する立教大学。同学がSSOシステムを導入した背景には、ポータルサイトをはじめとする複数の学内Webシステムの乱立があった。それぞれのシステムのID連携を進めていたものの、「きちんとしたSSOシステムがなかったこともあり、学内からSSOへのニーズが高まっていた」と小川氏は明かす。
当初は、認証連携の標準技術である「SAML」を利用したオープンソースソフトウェアの認証連携システム「Shibboleth」の採用を検討していた。Shibbolethは、立教大学も利用する「学術認証フェデレーション(学認)」にも利用されている。学認は、国立情報学研究所と全国の大学を中心に構築している学術機関向け共通認証基盤だ。
立教大学がメールシステムに利用するグーグルの「Google Apps」は、Shibbolethが利用できた。問題となったのは、学内ポータルサイト構築向けに運用する日本マイクロソフトの「Microsoft SharePoint Server」と、メールシステムに利用する「Office 365」で、Shibbolethによる認証連携ができなかったという。
SSOの概要:3種類のシステムを組み合わせ
そこで立教大学が検討したのが、3種類の認証システムを組み合わせたSSOシステムである。具体的には、以下の3方式を組み合わせ、米Microsoftの認証連携技術「Active Directory Federation Services(ADFS)」を使って各方式間の認証連携を実現している。
- Google Appsや学認はShibboleth
- SharePoint ServerとOffice365はActive DirectoryとADFS
- ShibbolethやADFSと連携できないWebシステムはリバースプロキシ型Webアクセス管理(WAM)製品
Google Apps/Office 365併存の理由:利便性と耐障害性に配慮
ところで、なぜ立教大学は、Google AppsとOffice 365という競合サービスを同時に導入しているのだろうか。その上、双方で別々の機能を利用しているのではなく、いずれもメール機能を中心に利用しているという。
もともと、オンプレミスのメールサーバが利用者の増加でピーク時のレスポンスが低下したことから、その解決策としてGoogle Appsの利用を開始した立教大学。Google Appsは学内でおおむね好評だったが、課題もあったという。今までメールクライアントにMicrosoft製品を使っていた利用者を中心に「Google Appsのユーザーインタフェース(UI)がなじめない」といった声が少なからずあったのだ。
小川氏も、「数多くの学生や教職員が利用するので、Google Appsだけしか使えないのではなく、可能な限り選択肢を確保したかった」。それに加え、複数サービスの併用で耐障害性が高められるのではという考えもあった。こうした理由から、Office 365を導入してGoogle Appsとの併用に至ったという。
現在、学内のメール中継サーバを介して、1つのメールをGoogle AppsとOffice 365の双方で受信している。利用者は、Google Appsの「Gmail」とOffice 365の「Exchange Online」から好きなメールサービスを利用して、メールのやりとりができる。ただし、送信したメールは同期できない。
学術機関には自由と安全の両立が重要
多数のシステムの認証連携や複数のメールサービスの併用など、利用者の利便性確保を重視する立教大学。「システムは『いかに使ってもらうか』が最も重要」だと小川氏は強調する。とはいえ、セキュリティをおろそかにするわけではない。「自由と安全の両立が、学術機関には必要だと考えている」
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