コストよりも重視した価値とは
「Evernote」がGoogleクラウドへ移行、“ロックイン”は怖くない?(1/2 ページ)
プラットフォームのハイレベルサービスを導入するためなら、クラウドロックインもいとわないという企業が増えている。Evernoteもその1社だ。
単独のクラウドインフラに依存するリスクをさほど重視しない企業が増えてきており、今回Googleへの移行を決めたEvernoteもその1社だ。Evernoteは2016年末までに同社の全ITインフラをGoogleの「Google Cloud Platform」へ移行すると発表した。Evernoteはマルチデバイスでファイルの保存と同期を行う人気のWebアプリ「Evernote」を提供している。サービス拡充のために、クラウドロックインもいとわずGoogleのハイレベルリソースを採用する企業が増えつつあり、今回Evernoteもその1つに加わった形だ。
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Evernoteでは、ユーザー2億人分のノートと添付ファイル計3.2PB(ペタバイト)のデータを2つのデータセンターで管理している。同社のアグレッシブな移行計画によると、2016年末までに全てのデータフットプリントをGoogle Cloud Platformに移すという。
EvernoteのCTO(最高技術責任者)、アニルバン・クンドゥ氏によると、EvernoteがGoogleを採用した理由は主に2つあるという。1つはインフラコンポーネント、特にストレージ機能とメッセージ送受信機能の「Google Cloud Pub/Sub」、もう1つは言語処理用の「Google Machine Learning」ツール、とりわけ「Natural Language API」と「Translate API」だ。今回の移行ではアーキテクチャは変えないが、2017年前半にはさらにハイレベルのサービスを利用するためのリアーキテクチャも計画しているという。
ただ、Evernoteが進めようとしているデータストレージの抽象化は、Machine Learningのようなサービスでは実現できない。その点はクンドゥ氏も認めており、それは問題ではないと話す。
「問題はベンダーごとにAPIがばらばらだということだ。複数のクラウドプロバイダーを利用しようとすると、それぞれのコードを書かなければならなくなる。せっかく俊敏性を求めてクラウドを導入したのに、それでは意味がない」(クンドゥ氏)
Evernoteが今回の決定に至った理由は、下位層のコンピューティングリソースやネットワークリソースの複数プロバイダー分散の問題だけではない。Evernoteは具体名を明かしていないが、他のクラウドプロバイダーも検討したという。
パブリッククラウドの採用では、安上りであることより製品の向上や顧客の獲得につながる革新的なサービスを重視する企業が多く、Evernoteの場合もそうだった。
「どんな価値を提供するかがカギになる。Googleの機械学習サービスは製品を向上する付加価値をもたらす」。米調査会社Forrester Researchの主席アナリスト、デーブ・バートレッティ氏はこう話す。「そうした動機が次のクラウド導入の波を起こすことになるだろう。サーバやストレージが安上がりだということ以外に、企業がクラウドプラットフォームへ移行する理由が必要だ」
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