AWSに対して存在感を増すライバルたち
Appleの「iCloud」がGoogleクラウドを選んだ理由(1/2 ページ)
AWSは今もなお順調な売り上げを公表しているが、その数値を詳しく調べてみると、その勢いに陰りが見えてくる。また、ライバルとの競争も激化している。
Microsoftの「Microsoft Azure」(Azure)の急上昇やGoogleの積極的な活動に加え、クラウド市場のサービスや製品の品ぞろえの豊富さを見ると、Amazon Web Services(AWS)は同社のクラウドサービス「Amazon Web Services」(AWS)のライバルに対して優勢な状態を維持できるのかどうかは甚だ疑問だ。
Amazon.comは2016年1月、子会社のAWSが2015年度の第4四半期に24億ドルの売り上げを達成したと発表している。これは、対前年比で69.73%の増加だ。この四半期の成長率は、78%増の2015年第3四半期から低下している。だが、実際の額面では、2015年第3四半期の20億8千万ドルから大幅な増加を見せている。AWSは2015年に総額70億88百万ドルの売り上げを計上している。
AWSの成長率が鈍っているのは、同社によるクラウド市場の支配が終わりを迎えようとしている兆しだと主張する業界関係者もいる。彼らは、近年のAWSのライバルの成功を指摘する。Azureや「Office 365」などをはじめとするMicrosoftのクラウドサービスは、今や同社の総収益の3分の1を占めるようになっている。Microsoftは、同社のクラウドサービスの売り上げが94億ドルになり、2018年には200億ドルに達するという予測を発表している。
サトヤ・ナデラ氏が2014年にMicrosoftのCEOに就任して以来、同社は劇的な企業変革の一環として、クラウド市場において桁外れの成長を遂げている。ナデラ氏は、Microsoftの主軸をクラウドとモバイルテクノロジーに移した。そして、Microsoftの新たなクラウド機能が同社のオンプレミスシステムとソフトウェアを使えるように構成した。これは、顧客がAWSのクラウド専用アプローチに縛られることなく、より多くの選択肢を得られるようにするための試みだ。この戦略は、オンプレミスのリソースとオンデマンドのリソースをうまく組み合わせてハイブリッドコンピューティング環境を作りたいと考えているクラウド市場の大多数を魅了した。
さらに、Microsoftは、独立系ソフトウェアベンダーパートナーの巨大なエコシステムにも投資している。同社が抱える膨大な数のチャネルパートナーは、同社がクラウド戦略を固め、AWS、Googleの「Google Cloud Platform」(GCP)、無数のSaaS代替製品との競争を始めたことを歓迎している。
また、Googleも、クラウド市場での立場を取り戻すためにはさらなる努力が必要であることを認識している。皮肉なことに、同社は「Google Apps」や「Google App Engine」などのクラウドサービスによって、クラウド市場の発展を後押した。Googleは、ホワイトボックスサーバインフラのようなものに基づいて同社の検索エンジンサービス配信システムを構築している。ホワイトボックスサーバインフラは、スケーラビリティ、経済性、柔軟性を備えた状態でクラウドを提供するためのモデルとされてきた。ただし、企業の文化が奇抜で企業顧客への熱意が不足していたことから、Googleは急成長を遂げるクラウド市場でクラウドサービスの販売に力を入れるのが遅れる結果となった。だが、ダイアン・グリーン氏を迎え、新たなクラウドサービスに追加の投資がなされたことで、Googleのクラウドビジネスは活気を取り戻しはじめている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
2
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
3
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
4
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
5
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
6
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
7
「結局使わなくなる」Microsoft 365 Copilotを半年で定着 キリンの3施策
-
8
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
9
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
-
10
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー