AWS、Azure、Googleの覇権は続く?
クラウド“ビッグスリー”は指名買いの時代へ、今後の動向を大予測する(1/2 ページ)
2016年もパブリッククラウドには大きな変化が起こるだろう。特にAmazon、Microsoft、Googleのトップ3社は、自社のアイデンティティーを確立する年となるだろうと予測する専門家もいる。
2015年、クラウド市場では多くの動きが見られたが、特にパブリッククラウドベンダーではその傾向が顕著だった。Hewlett Packard EnterpriseやVerizonなど、パブリッククラウド事業から撤退したベンダーもあれば、Dellなど大規模な買収に踏み切ったベンダーもある。Amazon Web Services(以下、Amazon)の「Amazon Web Services」(AWS)、Microsoftの「Microsoft Azure」(Azure)、Googleの「Google Cloud Platform」(GCP)は、パブリッククラウド市場を席巻し続け、その勢いは増す一方である。だが、今後はどうなるのだろうか。
TechTargetは、この先パブリッククラウドベンダーにどのような進化や変化を期待するかを専門家に聞いた。以下に、彼らの予測を紹介する。
クリストファー・ワイルダー氏
2016年は幾つかの点でパブリッククラウドベンダーに進展が見られる。まず、2016年はパブリッククラウドベンダー、特にAWS、Microsoft、Googleのトップ3社が自社のアイデンティティーを確立する年となるだろう。
AWSはクラウドサービス、ストレージ、アプリケーションを多岐にわたって展開するという従来の方向性を踏襲することが予想され、以前とあまり変わらないだろう。一方で、Microsoftは相互接続プラットフォームの提供に力を入れるためにステップアップを図っている。これにはビジネスコミュニケーションとユーザー操作性を、クライアント端末、クラウド、生産性、ビジネスプロセスを通じて向上する狙いがある。Azureは、「Skype Bots」と「Skype for Business」という2つの分野で革新を促し、市場における認知度を高めるだろう。
GCPは、データ使用量の多いユーザー企業や、「born-in-the-cloud」企業(クラウドから生まれた企業)向けの市場を占有している。GCPはコンピューティング、ストレージ、ビッグデータ/分析に深い経験を積んでいる。Googleは、GCPで独自の機械学習環境を構築して、「見る」「聞く」「学ぶ」ことができる全く新しいアプリケーションを実現しようとしている。個人的に、GCPは全ベンダーの中で最もまとまりがあり完全なビジョンを持っているように思う。
また2016年下半期には、Software-Defined Networkingとネットワーク仮想化を展開している大手通信事業者が、パブリッククラウドサービスの提供を開始することが予想される。これは、AWS、Microsoft、Googleに対抗し、インターネット接続や通話以上のサービスを提供してほしいという法人顧客の要望に応えるための動きだ。
ビル・ワイルダー氏
AWSやAzureなどの主要パブリッククラウドプラットフォームは、機能が成熟しているだけでなく、急速な成長も遂げている。また、これらのプラットフォームの安全性とセキュリティは、一般のユーザー企業より優れていることを示す証拠も増えている。
パブリッククラウドが誕生したばかりのころ、懐疑的な潜在顧客は、クラウドのセキュリティを不安視していた。漠然ではあるがもっともな懸念だ。2010~2015年の間に、この質問はさらに具体的になり、焦点はコンプライアンスに向けられるようになった。ユーザー企業は、「クラウドはHIPPA(Health Insurance Portability and Accountability Act:医療保険の携行と責任に関する法律)に準拠しているのか」「規制を順守しているのか」といったことを気にするようになっている。クラウドが誕生したばかりの頃は、クラウドベンダーが取得している認証はほとんどなかったので、このような質問には簡単に答えることができた。今も簡単に答えられることに変わりはないが、それは、ベンダーが非常に多くの認証を取得しているためだ。事実、AzureとAWSのコンプライアンスのWebページには幾つもの認証、証明、保証が列挙されている。ユーザー操作性の専門家に頼って、それらのデータを全て分かりやすくまとめる手間が必要だったことは想像に難くない。EUデータ保護指令など、特定の国を対象としたものから、クレジットカード業界など特定の産業を対象としたもの、そして「FedRAMP」(Federal Risk and Authorization Management Program:米国発クラウドセキュリティ標準)など特定の政府が施行するものまで、カテゴリーは多数に及ぶ。
このことは、パブリッククラウドベンダーが信頼性の高い方法で自社のシステムを管理する方法を把握しているという多くの証拠になる。どのパブリッククラウドでも何かしらの障害が発生したことはあるが、ニュースで大々的に取り上げられても、基盤となる堅牢性が揺らぐことはない。
主要パブリッククラウドプラットフォームのインフラは、目に見えるあらゆるものが完全に自動化および監査されているので、常に最新の状態であるとともに非常に均質的だ。このため、管理も保護も容易に行える。これは2016年に注目すべき傾向である。データセンターは世界各国に広がっている。Azureは22の地域、AWSは12の地域で稼働中だ。いずれも今後さらに5つの地域に展開する予定である。さまざまな認証、おなじみのアジリティと採算性を考えれば、ユーザー企業はパブリッククラウドに移行するメリットから目を背けるのはさらに難しくなるだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
“攻撃者優位”なサイバーセキュリティ、全ての「穴」をふさぐ方法とは? -
製品資料
実際に悪用される脆弱性は4%前後 優先的に対処すべき脆弱性を把握するには? -
製品資料
HubSpotの機能を拡張する法人データ活用法 -
製品資料
面倒で非生産的な「名寄せ」作業 高精度&高効率に実施するには? -
製品資料
名刺管理には「その先」がある 成果のでない営業活動から脱却する秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
Netflixのバックエンドは「ほぼJava」 3000超のアプリを支える開発基盤の裏側
-
2
ISMSの“コンサル丸投げ”が招く数千万円の無駄 NTTドコモビジネスの脱出劇
-
3
「Microsoft 365」が乗っ取られる 跡形もなくMFAを破る手口
-
4
「WSUS」終了の時限爆弾 “本命”移行先ツールとMicrosoft提唱の新管理手法
-
5
「結局使わなくなる」Microsoft 365 Copilotを半年で定着 キリンの3施策
-
6
アラート47%削減 オープンハウスが捨てた「全部メール通知」の監視体制
-
7
世界のデータセンター容量は5カ国に69%集中、電力消費「5%の壁」が招くものとは?
-
8
DX導入企業の3割超がむしろ「負担増」 9割が陥る“内製化のわな”
-
9
継続利用は4割どまり M365 Copilotが「効く業務」と期待外れの境界
-
10
プリンタはもう“ただの印刷機器”ではない? 変わりゆく企業のオフィス
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
2
AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
-
3
財務・会計はAI活用でどう変わる? 調査で見えた変革の道筋
-
4
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
5
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
6
「結局、一部の人しか使わない」 AI活用が業務に定着しない根本的な理由
-
7
コスト分析で見る「デバイス復旧」の代償 損失額から導きだされた投資戦略とは
-
8
Macの安全神話は崩壊? 最新の脅威動向から見えた攻撃のトレンドと有効な対策
-
9
ゼロトラストにおける「IDaaSの課題」と補完すべき重要機能とは?
-
10
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー