徹底解説! 初めてでも分かるAmazon Web Services【第4回】
AWSの3大ネットワーク機能を理解する
AWSの仮想ネットワーキングサービスである「Amazon VPC」、VPCと組み合わせて使用する「AWS Direct Connect」、そしてDNSサービスである「Amazon Route 53」について解説する。
これまでの連載
- 第1回:AWSを導入する上で知っておきたい基礎知識
- 第2回:AWSの仮想サーバ「Amazon EC2」と、使える周辺サービス
- 第3回:AWSのストレージサービス「Amazon S3」と、その周辺のサービス
- 第4回:AWSの3大ネットワーク機能を理解する
連載インデックス:徹底解説! 初めてでも分かるAmazon Web Services
Amazon VPC
「Amazon Virtual Private Cloud」(Amazon VPC)は、一言で言えばクラウドの仮想ネットワーキングサービスである。
サービスの名前“仮想プライベートクラウド”からは、あたかもオフィスやデータセンターなどとVPN接続をするためのサービスのように思えるが、実際はAWS上で論理的に専有したネットワークを自由にコントロールすることができるサービスである。
また、Amazon VPCは2013年3月のアップデート以降、新しいAWSのアカウントを取得するとユーザーは意識せずにAmazon VPCを使用してAmazon EC2などを使用できるようになった(つまり、デフォルトVPC)。
デフォルトVPCを使用した場合は、特に意識せずにAmazon VPCの恩恵を受けることができるが、さらにAmazon VPCを使いこなすことで、より柔軟でセキュアなネットワークを構成することも可能だ。
ユーザーがAmazon VPCを使う場合は、最初に1つのVPC(Virtual Private Cloud)を作ることになる。VPCは、リージョンとVPC内で使用するローカルネットワークの範囲を指定すれば簡単に作成することができ、一度VPCを作成すると、そのVPC内はユーザーが自由に仮想ネットワークを構成することが可能だ。
VPCはその仮想ネットワークをさらにサブネットで分割し、分割されたサブネット内にAmazon EC2インスタンスや「Amazon Elastic Load Balancing」(Amazon ELB)などを配置するようになる。
サブネットは1つのアベイラビリティゾーン(AZ)に所属するように設定するため、AZをまたいでサブネットを作成することはできない。設計時には注意すべきだ。
VPCにはInternet GatewayとVirtual Private Gateway(VP Gateway)というゲートウェイを設定することが可能だ。VPCのルートテーブルで経路を設定すると、その設定に従ってインターネットやVPN拠点へ通信することができる。
拠点側のルータにするVPNの設定は、Management Consoleからサンプルをダウンロードすることができるので、これを参考にルータを設定すればハードルは高くないだろう。
また、VPCを利用することでネットワークベースのアクセスコントロールを行うこともできる(※)。これはNetwork ACLと呼ばれ、VPC内のサブネットを通過するときにInboundとOutboundで通信の制御ができるので有効活用したい。
※ Network ACLと、Amazon EC2のFW(ファイアウォール)のような機能「セキュリティグループ」を併用することも可能。また、Amazon VPCのAmazon EC2インスタンスには、仮想ネットワークインタフェースを複数接続できたり、1つの仮想ネットワークインタフェースに複数のIPアドレスなどを割り当てたりすることができるENIと呼ばれる機能がある。このENIによって、オンプレミスのデータセンターと同じような構成を組むことができる。
AWS Direct Connect
「AWS Direct Connect」は、ユーザー環境とAWS環境を専用線で接続するサービスである。
現在は東京からAWSへ専用線で接続する場合はエクイニクスのデータセンター(東京・品川)から専用線で接続が可能となっているが、AWSのパートナーがさまざまなサービスを提供しており、これを利用することでエクイニクス以外のデータセンターからも接続可能となる。
専用線の物理線は現在10Gbpsと1Gbpsを選択することが可能となっており、これをさらにVLANで分割して論理的なコネクションを作成して使用する。
AWSとの通信に帯域を確保したり、インターネットVPNよりも高いセキュリティが求められる場合などに利用したい。
Amazon Route 53
「Amazon Route 53」(Route 53)は、クラウドで提供されるDNSサービスである。DNSはインターネット上でサービスを提供する上で非常にミッションクリティカルな部分であり、運用も煩雑になりがちだ。
Route 53はSLA(サービス品質保証)が100%となっており、レコードの操作などもManagement Consoleで操作することができるようになっている。
上記で挙げたようなDNSの運用負荷の課題を解決する上で手助けとなるだろう。
また、Route 53は第3回「AWSのストレージサービス『Amazon S3』と、その周辺のサービス」で少し触れたエッジロケーションが使用される。エッジロケーションは世界中に数十拠点存在しており、名前解決をする場合は一番近いエッジロケーションに接続されるため、少ない遅延で高速に配信される。
また、Route 53は以下のようなさまざまな機能を持っている。
エイリアスレコード
Amazon ELBやAmazon S3で発行されたDNS名を名前解決する場合はCNAMEレコードを使用する必要がある。しかしながら、DNSではルートドメイン(サブドメインを付けない)をホストする場合はCNAMEレコードが使えない制限が存在るする。これをAWS独自の機能であるエイリアスレコードを使う事で解決する事ができる。
重み付けラウンドロビン
一般的なDNSのソフトウェアにも実装されている機能だが、DNSのラウンドロビンに重み付けを設定することが可能になっている。
レイテンシベースルーティング
AWSのリージョンを複数選択して、ユーザーからのアクセスが近いリージョンへルーティングすることができる機能。ユーザーは自分から一番近いリージョンへルーティングされることによって、距離による遅延を最小限に抑えることができる。
DNSフェイルオーバー
名前解決先に対しての死活監視を行い、さらにセカンダリの名前解決先を登録しておくことで障害時に自動的にフィイルオーバーなどを実行することができる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
徹底解説! 初めてでも分かるAmazon Web Services
Amazon Web Services(AWS)に関する最新記事はこちら→ Amazon Web Services(AWS) (http://techtarget.itmedia.co.jp/tt/saas/aws/)
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[Splunk Services Japan合同会社] サイバー脅威「トップ50」完全解説ガイド、新たな攻撃手法に対抗するには -
製品資料
[株式会社うるる] 「入札市場」完全ガイドブック:メリットから資格取得のポイントまで -
市場調査・トレンド
[株式会社うるる] はじめての「自治体/官公庁入札」 必要な知識がすぐに学べる入門ガイド -
製品資料
[株式会社うるる] 「入札市場」徹底解説:入札で結果を出す企業はどんな方法を使っているのか? -
製品資料
[株式会社うるる] 入札活動の成否を分ける情報収集 “狙い目案件”を効率よく見つけるには?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
2
Oracle巨大ITプロジェクトはなぜつまずいたのか 8年で導入1割、追加で170億ドル
-
3
Microsoft製品でここまで自動化できる 情シスがやめられる手作業10選
-
4
「技術屋」で終わらないために 情シスが今取るべき認定資格5選
-
5
「世界一給与にハングリー」な日本のエンジニアが“雇用の安定”を求める理由
-
6
脱VMwareの最適解 NTTデータと日立製作所が示す国産仮想化基盤
-
7
ISMSの“コンサル丸投げ”が招く数千万円の無駄 NTTドコモビジネスの脱出劇
-
8
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
9
Microsoft Teamsで見直すべき設定5選 「偽情シス」からの遠隔操作要求が侵入口に
-
10
「ITインフラとデータ保護・バックアップ対策」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
2
AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
-
3
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
4
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
5
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
6
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
7
PostgreSQLの「機能」「性能」「運用」「拡張性」に関する悩みの解消法
-
8
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
9
Macの安全神話は崩壊? 最新の脅威動向から見えた攻撃のトレンドと有効な対策
-
10
情報セキュリティ対策早分かりガイド:25の自社診断で弱点と解決策を理解
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー