クラウド事業者が提供する企業向けサービスの多くは、セキュリティとコントロールが不安視されてきた。仮想プライベートクラウドの登場で市場は活性化したが、それこそが未来の姿だと誰もが考えているわけではない。
クラウドコンピューティング市場の成熟に伴い、かつては付加的なものと考えられていたセキュリティやプライバシー、可用性などの機能を、サービス事業者が「仮想プライベートクラウド」(VPC)の一部としてデフォルトで提供し始めている。
VPCは、サービス事業者のインフラ上で運営されるクラウドだが、他社のクラウドと切り離すことも可能だ。ネットワーク設定に関するユーザーの権限を強化したり、ロールベースのアクセスコントロールや仮想プライベートネットワーク(VPN)アクセスといったきめ細かいセキュリティ対策や可用性に関して、一般的なパブリッククラウドサービスよりも厳格なサービス品質保証契約(SLA)を提供することもできる。
Amazon Web Services(AWS)は2013年3月、「Elastic Compute Cloud」(EC2)の新しいインスタンスについてはVPCをデフォルトのデプロイメントモデルにすると発表した。まずアジア太平洋(シドニー)と南米(サンパウロ)地域から開始する。
「多くのクラウド事業者が提供してきた企業向けのサービスは、特にセキュリティとコントロールに関して、ひどいものだった」。AmazonのVPC上でバイオインフォマティックス研究の大規模プロジェクトを運営している米Social & Scientific Systemsの生物医学情報学責任者、ケネス・ホワイト氏はそう話す。
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