クラウド基盤のセキュリティを大幅に強化
AWSになくてAzureにはある、コンテナとセキュリティに関する2つの新機能
「Microsoft Azure」に2つの新しい機能が導入された。これらの機能によって企業のクラウドセキュリティはどのように強化されるのだろうか。Webアプリケーションセキュリティの専門家がその全容を解説する。
米Microsoftは、IaaS(Infrastructure as a Service)の分野で競合のAmazon Web Services(Amazon)に対抗するべく取り組みを続けている。そして、同社のクラウドサービスである「Microsoft Azure」(Azure)に、「Azure Container Service」および「Azure Security Center」という2つの新しいツールを提供することで、プラットフォームのセキュリティを大幅に強化した。本稿では、これらのツールを調査し、企業にどのようなメリットをもたらすように設計されているのかを検証したい。
Azure Container Service
Azure Container Serviceは、DockerおよびMesosphereとMicrosoftのパートナーシップを活用したサービスを提供することに主眼を置いている。その目的は、運用環境で使えるコンテナクラスタを簡略化して、クラウドで管理できるようにすることだ。Azure Container Serviceは、オープンソースのMesosphereクラスタ管理をDockerのコンテナ化テクノロジーと組み合わせている。対象となるのは、「Apache Mesos」と「Mesopshere Data Center Operating System」だ。
現時点では、一定のボリュームを超えると、手動によるコンテナの導入作業と管理作業は困難になる。だが、目的はこれらの作業をAzureで管理しやすくすることである。コンテナが仮想マシンの代替手段として普及するにつれて、導入と管理に関連する主な懸念事項を緩和するMicrosoftの動きは、抜け目がないものとなった。Microsoftはコンテナのポータビリティとスケーラビリティを活用したいと考える顧客に具体的なメリットを提示できるようになっている。
Azure Container Serviceは、まずLinuxコンテナをサポートする予定だが、Azureは、「Windows Server 2016」のリリース時にWindowsコンテナのサポートを追加するとしている。一方、Amazonの「Amazon Web Services」(AWS)にもDockerのサポートは組み込まれているが、Azure Container Serviceと同じ機能はまだ提供されていない。
Azure Security Center
Azure Security Centerは、クラウド管理者に、Azureリソースのセキュリティについて詳細で管理しやすい管理画面を提供することを念頭に設計されている。重要なのは、Azure Security Centerが大手セキュリティプロバイダーと統合されることだ。具体的には、Check Point Software Technologies、F5 Networks、Cisco Systemsなどがある。Azure Security Centerは、企業のAzure環境におけるセキュリティの監視、ポリシーの管理、脅威の検出に重点を置いている。
Azure Security Centerのダッシュボードでは、仮想マシン、ネットワーク、SQLデータベース/アプリケーションのセキュリティステータスを一元管理できる。また、問題が発生している場合には、その問題を修正する推奨方法も提示される。主要なサードパーティーセキュリティ製品との統合によって、推奨方法を実装するオプションも用意されている。例えば、Barracudaの「Barracuda Web Application Firewall」をアプリケーションに導入することができる。
多くの企業は、クラウドに保存しているデータの制御を失うというリスクを冒している。また、自社のセキュリティポリシーをクラウドに拡大適用するのは困難だ。可視性を向上して、管理者がクラウド資産をセキュアに管理できるようにするツールは、どのような場合にも歓迎されるだろう。興味深いことに、Azure Security Centerは、Microsoftの顧客のネットワークだけでなく、Microsoftのグローバル脅威情報も取り入れている。これは非常に強力な組み合わせになり得る。この情報は、現在進行中の攻撃や危険にさらされている可能性のあるPCを検出するのに使用できる。この類の脅威情報を原動力とした脅威の検出と監視は、今後数年間において効果的なサイバーセキュリティの要となるだろう。
Microsoftが脅威情報提供のカスタマイズに対応して、Azure Security Centerの情報が特定のセクターに適切なものになるかどうかは分からない。だが、間違いなく好調なスタートを切っている。現時点では、AWSには、Azure Security Centerに相当する機能はない。この状況は、クラウドセキュリティを向上および革新するためのMicrosoftによるたゆまぬ努力のたまものである。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
4
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
5
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
6
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
7
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
8
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
9
「結局使わなくなる」Microsoft 365 Copilotを半年で定着 キリンの3施策
-
10
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー