進化するネイティブツール
ハイブリッドクラウドの未来を照らす「Docker」と「OpenStack」の可能性(1/2 ページ)
AWSでハイブリッドクラウドを実現するための鍵となるテクノロジーに「Docker」と「OpenStack」がある。ユーザーは、AWSとオンプレミス間でワークロードを自由に行き来させることを望んでいる。
「Amazon Web Services」(AWS)を利用したハイブリッドクラウドの移行と管理を簡略化する技術が登場すれば、ハイブリッドクラウドの未来を疑問視する人は減るだろう。
AWSでハイブリッドクラウドを実現するための鍵を握るテクノロジーとして注目されているものが2つある。それは、米Dockerのコンテナと「OpenStack」だ。前者は、全く異なるパブリッククラウドとプライベートクラウド間のアプリケーションポータビリティの問題を緩和する。後者は、少なくとも一部はハイブリッドクラウドインフラの基盤となる標準として認められている。
「まだ黎明期にあるため、『私たちが全て解明して、2つのクラウドプラットフォームを統合した』と誰もが主張することができる」と米VMwareや仮想データレプリケーションソフトウェアメーカーの米Zertoで勤務経験のある独立系ITコンサルタントのイアン・ペレス・ポンセ氏は述べる。
クラウド移行問題の救世主Docker
2014年から2015年にかけてDockerが普及させてきたコンテナの役割の1つは、異なるインフラ間でのアプリケーションポータビリティだ。コンテナは開発初期段階にあるが、マルチクラウドコンテナ管理をサポートするためにDockerは2015年10月に米Tutumを買収している。
Tutumが提供するツールは、イメージのレジストリからコンテナを取得して環境にデプロイし、その後コンテナのログ記録、監視、健全性チェック、アップデート、パッチ適用を行う。
「ユーザーからは、次のような質問が寄せられる。『ラボにいる開発者からコンテナを取得して、運用環境にデプロイするにはどうしたらいいのか。デプロイ後はどうやってコンテナを管理するのか』と。これに対して私たちは『Tutumで対応できる』と答えている」とDockerの製品担当上級副社長であるスコット・ジョンソン氏は言う。
ただし、Tutumが唯一の解決策ではない。米Mesosphereと米Googleの「Kubernetes」もコンテナ管理の分野で名乗りを上げており、コンテナ管理の覇権争いは今も続いている。
「コンテナは、ハイブリッドクラウドの問題を解決するソリューションとして有望視されている」とスペインのバルセロナで創業し、Docker向けのメタスケジューラに取り組んでいるForce12.ioの共同創立者であるアン・カリー氏は話す。
しばらくの間IT業界で働いた人であれば、「ロックインはなくなる」という期待に懐疑的になるのも無理はない。だが、少なくともコンテナは、こうしたITの常とう文句に潜む真実を過去のものとする可能性を秘めている。そう語るのは、ソフトウェア開発分野で20年の経験を持ち、英ロンドンを拠点にするソフトウェア会社WorkingProgramのCEO兼共同創立者であるカリー氏だ。
「現時点で、コンテナクラスタは同じクラウド内になければならない。だが、クロスクラウドにする方法については各方面で取り組んでいるだろう。そして、私はそれが実現可能だと心から信じている」(カリー氏)
Amazonプレミアコンサルティングパートナーの米Booz Allen Hamiltonで、戦略改革グループのシニアリードテクノロジストを務めるナーマル・メタ氏は次のように述べている。「ステートフルなコンテナ移行を実現する運用環境で使えるツールという点では、コンテナは完成まであと一歩だろう。次のステップは分かりやすい。それは、これらのアプリケーションをプライベートクラウドからパブリッククラウドサービスへと移行することだ」
「これこそ私たちが顧客に示すユースケースとして検討しているものに他ならない」(メタ氏)
開発やテスト目的だけではあるものの、一部の企業はクラウド間のワークロードの移行にコンテナを使用している。このような企業の1つに、航空情報のグローバルデータサービス企業の米FlightStatsがある。
FlightStatsのプラットフォームエンジニアリング部門で統括責任者を務めるアレックス・ウィザースプーン氏は次のように語る。「私たちは、スタック全体を表す静的なDockerイメージに、私たちの環境を完全な状態で保存している。そのため、例えば2014年に保存したデータを再現できる。また、2014年に保存したデータを使用して何か新しいことを行ったらどうなるかを検証することも可能だ」
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[横河レンタ・リース株式会社] AIの全社活用が加速 トヨタ・コニック・プロに学ぶ「AI PC調達」の秘訣 -
製品資料
[横河レンタ・リース株式会社] 人材不足時代の「PC調達」ガイド:知っておきたいリースとレンタルの違い -
製品資料
[横河レンタ・リース株式会社] PC調達に「レンタル」を選ぶことのメリットは? リース・購入との違いも解説 -
技術文書・技術解説
[セコムトラストシステムズ株式会社] SCS評価制度時代の「SASE選定」ガイド -
比較資料
[セコムトラストシステムズ株式会社] なぜ「SASE選定は難しい」と言われるのか? 多くの人が陥る失敗パターンを解説
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
2
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
3
パッチなしで「今すぐサーバを落とせ」 Kiteworks異例警告の波紋
-
4
LINEヤフーはなぜ「社内の管理者」すら信用しないインフラを作ったのか
-
5
「企業におけるAI導入検討度とIT投資優先度」に関するアンケート
-
6
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
7
OpenAIやAnthropicでさえ制御不能 2026年夏「3大サイバー攻撃」の衝撃
-
8
「サイバー犯罪株式会社」に潜入 現地調査で判明した“犯罪者求人”の実態
-
9
【基本情報技術者試験】メモリ不足でもアプリが動くのはなぜ? OSを支える「仮想記憶」
-
10
「契約業務のAI活用」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
2
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
-
3
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
4
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
5
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
6
プログラミング不要で誰でも実現できる、ネットワーク運用管理の自動化とは
-
7
Linux初心者でも知らないとまずい「RHEL」「SLES」の違いとは?
-
8
東大教授と考える、AI時代の「データ主権」「信頼性」「ガバナンス」の在り方
-
9
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
10
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー