Verizon、HPEなどが撤退
やはり強いクラウド“ビッグスリー”、次のサービス停止はどこ?
クラウドサービスの“ビッグスリー”との競争に太刀打ちできず、サービス停止に追い込まれるクラウドサービスが出てきた。次はどこが振り落とされるのかと、多くの人が懸念している。
IaaS(Infrastructure as a Service)は、パブリッククラウドの重要な部分であり、この市場セグメントは成長を続けているが、一部のベンダーは競争についていけなくなってきた。また、最近はVerizonとHewlett Packard Enterprise(HPE)が、IaaSサービスから撤退し、市場競争の激化が浮き彫りになった。
IaaS市場の成長は、企業がオンプレミスデータセンターからパブリッククラウドへの移行を進めていることが背景にあり、IaaS導入の勢いは止まりそうもない。調査会社Gartnerによると、世界のパブリッククラウドサービス市場は、2016年に2040億ドル規模に達し、このうちIaaS市場は従来同様に、最も急成長するセグメントの見通しという。
「業界では全体的に、データセンターコンソリデーション(集約)を目指す大きな流れがある。この流れは続くと思う」。ITコンサルティング会社ADAPTUREでクラウドソリューションアーキテクトを務めるアーメド・アブダラ氏はそう語る。
ビッグスリーの強固な牙城
IaaS市場では、最大手の「Amazon Web Services」(AWS)、「Microsoft Azure」(Azure)、「Google Cloud Platform」(GCP)がダントツに強いと、調査会社IDCのHosting and Managed Network Servicesプログラム担当リサーチバイスプレジデント、メラニー・ポージー氏は語る。「3社は、セルフサービスモデル、クレジットカード支払い、徹底した自動化、スケーラビリティ、フォールトトレランス、そして、アプリケーションとワークロードに対するほぼ新しいアプローチであるDevOpsを推進およびサポートし、市場に君臨している」と。
また、これらのプロバイダーの成功は、企業ニーズへの対応に注力してきたことも功を奏したと考えられる。
「AWSなど既存の大手プロバイダーは、具体的なメリットを打ち出したマーケティングと、コストダウンが非常にうまくいっている」とアブダラ氏はいう。Verizonなど多くのパブリックIaaSプロバイダーは、そうした市場環境の中で対抗していくための効果的なビジネスモデルの構築に苦戦しているのだと。
Verizonは、IaaSのターゲット顧客となる既存企業顧客以外にも、さまざまな層の顧客向けにビジネスを行っており、携帯や消費者向けエンターテインメント、ブロードバンド、IoT(モノのインターネット)には資金を投入できたが、IaaSサービスを展開するための十分な余力は残っていなかったと、ポージー氏は説明する。
HPEやVerizonがパブリックIaaS市場から撤退したのは、驚くには当たらない。「彼らはAWSのようなクラウドネイティブではないからだ」とポージー氏は指摘する。「ハイパースケールなIaaSの市場で成功するには、VerizonやHPEにはないさまざまな力量が必要だ。例えば、ゼロから、ごく基本的なコンポーネントから技術プラットフォームを作り上げる力や、広範なソフトウェアの開発力、さまざまな独自の知的財産などだ」
ただし、HPEやVerizonのような歴史の長い、あるいはいわば“クラウドに移住してきた”プロバイダーは、ホステッド/マネージドプライベートクラウドや、仮想プライベートクラウドサービスを提供し、まだクラウド市場に踏みとどまっている。こうしたサービス企業のうたい文句は、「エンタープライズグレード」で、「企業が自社データセンターやコロケーション施設、あるいは昔ながらの仮想化されていないマネージドホスティング環境からの移行または“リフトアンドシフト”する、従来のエンタープライズアプリケーションに力を入れている」というものだと、ポージー氏は説明する。
さらに、「Rackspaceは違った展開を見せている。独自のOpenStackベースのパブリッククラウドに投資し注力していたが、一転してサードパーティークラウド(現時点ではAWSやAzureも含む)向けのマネージドサービスの提供を推進している」とポージー氏は語る。続けてポージー氏は、「Rackspaceは、独自のプライベートクラウドサービスにも重点的に取り組んでいる」と付け加える。
IaaS市場では次に何が起こるか
パブリッククラウド市場から退出するIaaSプロバイダーがまた出てくるかどうかを予想するのは難しい。だが、IaaS市場で生き残るAWS型のパブリッククラウドは、多くはないだろうと、氏は見る。
「現時点で、投資や開発の規模はほとんどの企業の限界を超えている。ただし、中国のプロバイダーやさらにはHuaweiが、この市場に挑み続けることはあり得るだろう」(ポージー氏)
IDCは、AWSのIaaSと同様のビジネスモデルと市場アプローチを取る世界的なハイパースケールなIaaSプロバイダーは、一握りしか残らないと考えている。Microsoft、Google、IBMと、Alibabaなど一部の中国企業だ。また、データ主権とデータ保護を前面に押し出して、自社のサービスをAWSに代わるパブリックIaaSの選択肢として確立しようとしているDeutsche Telekom(DT)のような企業もある。
実は、DTはHuaweiと組んで、欧州向けパブリッククラウドの構築を進めていると、ポージー氏は指摘する。「しかし、今の段階で主要なパブリッククラウドIaaSプロバイダーに挑もうとするのは、McDonaldやAppleに真っ向から対抗しようと、ゼロからスタートするようなものだ」(同氏)
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