料金改定と機能改善で使えるクラウドに
“打倒AWS”に本気な「Windows Azure」の価格競争力
米Microsoftが正式提供を開始した「Windows Azureインフラストラクチャサービス」。強気の料金設定や機能で、王者Amazon Web Servicesの牙城を切り崩すことができるか?
クラウド戦略の方向性を検討中の企業では、米Amazon Web Services(AWS)のクラウドサービスに変わる選択肢として、米Microsoftの新しいプラットフォーム「Windows Azureインフラストラクチャサービス」が浮上してきた。
Microsoftは2013年4月半ばに、利用料金を大幅に抑えて、Windows Azureインフラストラクチャサービスの正式運用を開始した。Microsoftは、このInfrastructure as a Service(IaaS)をAWSのクラウドサービスの対抗馬と位置付けている。
β版で導入された機能の他に、Microsoft SQL ServerやMicrosoft SharePoint Server用の改良された仮想マシン(VM)イメージテンプレートや、大量のメモリを使用するサーバ用にメモリを拡張できるVMインスタンスなど、幾つかの新機能が導入されている。IaaSやPlatform as a Service(PaaS)用VMの利用料金も21~33%引き下げた。
一部の企業のIT担当者は、Microsoftの明白なAWSへの対抗姿勢に心を動かされた。
米大手小売店のIT部門に所属する上級システムエンジニアの1人は、「Amazonには幾つか便利な機能があるが、恐らくMicrosoftの方が既存プラットフォームとの相性がいい。Microsoftは、料金面でこの(AWSとの)戦いに負けない覚悟をしている」と評価する。
別の業界オブザーバーも、Windows Azureインフラストラクチャサービスの料金的な魅力が増したことで、エンタープライズ分野でのMicrosoftの競争力が高まったことを認めている。だがそれ以外の分野も含めたクラウド競争においては、AWSと互角に戦えるとは見ていない。
Windows Azureの営業スペシャリストとしての経験があるコンサルタントのマーク・アイゼンバーグ氏は、「この動き(料金改定)によってクラウド競争での駆け引きに使えるカードを手に入れたが、AWSと肩を並べたわけではない。Microsoftはエンタープライズ分野では有利なカードを持っているが、(AWSとの)真っ向勝負ではまだ敵わない」と指摘する。
アイゼンバーグ氏によると、Windows AzureのVMは、運用プラットフォームとして利用できる状態ではなかったため、多くの大規模ユーザー企業は採用を見送ってきたという。だが約1年にわたるβプログラムを通じてサービスの改良が進んだ結果、大企業に受け入れられやすくなった。
「(βテストによって)さまざまな欠点が是正された結果、大企業への導入をイメージできるようになった。クラウドを導入する必要があり、AWSのエンタープライズ対応では不十分だと思うのなら、Windows Azureが有効な選択肢の1つになる」と、アイゼンバーグ氏は話す。
Windows Azureインフラストラクチャサービスは、新しいVM機能と仮想ネットワーク機能を搭載する他、サービス品質契約(SLA)による保証が付き、技術サポートも付属する。
MicrosoftのWindows Azureアプリケーションプラットフォームチームを率いる副社長のスコット・バスリー氏は、「Windows Azureインフラストラクチャサービスの無料評価版が現在公開されており、すぐに試すことができる」とブログで報告している。
Microsoftによると、自動車ディーラー向けにソーシャルメディア関連サービスを提供する米Digital Air Strikeとノルウェーの通信サービス企業Telenor Groupの2社が、それぞれの運用環境にWindows Azureインフラストラクチャサービスを導入しているという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
実際に悪用される脆弱性は4%前後 優先的に対処すべき脆弱性を把握するには? -
事例
三菱ケミカルが脆弱性への迅速な対応フローを実現した方法とは? -
技術文書・技術解説
MDMだけでは防げない? Appleデバイスに潜む5つのセキュリティギャップ -
事例
大阪市の未来を創る「行政DX」の本質と、その取り組みを支える統合基盤の実力 -
事例
【行政DX先進事例】横浜市が「市民に大切な時間を返す」を実現できた理由とは?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
IT人材の42%が転職予備軍 辞めさせない組織の4つの共通
-
2
「データ集約」はリスクだらけ? 分散型データセンターが“必然”になる理由
-
3
継続利用は4割どまり M365 Copilotが「効く業務」と期待外れの境界
-
4
ただなのに「12時間以内の復旧」も要求 無償OSSに商用レベルを求める企業の末路
-
5
LLMの「過学習」、正しく説明している文章はどれ?
-
6
「HDD終了」は本当か 巨大クラウド2社が下した大容量フラッシュへの決断
-
7
Claude Codeでは「エージェントを作るな、スキルを作れ」 Anthropicが示すAI構築術
-
8
「にゃんこ大戦争」がAWSを脱出した理由 無停止移行に潜む“わな”
-
9
弁当の玉子屋がSalesforceを導入 属人化した営業管理から脱却する
-
10
「結局使われない」Microsoft 365 Copilot なぜキリンは“全社定着”できたのか
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
2
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
3
属人化や仕様バグはなぜ起きる? AI時代に必須のドキュメント文化の作り方
-
4
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
5
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
6
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
7
中小企業必見、Microsoft 365でゼロトラストセキュリティを実現する方法
-
8
5分で分かる「AI駆動開発エージェント」 要件定義から設計・実装・テストまで
-
9
動画で知るランサムウェア被害企業のリアル、会計データが無事だった理由とは
-
10
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー