米Gartnerが独自基準で評価
至高のクラウドはどちら? Amazon Web ServicesとMicrosoft Azureを徹底比較
クラウド市場のトップを走り続けている 米Amazon Web Servicesに対し、それを追う米Microsoftは今後、自らの優位性を十分に生かし、より大きな影響力を持つことができるのだろうか。
今は米Amazon Web Servicesの「Amazon Web Services」(AWS)が米Microsoftの「Microsoft Azure」に大きく差をつけているかもしれない。だが、パブリッククラウド市場の覇権をめぐる戦いは、短距離競走ではなく長距離競走だ。
米調査会社GartnerのIaaSクラウド評価基準「Evaluation Criteria for Cloud Infrastructure as a Service」の2014年版では、AWSが1つを除く全てのカテゴリでMicrosoftをリードしている。AWSはGartnerがIaaSに求める基準のうち92%を満たしているのに対し、Microsoftは75%しか満たしていない。
AWSがAzureよりも優れている点
Gartnerの調査ディレクター、カイル・ヒルゲンドルフ氏によれば、2013年と比べれば、どちらのクラウドも大きな前進を遂げたという。2013年には、AWSは71%、Microsoftは55%しか基準を満たしていなかった。
2014年8月にサンディエゴで開催されたGartnerのカンファレンス「Gartner Catalyst Conference」で、ヒルゲンドルフ氏は「AWSとMicrosoftにはまだ差がある。差は縮んでいない。だが、広がることもなく、一定の差を保ち続けている。Microsoftとしては名誉なことだろう」と語っている。
AWSとAzureはいずれもセルフサービスプロビジョニングを提供しているが、Gartnerの評価基準では、クラウド事業者は「ある一定の時間内に簡単な操作のインタフェースを用いて複数のインフラ要素を同時にプロビジョニングする能力」を提供しなければならないと定められている。
この点では、AmazonがMicrosoftよりも優秀だ。AWSのAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)にはパラメータがあり、例えば、「Amazon Elastic Compute Cloud(EC2)」のインスタンスを20個作成したいユーザーは「20」と入力するだけでいい。Azureの場合、ユーザーはAPIリクエストを作成し、20回送信する必要がある。
AWSとAzureのどちらを選ぶかは、クラウドに移行してから何を利用したいかによっても異なる。そう指摘するのは、米リゾート経営企業Vail Resorts Management CompanyのITディレクター、メル・ラデウィグ氏だ。
「AWSのように無制限の自由自在なクラウドには、IaaSサービスの方がよく合う」と、同氏は語る。
Vail Resortsは米Concurの出張・経費管理システムや米SuccessFactorsの人材管理ソリューションなど、SaaS(Software as a Service)アプリを幾つか使用している。
データセンターが距離的に近くにあるかどうかは常に明確というわけではないが、この点でもAWSがAzureよりも優位に立つ。顧客は多くの場合、特定の地域にしか関心がない。Microsoftは複数のデータセンターを運用しており、それぞれが地理的に分散しているので、例えば、大規模企業はシカゴとテキサス州のデータセンターを組み合わせなければ高可用性を実現できない可能性もある。
「それ自体は何も悪いことではない。ただし、100キロ圏内にとどめる必要があるような場合は、その要件に反する。従って、その場合はAmazonを使い続けることになる」と、ヒルゲンドルフ氏は語る。
また、企業がクラウドを大規模に導入するようになった場合は、リソースをグループ化する能力が重要となる。Gartnerの評価基準によれば、この点でもAWSがMicrosoftに勝っている。
AzureがAWSよりも優れている点
ヒルゲンドルフ氏によれば、サポートとサービスに関してはMicrosoftがAWSよりも優れているという。これは、Microsoftの方が企業相手のビジネスにおける成熟度と経験値が高いことによるところが大きい。
クラウド事業者には、顧客がブロックストレージの容量をダウンタイムなしにその場ですぐに追加できるようにすることが求められる。Microsoftのストレージサービスでは、それが可能だ。AWSのサービスでも可能ではあるが、ひと手間が掛かる。
AWSの場合、ユーザーは稼働中の仮想マシン(VM)からストレージボリュームを切り離し、VMをいったん停止させた上で、ボリュームを拡張または再プロビジョニングする必要がある。
Azureは当初、PaaS(Platform as a Service)としてサービスが展開されていた。そのため、前出のVail ResortsのようにMicrosoft製品が中心の大企業にとっては理にかなった選択肢だった。
前出Vail Resortsは、レガシー環境で培ったノウハウとの相性が抜群であることから、Azureの導入を検討した。「Microsoft製品に関する限り、当社のITスタッフの能力は非常に高い」とVail Resortsのラデウィグ氏は語る。
ディザスタリカバリ(DR)計画についても、より透明性が高いのはMicrosoftの方だ。MicrosoftはDR計画を公開し、顧客に対し、「重要なリソースをホスティングしている事業者としてDR計画を用意しており、結果も提示できる」と保証している。
Gartnerのヒルゲンドルフ氏は次のように語る。「AmazonがDR計画を策定していないというわけではない。だが、Amazonはその内容を顧客に公表はしていない。DR計画が実施されていることや、どのように実施されているかを確認できるかできないかの違いは大きい」
またMicrosoftはSLA(サービスレベル契約)の変更には90日間の猶予期間を設けており、SLAに何か変更がある場合には、90日前までに顧客に通知が届くことになっている。
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