大原雄介の「最新ネットワークキーワード」【第6回】
無線LAN規格「802.11ac Wave 2」編──次の無線LANは「ad」から「ay」に(2/2 ページ)
802.11“ay”は2018年に本格始動か
WiGig、つまりIEEE 802.11adの次の規格として、2015年から標準化作業が始まったのが「IEEE 802.11ay」だ。こちらはまだ作業グループができたばかりで、今まさに検討を行っている最中にある。現在の予定ではDraft 0.1を2016年11月に提出し、Draft 1.0は2017年5月に出てくる予定だ。このDraft 1.0を基に標準化作業を始めるので、標準化が完了するのは早くても2018年の後半になるだろう。基本的な技術はIEEE 802.11adに近いが、拡張版というよりもIEEE 802.11adを電波到達距離を伸ばして無線LAN向けに作り直したというのが実情に近い。
まだ検討作業を始めたばかりで細かい仕様は何も決まっていないが、目標は28Gbps程度の伝送速度と、最低でも100メートルの到達距離(屋外における見通し状態)の実現だ。28Gbpsというのは、非圧縮の8K映像(7680×4320ピクセル、60fps、24bitカラー)のリアルタイム転送を想定しており、レイテンシ(遅延時間)は10ms以内に抑えるとしている(これは1フレーム未満に相当する)。
以上のスペックをどのような方法で実現するのか。IEEE 802.11acの256QAMまで持ち込むかどうかははっきりしないが、少なくとも高効率なエンコード方式を採用するはずだ。また、チャネルボンディングも採用するだろう。到達距離では、MU-MIMOとビームフォーミングを導入して電波を絞り込んで飛ばすことで実現したいようだ(MU-MIMOとビームフォーミングについては連載第5回「無線LAN規格『802.11ac Wave 2』編──MU-MIMOとビームフォーミングを理解する」を参照)。ただし現段階では仕様要求をまとめながら実現の可能性を探っている状況なので、場合によっては「実現不可」として標準化作業を断念する可能性もまだある。実現可能であれば、Draft 1.0をリリースする時期にWi-Fi Allianceも何かしらの行動を起こすだろう。
とはいうものの、Draft 1.0が出てくるのは2017年5月とまだ先なので、Draft 1.0をベースに製品開発を始めたとしても、2017年中に製品が登場するかどうかは微妙なところだ。2018年以降というのが現実的な登場時期だろう。それまでに、WiGigが今以上に普及していれば、2018年からIEEE 802.11adとIEEE 802.11ayに対応したルーターが登場するかもしれない。
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