Facebook「Workplace」の実力【後編】
Facebookのビジネス向けSNSが“Slack超え”できるこれだけの根拠(2/2 ページ)
企業ニーズを見極められるか
だがそれだけで、Facebookはこの市場のリーダーになれるのだろうか。
それは、Facebookが企業のニーズを正しく理解できるかどうかにかかっている。そう指摘するのは、Constellation Researchのレポフスキー氏だ。同氏は2016年1月に発表した報告書『Can Facebook at Work Bring Collaboration to the Business World?(Facebook at Workはビジネスの世界にコラボレーションをもたらすことができるだろうか)』において、Facebookが対処すべき幾つかの課題をリストアップしている。まずFacebookは「従業員の日常業務にシームレスに組み込めるプラットフォーム」を提供しなければならない。さらに、企業向けソフトウェアは個人ユーザー向けの製品とは異なるということをしっかり理解し、その違いを製品に反映させる必要がある。企業向けコラボレーションプラットフォームの分野でリーダーとなるためには、業界ごとに必要とされる機能が異なることも理解しなければならない。企業が必要とする検索機能や顧客サポートを提供しつつ、一方では、データプライバシーやセキュリティの問題にも常に対処しなければならない。そしてもちろん、こうした全ての要素を適切な価格ポイントで提供し、しかも競合他社よりもうまくそれを達成する必要がある。「突出したベンダーはいないが、優れた競合サービスは多数ある」とレポフスキー氏は指摘する。
以上の要件を全て満たしたとしても、結局のところ、Workplaceが本当に自分たちのニーズを満たし、ROIを提供してくれるかどうかを判断するのは、他のソフトウェアと同様、CIOやその他の企業幹部や従業員自身だ。
Facebookの強みはAIとチャットボット
アナリストによれば、WorkplaceのROIについて語るのは時期尚早だという。企業向けコラボレーション/ソーシャル分野でのWorkplaceの影響力を決定付けるのは、今後Workplaceに追加されていく新機能だ。
「Workplaceはまだバージョン1.0だ。今すぐに結論を出すべきではない」とゴッタ氏は語る。同氏によれば、Facebookがこの先、複数のバックエンドシステムやアナリティック機能との連係を追加することになれば、企業のIT部門がやるべき仕事は増えるかもしれない。
そういうわけで、Workplace普及に弾みをつけたいのなら、Facebookは新機能を短いサイクルで追加していく方針を打ち出す必要がある。さらにFacebookは、企業がこうしたコラボレーションツールを活用しきれていない背景には、技術的なことだけでなく、組織の変更があまり考慮されていないといった問題もあることを認めなければならない。
ゴッタ氏によれば、Facebookは従業員が日常的に使用するアプリケーションやツールとの連係が欠けている問題を早急に解消する必要がある。リンクを教え合い、画面を次々と切り替えるというのは、生産的な時間の使い方とは言いがたい。「恐らくWorkplaceのビジネス開発チームが戦略的に最も重要な長期的成功の決定要因となるだろう」とゴッタ氏は語る。
Facebookのライアン氏によれば、同社は目下、連係に取り組んでいるという。「その重要性を理解している」と同氏は語る。
ただし、この先提供が予定されているのは連係だけではない。Gartnerのゴッタ氏は、チャット機能やモバイルメッセージングボットなど、人工知能(AI)を使ってプロセスの一部を自動化する幾つかの機能に特に注目しているという。
同氏は2013年に公開された人気のコラボレーションツール「Slack」に言及し、次のように語る。「企業向けメッセージング機能であるWork ChatはボットやAIやプラグインを介して進化し、より“Slack”的なものになるかもしれない。実際、Workplaceのコアなサービスをしのぐ、とてつもないパワーを秘めた人気の機能となるかもしれない」。中小規模の企業にとっては、複雑で厄介な機能を使わずとも従業員をまとめることができる革新的なソリューションとなり得るとゴッタ氏は指摘する。
AIの他、ライブ動画などの機能もFacebookの強みとなる。そうした得意分野の存在とFacebookのイノベーションの歴史は、Workplaceが「企業に新たな可能性と確実なROIをもたらすこと」の指標になるとの指摘もある。
さらに、職場のデジタル化を手掛けるDigital Workplace Groupの創業者兼CEO、ポール・ミラー氏は「Workplaceは、これまで従業員エンゲージメントやコラボレーションの取り組みから取り残されてきた人たちまで取り込むことができる。それがWorkplaceの成功を後押しすることになるかもしれない」
と述べる。
『The Digital Renaissance of Work: Delivering Digital Workplaces Fit for the Future(仕事のデジタルルネサンス:将来に適合するデジタルワークプレースとは)』の共著者でもあるミラー氏は、Facebook at Workが企業向けの新たな重要な技術となる可能性を指摘する。
毎日10億人以上のユーザーがFacebookを使用しているという事実も大きな意味を持つ。そのごく一部を取り込むだけで、Workplaceは企業向けコラボレーション市場のリーダーになれる、とアナリストらは見ている。
果たして企業は、Workplaceからどれだけの価値を引き出すことになるのだろうか。「引き続き、注目してほしい。私たちは、デジタルワークスペースが実現できることのまだ初期の段階にいる」とミラー氏は語る。
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