「クラウドコンピューティングEXPO秋 2016」レポート
IoT一色だった秋の祭典、2つのアプローチで見極めるクラウドサービス選び(2/2 ページ)
遠隔地へのクラウドバックアップが一般的に
2016年のクラウドEXPOでは、クラウドバックアップサービス市場の広がりにも注目できる。IoTのように前面に打ち出すブースこそ少なかったものの、ベンダー各社、サービスの1つにバックアップサービスをラインアップしていた。ディザスタリカバリーを意識して遠隔地にデータバックアップを持つ企業が増え、クラウドバックアップ市場は順調に拡大しているようだ。扱うデータ容量が増えたことでテープのような物理媒体へのバックアップが困難になってきたことも影響しているだろう。先に紹介したニフティのような大手ベンダーはもちろん、この分野では地方ベンダーのアピールも強かった。
北海道のデータセンター事業者である北海道総合通信網(HOTnet)は、ティ・アイ・ディ(TID)との協業で、バックアップサービスも含む災害対策サービスを提供している。「災害被害の少ない北海道のデータセンター」との触れ込みで、安全性をアピールする。
岡山県にデータセンターを持つ両備システムズも、東京や大阪などの大都市から離れた立地でデータを保護できるとアピールしていた。同社が提供する「R-Cloud」は、全国の提携データセンターを災害対策先として利用できるという。ユーザー企業の近くにあるデータセンターをプライマリーサイトとして、岡山県のデータセンターをバックアップサイトとして使うような環境を、ワンストップで構築する。
クラウドバックアップ市場で大きなシェアを持つレンタルサーバ事業者の使えるねっとは、容量200GBで月額900円(1年契約の場合)からと、比較的低コストで多くの容量が利用できる「使えるクラウドバックアップ」を提供する。長野県にデータセンターを維持しており、いざというときは新幹線に乗れば、東京から短時間でデータセンターに駆け付けられる適度な距離感が売りだ。データだけをバックアップするのではなく、アプリケーションを含めてクライアントPCを丸ごとバックアップできるので、利便性も高い。
IoT市場の拡大でベンダー間の協業がますます加速
全体を見渡して、1社単独で提供するサービスが少なくなった印象を強く受けた。ソフトウェアとデータセンターを個別に用意してシステムインテグレーター(SIer)に依頼してシステムを構築するのではなく、それぞれの強みを持つ事業者があらかじめサービスのベースとなるプラットフォームを提供する傾向にある。IoTによって、情報システムや通信サービスのベンダーだけではカバーできない物理的なデバイスが必要になったことが、大きな要因として挙げられるだろう。この傾向は今後も加速していくと、筆者は予想している。
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