AWSを基盤にしたIoTビジネス
「クラウド+工夫」で等身大のIoTビジネスに挑む3社の事例(2/3 ページ)
オープンAPIとGPSで移動体追跡プラットフォーム展開
次に紹介するのは、システムインテグレーション(SI)と公共向けのBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)を中心としたビジネスを展開するスタイルズによる「Trackrr.io」だ。バスやトラックのような移動体をスマートフォンなどの安価なIoTデバイスで監視し、位置情報や付加情報を提供するIoTプラットフォーム開発の取り組みである。
そもそものきっかけとなったのは、同社が自治体のオープンデータ推進支援サービス「OpenDataStack」を展開していたことだ。ちなみにオープンデータとは、行政や公共機関が保有するさまざまな情報について、二次利用を許可した上でマシンリーダブル(システムが読み取り可能)な形式で公開する施策である。電子行政、オープンガバメント、地方再生といった国策の1つの柱として推進されている。
スタイルズは、米国や英国における公共交通オープンデータの先進的な活用に触発され、地方公共団体によるオープンデータ公開と、サードパーティーによる利用を仲介する仕組みを作り上げた。Trackrr.ioは、IoTのビジネス活用に役立つオープンなAPIを要素技術とする。
Trackrr.ioはサーバの存在を意識する必要がない「サーバレスアーキテクチャ」を採用し、ほぼ全ての機能をAWSのマネージドサービスで実現した。具体的には、APIを作成・管理する「Amazon API Gateway」、イベント駆動型コード実行を可能にする「AWS Lambda」、デバイスからのデータ収集やデバイスのリモート制御をする「AWS IoT」、リアルタイムデータ処理の「Amazon Kinesis Streams」といったサービスを利用している。スタイルズの梶原稔尚氏は、「公共機関はオープンデータをリーズナブルかつ容易に公開し、利用者もIoTを活用したGPS追跡を低コストにすぐ始めることができます。しかも利用量がどんどん増加した場合でも、どこまでもスケーラブルです」と、その特徴を語る。
同社は、製品の配送業務におけるルート管理や納品時間管理など、配送管理システムのためのプラットフォームとしてTrackrr.ioの普及を推進していく構えだ。
例えば格安スマートフォンとソラコムのIoT向けデータ通信サービス「SORACOM Air」を利用すれば、車両1台当たりの初期投資を1万円程度、システム維持のための通信費を月額1000円以内で済ませることもできる。予算が潤沢でない企業でも十分に投資可能な範囲だ。また深夜バスやスキーバスなどの長距離運行バスにスマートフォンを搭載し、リアルタイムに位置や運行状況をトラッキングすることで、安全管理を強化するといった利用も考えられる。スマートフォンのセンサーやカメラなどを有効活用すれば、運転手の健康状態を監視することも可能となる。
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