AWSを基盤にしたIoTビジネス
「クラウド+工夫」で等身大のIoTビジネスに挑む3社の事例(1/3 ページ)
IoT活用には大規模なシステムと高度な技術力、多大なコストが掛かると思われがちだ。しかしクラウドを利用して知恵を絞ることで、低コストで本格的な実用に踏み込んでいる企業もある。
あらゆるモノがインターネットにつながる「IoT(モノのインターネット)」をビジネスに生かすには、大規模なシステムと高度な技術力、多大なコストが掛かると思われがちだ。だが実はそうではない。知恵の絞り方次第で、案外簡単に本格的な実用化まで踏み込めるのだ。アマゾン ウェブ サービス ジャパンが2016年11月に開催したイベントの内容を基に、等身大のIoT活用を実践し、サービスや製品またはパッケージとして外部にも提供している3社の事例を紹介する。
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事例1:製造ラインとiPodを連係してリアルタイムにデータ分析
製造業のIoT活用というと、よくスポットが当たるのは「インダストリー4.0」(第4次産業革命)のキーワードに象徴されるグローバル企業の取り組みだ。だが実際にはIoTはもっと身近な“草の根”レベルでも着実に浸透し、成果を上げつつある。
まず取り上げるのが、「青梅から世界に向けてのものづくり」というスローガンを掲げて国内生産にこだわる、東京都青梅市の自動車部品メーカー武州工業だ。従業員数約160人の同社は、自社のものづくりを支援する「BIMMS」という統合生産管理システムを構築。さらにはそのシステムをクラウドサービスの「Amazon Web Services」(AWS)に載せて、他社にも提供するという施策に乗り出したのである。
160人の従業員は、出退勤に始まり自身の担当業務の進捗(しんちょく)率、在庫情報、品質異常などを170台のタブレットを通じてBIMMSに情報を入力する。それぞれの作業ステージごとに、日常業務の“棚卸し”を毎日するイメージだ。例えば出退勤に関しては、気分に応じて5種類のボタンがあり、調子が良ければ笑顔のボタンを押す。それぞれが小さな報告をしていくことで、結果的にビッグデータを生み出すことにつながっている。同社代表取締役の林 英夫氏によると、「現場が“棚卸し”視点で情報を入力することで、“気付き”を生み出すシステム」になっているという。
一般的には、労務管理システム、受注管理システム、品質管理システムといったシステムは、それぞれ個別のシステムとして存在し、情報の入力や分析もシステムごとだ。これだと受注状況と品質の相関は、システム間の連係が取れていないため分かりにくい。
BIMMSでは、出退勤から生産指示、生産実績管理、品質管理、状況分析、工程不良管理、倉庫在庫管理に至るまで、日常のさまざまな業務システムが有機的につながっている。これによって、少ない入力でも、たくさんの切り口で分析ができる。
IoT活用の一例としては、製造ラインの動作部分にセンサーを取り付けてデータを収集する取り組みをしている。センサーといっても特別な装置を必要とするわけではない。「音楽プレーヤーの『iPod touch』を取り付ければ、内蔵の3軸ジャイロセンサーを簡単に利用できます。収集したデータを無線LAN経由でリアルタイムにAWSのクラウドへ送り、自動的に統計処理して見える化ができます」と林氏は語る。中古のiPod touchであれば1万円程度で購入でき、コスト的な負担にもならないだろう。
こうしたIoT活用による省力化によって、機械に任せてよいデータの解析や傾向値の把握、各工程の工程不良率(特定の工程で不良品ができる割合)の標準偏差算出などの作業は自動化し、工場で働く従業員は人にしかできないことに集中することが可能になったという。
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