IVS CTO Night&Dayレポート
CTOという将来のキャリアに向けて、今エンジニアがすべきこと(2/2 ページ)
CTOはコミュニティーを希求しているのかもしれない
IVS CTO Night&Dayを取材していて筆者が一番強く感じたのは、参加者たちのネットワーキングへの熱意と積極性だ。最初にそれを感じたのは、ウエルカムパーティのときだった。
筆者はユーザーグループが主催する勉強会を取材することも多いが、初対面の人に自分から話し掛けていくエンジニアはそう多くは見ない。対してCTOは、横のつながりを作るために動いていく人が多かった。初対面の人を避けるのではなく、むしろ知らない顔を探して名刺を交換し、会話をしようとしているようにさえ思えた。
イベントの作り自体も、ランチのたびに座席をシャッフルしてできるだけ多くの参加者同士が交流できるようにするなど、工夫が凝らされていた。主催者も参加者も、CTO同士が出会い交流することの大切さを知っている証拠だろう。しかし、なぜそれほどまでにこの場での交流を重視するのか。それは恐らく、CTO同士が出会い、交流する場が少ないからではないかと筆者は考える。
エンジニア向けの勉強会やコミュニティー活動は近年活発になる一方だが、CTOが参加するには各論に寄り過ぎている。彼らが知りたいのはサーバレス化するための具体的なテクニックや、IoT(モノのインターネット)で情報を集めるための端末操作方法ではない。サーバレス化やIoTによって得られるメリットや、今後の技術動向に注目しているのだ。だが残念なことに、そうした視点から広く最新技術を学ぶ場はそう多くない。
一方で経営的視点について学ぶには、CEOとの違いが壁となる。先に紹介したように、企業によって違いはあれど、CEOとCTOでは役割分担がある。CEO的な視点だけでは見つけられない解決策を、CTOは求めている。筆者にそう確信させる出来事が、IVS Night&Day初日にあった。1日目に開催されたIVSとの合同プログラム、Toutiaoの劉氏のセッション後のことだ。
スタートアップとはいえ、ToutiaoはDAU(Daily Active Users、1日にサービスを利用したユーザー数)7400万人と世界最大規模を誇る。講演では経営戦略を実現するための人的リソース、IT活用が語られたが、CTOたちにはピンとこない部分も多かったようだ。経営戦略や方針については規模の違いがあっても学ぶ部分はあるだろう。しかしITの利活用については規模が違えば最適解は全く異なる。数億人の国民がいて国内展開だけでも数千万DAUを獲得できるサービスのシステムを解説されても、日本のスタートアップとは規模が違いすぎて自社のヒントとして役立てにくかったのではないだろうか。セッション後の会場移動中に参加者から漏れ聞こえた感想は、次のようなものだった。
「7000万DAUって言われても、そんな規模は日本で狙えないし、あの展開はうちらじゃ無理だよね」
「あの構成もあの規模なら生かせるけど、うちのサービスじゃコストに見合わないよ」
CTOが求めているのは今使える技術であり、自社の身の丈に合った使い方の情報なのだ。Toutiaoの話は経営者目線では理解できても、手法が腑に落ちなかったのだろう。これはつまり、CTOが求める情報は経営者コミュニティーにもないということだ。
CTOという役割自体の歴史が浅いこともあり、その知見はまだ蓄積されていく過程にある。彼らはそうした情報を共有できる場を求めている。しかしその場は、エンジニアのコミュニティーにも経営者の集うサロンにもない。
将来のためにエンジニアは今、どう活動すべきか
自らのキャリアデザインにCTOというゴールを見据えている読者もいるだろう。そうした将来像を描いているエンジニアが、今何をすべきか。それは一言で言って、次のステップのコミュニティー形成だと筆者は考える。ユーザーグループの勉強会で知見を得るように、そこで知り合った同じ役割の人間同士のコミュニケーションが刺激を与え合うように、CTOになっても積極活用できるコミュニティーを作っていかなければならないのだ。
そのために取るべき具体的な行動について、解を持っている人はまだいないかもしれない。しかしチャレンジしていけば、将来自分に返ってくることだけは確かだ。今コミュニティー活動で良い刺激を得ていると感じている人ほど、次のステップで参加したくなるコミュニティーについて考える必要があるのではないか。IVS CTO Night&Dayを取材しながら筆者が感じていたのは、そんなことだった。
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