商用ディストリビューションの価値とは
なかなか盛り上がらないOpenStackの企業導入、廃業するベンダーも(2/2 ページ)
過剰なディストリビューション
オープンソースの経済的メリットを十分生かすため、上流工程で自立したオープンソースコードの使用を試みる企業もある。ただし、大多数の企業は商用ディストリビューションを使用していると話すのは、IDCでクラウドおよび仮想化システムソフトウェア調査部門のマネジャーを務めるギャリー・チェン氏だ。
だが、商用ディストリビューション市場は大量のディストリビューションをサポートできずに、時間をかけて淘汰されていくと同氏は予測する。同氏はこのオープンソースの淘汰をLinuxのOSの進化と比較している。LinuxはOpenStackよりもはるかに大きな足跡を残したが、主要商用ディストリビューションを提供するベンダーはSUSE、Canonical、Red Hatの3社に絞られている。
OpenStackのディストリビューション市場は、撤退する企業、廃業する企業、買収を受ける企業も現れ、少しずつ縮小し始めている。例えば、2012年に「Essex」リリースと「Folsom」リリースに最もコードを提供したNebulaは2015年に廃業した。こうした統合は続く可能性が高く、バンドルされるハードウェア製品やソフトウェア製品など、他のOpenStackの消費モデルでも同様だろうとチェン氏は語る。
OpenStackディストリビューションをリードする2社、MirantisとHewlett Packard Enterprise(HPE)も最近、OpenStackプログラムに携わるスタッフを削減している。
HPEは当初OpenStackに大きく貢献したが、最近のリリースでは同社の貢献が減少している。2015年の2回のリリースでは最も貢献した企業としての立場を保っていたが、2016年10月のリリース(Newton)では4番手まで落ち込んだ。同社はOpenStackの立ち位置と未来を適切に反映して人員規模を適正化しているように見えるとIDCのチェン氏は指摘する。
Mirantisはサービスに注力し、OpenStackのマネージドバージョンを販売する予定だ。つまり同社は、主に顧客が自力で使用する何百ものバージョンを提供することから、パブリッククラウドに近いものに移行していることになる。同社によれば、人員削減は、エンジニアリングスキルではなく運用スキルを備えたスタッフの必要性を反映するものだという。
企業がOpenStackに至る道筋
OpenStackのユーザビリティを高め、アップグレードを容易にすることを最優先にすべきだと話すのは、OpenStackの立ち上げに関わり、現在はVapor IOのCEOを務めるコール・クロウフォード氏だ。
成熟してきたとはいえ、既存の機能に大きく依存することに比べ、新しい機能の追加は冒険になるため、OpenStackの企業導入は引き続き負担を強いられる。
例えば、明確で緊密に統合されたサービスファブリックを備えた「Apache Mesos」ベースのDC/OSに比べ、OpenStackはうまく連係するはずという無責任なプロジェクトであり続けたとクロウフォード氏は指摘する。
だが、OpenStackの進捗状況について期待する理由もあると同氏は話す。CERNによる10万を超えるコアのロールアウトを同氏は挙げる。ヨーロッパの主要科学研究組織による導入は現在のニッチなアピールを明確に示しているとしても、企業IT顧客の共感を得ているわけではない。
主にVMテクノロジーと考えられているOpenStackに関するもう1つの重要な長期的疑問に、コンテナと連係する方法が見つかるかどうかがある。全ての次世代アプリケーションはコンテナベースになるだろう。そのためコンテナの使用を考えている企業にOpenStackのメリットを示すことがカギになる。
現時点では、コンテナがOpenStackと共に動作する独立したスタックになるかどうか、またコンテナがOpenStackと統合されるかどうかは明らかではないとクロウフォード氏は話す。
だがIDCのチェン氏によれば、OpenStackでのコンテナへの取り組みの大部分は大半の企業にとって役に立たず、一部のモジュールは成熟していないという。
「最終的に、VMが過去の技術でコンテナが未来の技術だと思われるようになれば、VMに関連付けられるOpenStackは未来の技術ではなく過去の技術とみなされてしまうだろう」(チェン氏)
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