機密データを公にさらす
バックアップが役に立たない? 新型ランサムウェア「ドキシウェア」の脅威(2/2 ページ)
ドキシウェアの“限界”
カナダのバンクーバーを拠点にするIT資産管理ベンダーAbsolute Softwareでグローバルセキュリティストラテジストを務めるリチャード・ヘンダーソン氏によると、ドキシウェアが獲得する身代金は高額になる恐れはあるものの、脅威としてはそれほど広がらない可能性があるという。
ドキシウェアを使った攻撃では「小規模な攻撃活動しか展開できない」とヘンダーソン氏は語る。脅迫ネタを探すために、綿密な確認が必要になる何百万ものファイルを保存することは、攻撃者にとって単純に難しいからだ。
膨大な数のファイルが攻撃者に転送されるので、その行為が検出される可能性もあるという。攻撃者がドキシウェアに感染したクライアントPCからファイルを動かさなければ「その脅迫に真実味がなくなる」(ヘンダーソン氏)ためだ。
「恐らく最も重要なのは、ドキシウェアでは純粋なランサムウェアに見られたような規模の攻撃は発生しないことだ」とヘンダーソン氏は協調する。「投資対効果(ROI)を最大限に高めるためにターゲットが複数ある場合でも、ターゲットは非常に厳密に選ばれることになる」(同氏)
米オレゴン州ポートランドを本拠地にする改ざん検知ベンダーTripwireでシニアセキュリティ研究エンジニアとして働くトラビス・スミス氏も、ドキシウェアはより多くの収入を得ようとする攻撃者による試みであると考えている。だがドキシウェアやその他のエクストーションベースの要素から構成されるマルウェアの数が「憂慮すべきペースで増えることはない」と話す。
エクストーションベースの攻撃を実行するには「地道な調査が必要になる」とスミス氏は語る。最初にターゲットを調査して、盗んだデータの価値を判断しなければならない。次に、そのターゲットが身代金を支払ったかどうかに応じて、そのデータの扱い方について追跡的な行動が必要になる。
「攻撃者の観点では、一般的なランサムウェアの方がやりとりをほとんど必要としないため、投資利益率(ROI)が高くなる」とスミス氏は語り、一般のエンドユーザーに対するエクストーションベースの攻撃が増えることは恐らくないと説明する。だが同氏は「価値のあるデータを持っていることが知られている重要度の高いターゲットにとっては、悩みの種になる可能性がある」と注意を促す。
ランサムウェアのターゲットになる企業にとって、ドキシウェアははるかに恐ろしい存在になり得るとエリス氏は警告する。ビジネスの分野では、一般的なデータ持ち出し防止策がドキシウェアの活動を抑制するのに役立つ。だがデータの持ち出しは昔から解決が難しい問題だ。「予防に注力して、攻撃者に気付かれる前に問題を見つけ出すことが重要になる」と同氏は語る。
スミス氏によると、優れた暗号化とフィッシング防御も、ドキシウェアによる被害を防ぐ上で欠かせないという。「バックアップによって、人生において大切な家族写真がなくなることはない、という確信を持ち続けることはできる。だがプライベートな写真や機密文書が、インターネットで誰でも見られる状態になることを恐れる人にとって、バックアップは役に立たないも同然だ」(スミス氏)
フィッシング攻撃を防ぐためのガイドラインに従うことが、継続的に感染を回避する最善の方法になるとスミス氏は説明する。具体的には、知らない人から送られてきたリンクをクリックしたり、添付ファイルを開いたりしないといったことだ。マルウェアを1つ残らず防ぐことは不可能なので、いずれ起きる感染に備えておくのも賢明だろう。脅迫の被害者にならないようにするための方法として、同氏は保存しているファイルを全て暗号化しておくことを勧める。
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