モバイルデバイスの真価を引き出すには
「社会人なら職場にちゃんと来るべき」という“常識”がモバイル活用を阻む
企業にとってモバイルデバイスの業務利用は必要不可欠だ。それを成功へ導くには、経営者が新しい働き方への理解を示す必要がある。
モビリティ(モバイルデバイスを前提とした業務やシステムの変革)で重要なことは、単にシステムがいつでもどこでも使えることではなく、モバイルデバイスや無線ネットワークでもない。モビリティの最重要目的は、従業員の生産性向上だ。
営業、サポート、カスタマーサービスなどの部門は、その性質上モバイルデバイスの活用が進んでいる。それ以外の部門の場合、場所を固定しない仕事の仕方が生産性向上につながるという考えは、まだ比較的新しい。一方で企業のモビリティに必要なIT戦略やシステム、ツール、運用手法は進化し続けている。
従業員の生産性を最大限に高めるには、IT部門にも強力な従業員の管理戦略が必要になる。そもそも従業員の生産性向上はITの本来の存在意義であり、従業員の満足度を高めて会社に定着させることもITの役割だ。
前向きな姿勢が生産性につながる
業務へのモバイルデバイス導入を進めるには、まず「従業員は職場にいるべきだ」と考える経営者や上司の姿勢を改める必要がある。従業員から最大限の投資利益を獲得するには管理が必要だが、管理すべきは従業員の居場所ではなく、生産性だ。
一般にはコミットメント(約束)に基づく管理が最も効果的だろう。従業員は特定の企業目標の達成にコミットする。スケジュールやマイルストーン、予算など具体的で定量的な目標を設定し、それを達成できるならば、どこで仕事をするかは問わない。
この戦略は相互尊重に基づくので、信頼関係が不可欠だ。定期的なレビューやチェックインなど、それぞれの仕事に合った確認措置を実施すれば抜け穴を防ぐことができる。そうすればモビリティの生産性向上効果が存分に発揮されるだろう。
従業員の声を聞く
従業員を支援するには、ITシステムだけでなくポリシーと手順の整備も重要だ。IT部門はセキュリティなどのポリシーを厳密に定め、定期的かつ綿密に見直し、新しい脅威への対策や新技術を取り入れる。BYOD(私物端末の業務利用)のような制度は、適用範囲や目的に応じて柔軟に設定する。
ポリシーや運用規定については、従業員の意見を聞くことが重要だ。モビリティによって時間を効率的に活用でき、時間が無駄にならないことを従業員自身が実感しなければ意味がない。教育とトレーニング、定期的なコミュニケーションと改善を続けて、従業員の満足度と生産性を維持しなければならない。従業員が会社を辞めて競合他社へ移ってしまっては手遅れだ。
システム本位ではなく従業員本位に
ITツールやITシステムの改良、強化、アップグレードも従業員本位で考えよう。サポート記録を調べれば、システムが従業員の生産性を阻害していないかどうか知ることができる。新機能を求める要望の中に、面倒な手順に対する不満が現れてはいないだろうか。モバイル操作の全てを十分にシンプルで使いやすくすることが重要だ。言い換えれば、ITシステムはビジネスミッションを支援し、使いやすくて管理しやすく、安全で、従業員の負担にならないものでなければならない。
従業員が現場で作業できるようにすることは、必要不可欠でないとしても実現可能であり、顧客の満足度にもつながる。成功の鍵は、従業員を信頼し、従業員の声に耳を傾け、定期的に見直し、教育と補強を続け、前向きな姿勢を奨励することにある。
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