製品選定前に読んでおきたい基礎技術 バックアップ編【第2回】
基礎から分かる、企業システムに求められるバックアップ5カ条(2/2 ページ)
4.バックアップデータの格納先
続いてバックアップしたデータの格納先について説明する。バックアップデータの保存先はバックアップ取得元とは異なる環境(影響を受けない環境)へ保存することが大前提となる。バックアップしたデータを取得元のサーバに保存すると、そのサーバが壊れてしまった場合にバックアップデータもロストしてしまう可能性が高いからだ。これではせっかくバックアップしたデータが有事の際に利用できなくなってしまい、バックアップを取得した意味がなくなる。
バックアップの格納先はさまざまだが、今日のITシステム環境においては次の格納先が主力になっている。
- ディスク
- テープ
- クラウド
各企業のITシステム環境においては、ディスク(もしくはSSD)を中心としたストレージ機器をバックアップデータの格納先として用いるケースが一般的かと考えられる。このことから、バックアップデータの格納先として、ストレージ機器をイメージする人が多いだろう。ストレージ機器のメリットは、オンラインでデータ格納ができることと、RAID技術などによる高い信頼性を確保できることにある。
余談だが、ほとんどがソフトウェアとして提供されてきたバックアップツールが、近年ハードウェア一体型のアプライアンスとして提供されるケースも出てきている。大規模環境を保有するユーザー企業を中心に、アプライアンスを選択するケースが増えている。データ格納先としてストレージを別途用意する必要がなく、あらかじめシステム構成や設定が最適化されているので導入・実装がシンプルになる。バックアップツールを検討する場合は候補の1つになるだろう。
次にテープは昔からバックアップ格納先として使われている。現在も状況によってはバックアップデータの格納先に選ばれることがある。テープのメリットは、省電力で単価が安く、経済性が高いことだ。またテープ媒体は移動が容易なため、災害に備えた遠隔地保管にも適している。
そしてクラウドは、一般的にはクラウドストレージと呼ばれることが多い。クラウドサービスの普及によって近年注目を浴びるようになった格納先だ。オンラインで遠隔地にバックアップデータを保管できることから、災害対策を目的とした利用も視野に入れることが可能だ。また初期投資が抑えられることもユーザー企業には大きなメリットだ。
クラウドへの接続には、専用線のような安全性や安定性が高いネットワークを敷くことがほとんどだが、災害時にはそのネットワークが機能しない可能性も考慮しておく必要がある。このあたりはクラウド事業者が提供するサービス内容に依存するので、検討時には確認が必要だ。またバックアップツールによっては、バックアップデータの保管に利用できるクラウドサービスや機能に制限が掛かる場合もある。クラウドなので当然だが、データは自社外(場合によっては海外)で管理されることになるので、預けるデータの中身もしっかりと検討すべきだろう。
5.仮想環境におけるバックアップ
最後に、仮想環境におけるバックアップについて触れておく。「VMware vSphere」や「Hyper-V」を中心とした仮想化製品の普及によって、大半の企業ITシステムで仮想化技術が使われている。物理サーバ同様に、仮想環境に用意するサーバに対してのバックアップも必要になる。ここではVMware環境を例に仮想環境に対するバックアップについて考えてみよう。
VMware環境のバックアップは以下の2つが主力になる。
- VADP+バックアップツール
- スナップショット+ストレージ機能
近年、VADP(VMware vSphere Storage APIs - Data Protection)が使われるケースが多く見られる。VADPはVMwareが提供するバックアップツール用のAPIで、主要なバックアップツールはほとんどVADP経由でバックアップする仕組みを提供している。また変更ブロックトラッキング機能(CBT)を使うことで差分バックアップも可能になる。リストアに関しては、ファイルレベルやアプリケーションレベルでのリストアが可能なバックアップツールもあり、用途に合わせたバックアップツールの選択が大切だ。
ストレージ機能を利用する場合は、ストレージのレプリケーション機能とスナップショットの連係が主流になる。VADPと比べ、高速なバックアップ/リストアが可能になるが、運用面(各種オペレーションなど)はストレージ機器に大きく依存する。異機種ストレージが混在する環境では、運用負荷がバックアップツールより格段に高くなることを認識しておく必要がある。
仮想環境のバックアップは、上記以外にもさまざまなポイントがある。本掲載では一部しか紹介していないので、検討フェーズにおいては販売会社やベンダーに詳しく聞くことをお勧めする。
第2回はバックアップの種類や手法、格納先や仮想環境のバックアップについて説明した。次回は重複排除機能をはじめバックアップツールの効果的な使い方について紹介する。
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製品選定前に読んでおきたい基礎技術
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