称賛せざるを得ない仕上がりだが不確定要素も
徹底レビュー:「Galaxy S8」、Samsung史上最高の主力機種を詳しく見る(2/3 ページ)
向上したスペックと生産性
Galaxy S8とGalaxy S8 Plusに期待することが1つあるなら、それは内部機構の改善だ。ただし、これらの2機種は一連のスペックを強化するだけにとどまっていない。具体的には、新しいSamsung DeXスマートフォンアダプターによって生産性が向上している。Samsung DeXにはフルサイズの端子が用意されているため、Galaxy S8をマウスとキーボードで完全に制御可能な疑似デスクトップPCに素早く変身させることができる。このアイデアはHPが2016年8月に同社の「HP Elite X3」で実現しようとしていたことに似ている。ただし、Galaxy S8に搭載されているのは、Microsoftの「Windows 10 Mobile」ではなく、Googleの「Android 7.0」だ。また、Galaxy S8の方がより高性能なチップセットを採用しているため、そのメリットも享受できるだろう。
本稿執筆時点では、このような可変性を持たせるのがSamsungのデバイスのトレンドになっているようだ。特にAndroid製品でこうした機能が採用されているが、Samsungの「Samsung Galaxy Book」を試した際にも、ほとんど同じような機能を確認できた。とはいえ、Galaxy S8がデスクトップPCの完全な代替手段になるとSamsungが主張しているわけではないことに留意されたい。このような役割に限界があることはSamsungもよく理解している。Androidの基本的な生産性向上アプリはデスクトップモード使用時に再マッピングされる。Microsoftの「Microsoft Office」スイートは、その一例である。ただし、大半のアプリはまだ再マッピングに対応しておらず、動作はするものの、スマートフォンの形に切り取られたウィンドウでしか表示できない。つまり、スマートフォンの画面がデスクトップPCの画面に忠実に映し出されている状態だ。ただし、Web閲覧や画像編集などの機能では、サイズ変更可能なウィンドウを使って楽々とマルチタスクを行うことができる。複数のプラットフォームでコンテンツを切り替えずに済ませたいユーザーには、この機能が重宝するかもしれない。現地で写真を撮影し、それを編集して、最後に詳しい報告書をまとめなければならない保険査定員は、その好例だろう。こうした作業は全てSamsung DeXを使って簡単に遂行できるだろう。Samsung DeXは、Galaxy S8の使用時に生じ得る生産性の不足分を補うのに役立つ小さいながらも優秀な追加機能だ。ただし、追加機能として優れていても、どの程度役に立ち、どの程度受け入れられるかは、Samsung DeXの価格次第だろう。なお、Samsung Dexの価格はまだ発表されていない。
Galaxy S8の可変性と接続性についてさらに詳しく見てみよう。Galaxy S8にはSamsungの「Samsung Connect」というアプリがインストールされている。このアプリは、ユーザーが所有する全てのSamsung製スマートデバイスを簡単に接続できるようにするものだ。ただし大半のユーザーはSamsung製品を全て買いそろえてSamsungエコシステムを構築することはないだろう。そのため、このアプリについてそれほど特筆すべき点はない。だが、Samsungエコシステムを構築しているユーザーは、このアプリがあれば、ボタン1つで多くのことを制御できるようになる。具体的には、照明を操作したり、冷蔵庫に何が入っているかを確認したりすることができる。Samsung Connectを活用できるなら、ちょっとした付加価値を手に入れられるだろう。
こうした接続性はいずれも素晴らしいものだが、それを支えるだけのスペックが備わっていなければ意味がない。上述の通り、Galaxy S8ではAndroid 7.0が実行されており、強力な10ナノメートルチップセットが搭載されている。なお、チップセットの種類は地域によって異なる。米国向けモデルにはQualcommの「Snapdragon 835」チップセット、世界向けモデルにはSamsungの「Exynos 8895」チップセットが組み込まれる見込みだ。Galaxy S8には、4GBのRAMと64GBの内蔵ストレージが用意されており、ストレージは最大2TBまで拡張できる。また、バッテリーの容量は3000mAhだ。Galaxy S8 PlusのスペックはGalaxy S8と同じだが、3500mAhというより大きなバッテリーを備えている点のみが異なる。
幸い、Galaxy S8とGalaxy S8 Plusでは兼用端子が採用されていない。3.5mmオーディオジャックは残したまま、前機種でmicroUSBだった電源と接続用の端子はUSB Type-Cにアップグレードされている。そのため、端子については、それほど心配する必要はない。
バッテリーの安全性は確保され、改善されているのか
当然のことだが、ユーザーにとってバッテリーは非常に大きな問題になるだろう。ただし、残念ながら、この点については何も断言できない。分かっているのは、Samsungがより包括的な8項目にわたる検査テストを実施して、より確実に安全を確保するための対策を講じていると報道されていることだけだ。
Galaxy S8とGalaxy S8 Plusのバッテリー容量が増えていないことを残念に思うユーザーもいるだろう。Galaxy S8のバッテリー容量は、Galaxy S7と同じ3000mAhだ。一方、Galaxy S8 Plusのバッテリー容量は3500mAhで、Samsungの「Galaxy S7 Edge」のバッテリー(3600mAh)より容量が少なくなっている。ただし、新しいGalaxy S8シリーズで重点が置かれているのは、バッテリーの容量でも感動的な初期パフォーマンスでもない。長期的なパフォーマンスを重視しているのだ。Samsungによると、Galaxy S8とGalaxy S8 Plusに搭載される新しいバッテリーは、充電可能な容量が長期間維持されるように設計されているという。2年使用してもその容量の95%が維持されると同社は主張している。これが事実なら、Galaxy S8とGalaxy S8 Plusは、本稿執筆時点で市場に流通しているほとんどの競合機種よりずっとバッテリー持続時間が安定していることになる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
4
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
5
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
6
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
7
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
8
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
9
「結局使わなくなる」Microsoft 365 Copilotを半年で定着 キリンの3施策
-
10
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー