医療現場のロボット活用
「ロボティックプロセスオートメーション」(RPA)はどこで使われる? 最新事例を紹介(2/2 ページ)
OTとITが融合へ
印象的な人型ロボットのデモ(不気味な感じがするときもある)が披露されることもあるが、産業用に現在使われているロボットには、人や生き物に似たものはほとんどない。だが、一部は腕や目のような機能を果たしている。多くのロボット(製造工場で稼働しているものなど)は、以前は人が作っていた製品を組み立てる動作を行う。
物理的な実体はないが、人に代わる役割を果たすロボット技術もある。すなわち、こうしたロボットは、企業コールセンターでの着信対応など、人の代わりに知的作業を行うようプログラミングされている。
「物理ロボットは一般的に、今後も産業用途が中心になるだろう。だが、工場から企業へのインダストリアルIoTネットワークの拡大に伴い、オペレーション技術の世界とITの世界が融合し始める。データ要件が大幅に増え、ハイブリッドなアーキテクチャパターンが進化するだろう」と、451 ResearchのIoTプラクティス担当アナリスト、イアン・ヒューズ氏は予想する。
分析、機械学習、AIソフトウェアの分野で、より強力ながらもタスク指向のアプリケーションが台頭し、ホワイトカラーワーカーはその影響を受けそうだ。
「こうしたシステムの稼働状況や、ホワイトカラーの意思決定の可監査性が、規制対応が求められるCIOの責任範囲になるだろう」(ヒューズ氏)
IT部門はこの避けられない流れに備える必要がある。
「本格的なロボットではないものの、企業内で物理ハードウェアが増加しそうだ。具体的には、IoTの一部となる非常に小型のユニットが増えていく。これはロボットと同様に、IT部門が通常は直面しない機械的な問題や、接続の拡大、大量のデータ、分散処理、そして最も重要なセキュリティといった課題をもたらす」とヒューズ氏は指摘する。
医療現場のロボット活用の舞台裏
医療法人のDignity Healthでエグゼクティブバイスプレジデント兼CIOを務めるディアナ・ワイズ氏によると、同法人は10年近くロボットを使用してきた。最初に導入したのは手術支援ロボットの「da Vinci Surgical System」だ。現在使っている「Dignity Health Telemedicine Network」では、ロボットをネットワークに接続してビデオ会議的なシステムを実現している。ロボットが自律的に移動して患者のベッドサイドに位置し、医師と患者が遠隔地の専門医と画面越しにやりとりできる仕組みだ。同法人が使っているロボットは合計82台に上る。
Firstronicのブルベーカー氏と同様に、ワイズ氏も、同氏のチームは「Dignity Healthの有線および無線ネットワークが、ロボットの利用によって使用帯域幅がどれだけ増えても、対応できるようにしなければならなかった」と語る。またワイズ氏のチームは、ロボットの移動メカニズムにも責任を持ち、病院内でのロボットの移動を支える技術について高い信頼性を確保した。さらに同氏は、Dignity Healthの環境科学部門に機械の清掃を引き受けてもらわなければならなかった。Dignity Healthはベンダーと、追跡技術の実装やテストなど、多くのサービスを受ける契約も結んでいるという。
ワイズ氏は、同氏の部門をはじめ、多くのIT部門がエンタープライズITポートフォリオの中でロボット技術に対応してきたが、その進め方には、特に変わったところは見られないと語る。ロボット技術はIT部門にとって、学習が必要な新技術であり、アーリーアダプターの先駆的な取り組みから、他のIT部門も恩恵を受けられるという。
「われわれは新しいソリューションに絶えず目を配っている。変化に慣れており、ソリューションを見つけてカスタマイズし、活用に取り組むことにも慣れている。だからロボット技術への対応でも、ストレスがたまることはない。この技術がもたらすチャンスや、われわれの前進が励みになり、前向きに取り組んでいける」(ワイズ氏)
ロボット導入でも“スモールスタート”が有効
コンサルティング会社KPMGの金融サービス戦略責任者を務めるミッチ・シーゲル氏は、「金融サービス業界でもエンタープライズロボット技術が導入されている。特にコールセンターでは、Botが人のさまざまな着信対応プロセスをエミュレートするようになっている」と語る。IT部門としてロボット技術に対応しようとしているCIOは、他の新技術の場合と同様に、簡単なプロジェクトから取り組みを始めるとよいだろうと、同氏はアドバイスする。
またシーゲル氏は、ロボット技術の活用に成功している企業の多くは、企業におけるロボット技術の複雑さに対する適切な理解と対処を目的に、CoE(センターオブエクセレンス)(注)を設置していると説明する。
注:コンピテンシーセンターなどとも呼ばれる。特定の重要な技術やスキルなどを社内で推進するために設置され、調査研究、サポート、ガイダンス、研修などを行うグループまたはチームを指す。
「人々はロボットの未来的な側面に注目するが、この技術は一定の成熟度に達している。他のあらゆる技術と同様に、まず小さな成功を目指したい。素早く成果を挙げ、それによって価値をアピールできる、戦術的な技術導入を行うとよいだろう」(シーゲル氏)
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