「レーダー」で無線LANがストップ
iPad活用校、聖望学園中学校で“謎の無線LANトラブル”を招いた「DFS障害」とは?(2/2 ページ)
インタラクティブかつリアルタイムな授業を実現し、生徒の理解を手助け
安定した無線LAN接続環境を得た聖望学園中学校は、ITをどのように生かしているのか。同校が2017年4月20日に開催した公開授業の内容を基に、その実態を見ていこう。
中学2年生の数学の公開授業では、iPadを用いたアクティブラーニングの実践を披露した。21人の生徒がMetaMoJiの授業支援システム「MetaMoJi ClassRoom」を活用し、前の時間に講座形式で学んだ内容を踏まえ、一次関数をグラフにすると、どのような形になるかというクイズをグループワーク形式で進めた(写真2)。もともとスマートデバイス利用に慣れている世代ということもあり、操作に戸惑うこともなくスムーズに入力していた。
永澤氏によると、アクティブラーニング実践の際に重視していることは2つある。1つはインタラクティブであること。「この生徒はここができている、ここができていない」など生徒ごとの理解状況を把握しながら授業の進め方を変えたり、授業が終わった後や次の機会にフォローしたりできるようにする。
もう1つはリアルタイム性だ。MetaMoJi ClassRoomを活用し、生徒が書き込んだ答えを教員側のデバイスに一覧表示したり、教員からのコメントを生徒側のデバイスに表示したりする。公開授業でも、教員のデバイスからセットトップボックス「Apple TV」経由でクイズの解答を電子黒板に表示し、まだ考え中の生徒はいるかどうか、また誰が正答だったのかをすぐに分かるようにしていた(写真3)。
生徒が黙々と板書を書き写すだけで授業が終わるのではなく、生徒がデバイスを活用しながら考え、チューター役を兼ねる生徒を中心にグループ内で教え合うことで、理解を深める部分に時間を使えるようにしている。公開授業で生徒に授業の感想を聞くと「楽しい」という声が上がるなど、生徒の満足度も上々のようだ。
「起動の速さ」でiPadを選択
タブレットにiPadを選択した理由は、起動の速さだという。聖望学園中学校がLTE回線契約を結んだ上で生徒に貸与する形で、自宅に持ち帰って復習にも活用できるようにした。授業用のアプリケーションだけでなく、興味を持った生徒がさらに学習できるよう、実用英語技能検定(英検)の試験勉強用アプリケーション、簡単なプログラミングに触れられるアプリケーションなどもインストールしている。
iPadの利用に当たっては、デフォルトWebブラウザの「Safari」ではなく、セキュリティを強化したWebブラウザ「セキュアブラウザ」を導入してアクセス制限を施した。「モバイルデバイス管理」(MDM)ツールも導入し、指定のアプリケーション以外はインストールできないよう設定してセキュリティを固めた。
デジタル教材は教員自ら作成している。試行錯誤を続けながら「こんな風に使えば理解が深まるのではないか」など、折を見て教員同士でアイデアの交換をしているそうだ。
朝の自習用に利用していた紙のプリントをiPadへ置き換える。英語ならばミニテスト用に音声データを活用してリスニングを実施する。理科ならばデバイスで撮影した写真をレポートに張り付ける――。聖望学園中学校の教員は、iPadとMetaMoJi ClassRoomの機能を活用しながら、生徒の興味を引き出し、理解を深める方法を模索している。主要教科の学習だけでなく、自己紹介プレゼンテーションの実践など、思考力、判断力、表現力といった生きる力を高める活動にITを生かす工夫もしているという。
聖望学園中学校は、今の中学2年生が高等学校へ進学する2019年度を目標に、併設する聖望学園高等学校にも同様に無線LAN環境を整備し、iPadを活用した授業を継続して展開していく計画だ。聖望学園中学校・高等学校の関 純彦校長は「学校として、ITを活用して生徒の理解をどう高めるかを考え、積極的にITの導入を進めていく」と説明する。中学校での実践で蓄積したインフラ整備やIT活用のノウハウを、高等学校にどう横展開できるかに注目が集まる。
執筆者紹介
高橋睦美(たかはし・むつみ)
一橋大学社会学部卒。1995年、ソフトバンクの出版事業部(現: SBクリエイティブ)に入社。以来「Internet User」誌をはじめ、インターネット/ネットワーク関連誌にて、ファイアウォールやVPN、PKI関連解説記事の編集を担当。2001年にソフトバンク・ジーディーネット(現:アイティメディア)に転籍し、「ITmedia エンタープライズ」「@IT」といったオンライン媒体で10年以上にわたりセキュリティ関連記事の取材、執筆ならびに編集に従事。2014年8月に退職しフリーランスに。
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