過去のiOS 10.2で発生か
「iTunes」と「App Store」に見つかった2つのiOS脆弱性とは? 悪用の手口を解説
Appleの通知機能と「iTunes」の脆弱(ぜいじゃく)性を悪用すると、アプリケーション側に有害なスクリプトを挿入する攻撃が可能になることが分かった。専門家のマイケル・コッブ氏がその仕組みを解説する。
Vulnerability Labの研究者は、Appleの「iTunes」と「App Store」に2つの脆弱性があることを発見し、これを悪用するとサービスのアプリケーション側に有害なスクリプトを挿入できることを確認した。この攻撃を可能にしているAppleの新しい通知機能は、端末から情報を収集し、新しいアプリの配信開始をユーザーに通知する。どのような仕組みで攻撃が可能になるのか。Appleのユーザーはどうすれば自分の端末を守れるのか。
ソフトウェアベンダーは販売促進と既存顧客維持のために自社製品に次々と新機能を追加する。プログラムの機能変更であれ、新しいコードの追加であれ、リリースする前にロジックの欠陥や潜在的な脆弱性がないか徹底的にテストする必要がある。ソフトウェア開発ライフサイクルに過去の問題に対応する仕組みがあれば、一度発生したコーディングエラーを繰り返さずに済むはずだ。
残念なことに、「iOS 10.2」のアプリ配信開始通知機能には、以前Appleの請求書管理システムで発見されたのと同じ問題(AppleセキュリティID 623920272)が含まれていた。簡単に悪用できるようなものではないものの、Appleはこの機能を無効にせざるを得なくなった。
セキュリティ研究者のベンジャミン・クンツ・メジュリ氏がApp StoreとiTunesの請求書管理システムに脆弱性があることを発見したのは2015年のことだ。これを悪用すると請求書に有害なコードを埋め込めることが分かった。同氏はその後、Appleの新しい通知機能にも同じ攻撃が可能であることを発見した。これは新しいアプリの配信開始をユーザーに通知するための機能であり、App Storeで通知を選択したアプリについてユーザーの端末に電子メールを送信する。2016年12月15日、新しい「Super Mario Run」アプリの配信が開始されてAppleが初めて通知メールを送信したとき、メジュリ氏は自身の作成した攻撃が機能したことを確認した。
この攻撃は、iTunesアプリケーションとApp StoreのiOS通知機能に含まれる複数の脆弱性を悪用して通知メールに有害なスクリプトを挿入する。
ユーザーが配信予定アプリの「通知」ボタンを選択すると、ユーザーのデバイス名やiCloud主要メールIDなどの情報が端末から自動的に取得される。ところが、デバイス名パラメータに保存する値には検証もデータクレンジングも行われないので、これは入力検証不備という持続的な脆弱性となる。攻撃者がデバイス名フィールドに不正なJavaScriptペイロードを保存した場合、これははじかれることなく通知メール用HTMLテンプレートにそのまま挿入される。
さらに、リモートの攻撃者は標的のiCloudメールアドレスを本人の承諾なしに主要メールアドレスとして設定することができる。すると、Appleからの通知メールは標的の主要メールアドレスに届くことになる。そしてそのメールのデバイス名フィールドには攻撃者が挿入した有害なペイロードが含まれている。しかもAppleのメールクライアントもこれを検出せず、ペイロードはそのまま実行されることになる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
2
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
3
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
4
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
5
「IBM iはDXのボトルネック」は誤解 意外と知らない今風モダナイズの効果
-
6
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
7
「朝8時にバッチが終わらない」データ爆発の危機をJPX総研はどう乗り越えたか
-
8
AI導入後に発覚する「社内文書を読めない」問題 情シスは何を直せばいい?
-
9
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
-
10
「Windows 10」が入ったままの“Windows 11未移行PC”に残された延命手段
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
プログラミング不要で誰でも実現できる、ネットワーク運用管理の自動化とは
-
5
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
6
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
9
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
10
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー