事例で分かる、中堅・中小企業のセキュリティ対策【第10回】
ランサムウェア被害で中小企業が倒産? 絵空事ではない事態に備える「バックアップ」(3/3 ページ)
バックアップは“超”重要
とかく大切なものは、失ってからその重要性に気付き、後悔するものです。特に情報セキュリティ対策は「ひとごと」から「自分ごと」に意識が切り替わった瞬間に、具体的な行動に移すことができるのです。
データ破壊型のランサムウェア被害が広がる中、自社を守るために重要なのがバックアップです。情報価値がどんどん上昇を続ける現代だからこそ、バックアップの重要性を再考してほしいと思います。
オフラインバックアップ
なるべく費用をかけず、ITスキルも不要で誰でもできるバックアップ対策は、データ容量の大きいHDDなどに重要なデータを保存することです。ここで重要なのがバックアップデータを取得したHDDを取り外し、オフラインにすることです(オフラインバックアップ)。
バックアップ先のHDDを端末に接続したままでは、ランサムウェアに感染した際にせっかくのバックアップデータも一緒に暗号化されてしまう恐れがあります。データのバックアップが終了したら、必ず端末から切り離しましょう。
切り離したHDDには、自社にとって極めて重要な情報が蓄積されています。そのまま誰もが持ち運びできるのは問題ですので、保管場所にも気を付ける必要があります。例えば機密情報を保管する場所である、鍵付きの金庫などに保管するなど配慮が必要です。
情報の重要性を認識している経営者は、バックアップしたHDDをジュラルミンケースに入れ、自宅に持ち帰っているケースもありました。紛失や盗難に十分な配慮が必要ですが、これもデータの安全対策の1つです。
クラウドバックアップ
前述のオフラインバックアップに加えて「クラウドバックアップ」も有効です。その名の通り、クラウド環境にバックアップデータを退避させることです。
設定がとても簡易で、アプリケーションをインストールしてバックアップ先を指定するだけで自動的にバックアップを取得してくれるサービスや、保存できるバックアップ容量が大きくて安価に利用できるサービスなど、選択の幅はどんどん広がっています。
バックアップの世代管理ができるクラウドサービスもあり、これも便利です。ランサムウェアが重要なデータを暗号化してしまった場合でも、バックアップデータから暗号化前のデータを戻すことができるため、データの安全性が飛躍的に高まります。
社内のファイルサーバやNASと連動するクラウドサービスもあります。ファイルサーバにデータを保存すると、自動的にクラウドにデータをバックアップしてくれます。特にクラウドサービスの場合は、BCP(事業継続計画)に強いので、万が一の自然災害時にもデータが安全に守られる、という観点でも検討の余地があります。
ランサムウェア被害やディスク破損の事故に遭遇しても、データさえあればビジネスは何とかなります。ゴールキーパー不在のサッカーはあり得ないように、バックアップデータは事業継続に必要な、最後の砦です。いま一度、現在の状況を見直してみてください。
まとめ:セキュリティ担当者は、こんなふうに上司を説得しよう
- データ破壊型のランサムウェアの登場で、情報セキュリティ意識の低い中小企業の「サイバー攻撃倒産」が現実的に発生する可能性が出てきた
- 情報の価値が高まっている中で、社内のデータのバックアップを再考するタイミングである
- バックアップは事業継続の最後の砦。安価で誰でもバックアップを取得できる「オフラインバックアップ」は安全性が高い。また「クラウドバックアップ」はBCPとしても有効である
那須慎二(なす・しんじ)
大手情報機器メーカーを経て船井総合研究所に入社。ネットワークセキュリティの安全対策と解決策に詳しい。「日本一分かりやすいセキュリティ」をモットーに、中小企業を対象にしたサイバーセキュリティ問題や、対策に関する啓発活動を実施。実際に、全国の地域各社で年間100回以上開催する講演は「今まで聞いた中で一番分かりやすい!」と好評を得ている。著書「小さな会社のIT担当者のためのセキュリティの常識」(ソシム)がある。
参考リンク
「小さな会社のIT担当者のためのセキュリティの常識」(Amazon.co.jp)
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事例で分かる、中堅・中小企業のセキュリティ対策
情報セキュリティ対策をしたくても、ITに詳しい人が社内外にいなくて困っている中堅・中小企業は多いのではないでしょうか。「知識不足」と「ヒト、モノ、カネ不足」の問題が目の前にあっても、対策は待ったなしの状況。予算を握る上司を説得するために、サイバー攻撃の事例を紹介しながら、その効果的な対策につながる情報セキュリティ製品を分かりやすく解説します。
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