定番コラボツールが歩んだ道から学べること
「Slack」や「Microsoft Teams」に学ぶ、これからの遠隔医療システムに必要な機能とは
「Slack」や「Microsoft Teams」のようなコラボレーションツールは、遠隔医療システムを開発するITベンダーにとって、役に立つ教訓を提供するだろう。例えば、リアルタイムなデータアクセスだ。
何十年もの歳月をかけて、電子健康記録(EHR)の最適化、インタフェースの変化、ソフトウェアのアップグレードが進んできた。だが、EHRによって必ずしも作業効率が改善されているわけではないことを多くの医師は認めている。このような状況でテレメディスン(遠隔医療)を導入すると、ツールが直感的でなく使いづらい場合は、本格的な調査が追加で必要になる可能性がある。幸い、エラーの低減とより多くのデータへのアクセスという問題には対処されている。そのため、医療機関が遠隔医療を導入しやすくなる可能性はある。
遠隔医療の中核を担うのは、ビデオや音声による患者とのコミュニケーションだ。コンテンツの共有をすることもある。遠隔医療システムベンダーは、幾つかのコラボレーションソフトウェアベンダーから教訓を得ることができる。具体的には、コラボレーションソフトウェアの分野に影響を与えて、短期間に何百万人ものユーザーを組織的に獲得することに成功したコラボレーションソフトウェアベンダーだ。「Slack」や「Microsoft Teams」といったコラボレーションツールは、1つのツールで全てのデジタル通信方法を使用しながら、簡単かつ効率的な方法で個人ユーザーを引き合わせられることを示してきた。
Slackの特徴は、ユーザーとの対話にソーシャルメディアを使用していることだ。一方のMicrosoft Teamsは、他の複数のコミュニケーション方法を採用している。図1では、医療従事者がMicrosoft Teamsを使用してケアコーディネーションのチームメンバーや患者とどのように連絡を取れるかを示している。医療従事者は患者の最新の医療情報を確認することもできる。この図では、医用画像やスキャンした文書など、さまざまな形式のコンテンツがどのように表示されるかも見てとれる。
Microsoft Teamsには、Microsoftのデジタルノートツール「OneNote」で使用可能な機能も組み込まれている。情報を記録する担当者はOneNoteで音声やビデオクリップを記録して、ファイルに添付することができる。添付したクリップはアクセス許可を保有している者なら誰でもアクセスできる。Microsoft Teamsでは、医療従事者が自由形式のメモを取って、それを最新の記録に添付することが可能だ。
遠隔医療システムベンダーがコラボレーションツールから学べるもう1つの教訓は、ソフトウェアの拡張性を強化する統合機能の追加だ。医療従事者は、他のシステムが保有する医療データにアクセスするために、この機能を使用する可能性が高いだろう。EHRプラットフォームや研究用システムとの統合により、当事者はリアルタイムで医療データを要求して確認することができる。それから、他のシステムとの統合により、医療従事者は、経過観察のスケジュールを立てたり、検査結果や処方箋を依頼したりすることが可能になる。
遠隔医療システムベンダーが検討すべき最後の教訓は、患者と医療従事者がアクセス許可を保持している場合に、両者が履歴データと会話にアクセスできる状態を維持することだ。
MicrosoftとSlack Technologiesはどちらも遠隔医療の分野に参入するとは宣言しておらず、実際の使用事例もない。本稿で紹介した例は、遠隔医療が恩恵を得られる幾つかの機能を取り上げただけである。これらの例は、コラボレーションへの新しいアプローチが、慣例的にコンテンツ共有やビデオ会議ツールに重点を置いていた古い時代遅れの市場にどのように影響を与えたかも示している。コラボレーションソフトウェアベンダーの例に従うことで、遠隔医療の普及が進むかもしれない。
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