病院システムのなかで、botが得意な業務とは?
「病院の予約もチャットボットにおまかせ」な時代は本当に来るのか
医療機関において、予約調整、医療費請求、決済処理といった管理業務に医療用の「bot」を使うことで、さまざまな場面で業務負担が減り、人員のリソースを節約できるかもしれない。
ここ数年の間に医療業界では多くの新しい技術革新が現れては消えて行った。だがそうしたトレンドのうち、成熟して医療機関の間で広く普及するに至ったものは、一握りにすぎない。新たな展開として、「bot」(ボット。チャットボットとも呼ばれる)が医療機関の注目を集めつつあり、単なる一過性のトレンドを越えた存在になろうとしている。
botとは、WebサイトやSMS(ショートメッセージサービス)などの手段を通じてテキストでエンドユーザーと通信し、ユーザーにサービスを提供できるインテリジェンスシステムのことだ。医療用botが医療業務ワークフローの一部として定着するためには、医療用botがユーザーにどのような価値を提供できるかを定義する必要がある。
併せて読みたいお勧め記事
人工知能(AI)と仮想アシスタントの最新動向
医療を変えるデータ分析
賢いbotは人工知能や自然言語処理といった技術を活用して人とシステムとの間でより自然に近いやりとりを実現する。相手は電子カルテ(EHR)かもしれないし、検査システムや病院登録、決済システムかもしれない。
MicrosoftやIBMといった大手は「サービスとしてのbot」のプラットフォームを導入することにより、医療用botを推進してきた。現在の人工知能やクラウドや、処理能力の高度化に支えられて、医療用botは病院が現在直面している多くの課題への対応を支援できる。病院システムの中で、botに適性があって、価値を提供できる分野を以下に紹介する。
予約管理
botをスケジューリングシステムに利用すれば、患者の診療担当者の予約スケジュール管理の複雑さを低減できる。医療用botは、例えば「2週間以内の火曜日の午前中にスミス先生の予約を取ってください」といった患者からの具体的な指示に対応できる。こうした場面でbotを使えば予約スケジュール調整にかかる時間が短縮され、かかってくる予約の電話に応答する担当者を減らすことができる。予約botの利用に二の足を踏む患者は、botが携帯メールも理解できると分かれば安心するだろう。再診の予約は患者が医療機関のbotにメールを送信するだけで済む。
請求と決済処理
ここ数年で多くの医療機関が患者に24時間年中無休のホットラインを提供して支払いを支援するようになった。そうしたシステムの多くは機能が非常に限定され、支払いの支援しかできない。請求や決済を支援するbotは支払いに関するあらゆる疑問に個人が対処する方法を変革させることができる。botは携帯メールで決済を処理したり、残高に関する質問に答えたり、患者に費用を請求したサービスに関する付加的な情報を提供したりできる。これによって、どのサービスに課金されているかに関する患者の理解が深まって顧客体験が向上し、決済処理は迅速化される。
診療記録
医療用botは臨床の分野でも価値を提供できる。今でも多くの患者がWebのポータルサイトを使って自分の診療記録を参照している。そうした患者は対話式の臨床用botを使う公算が大きい。医療用botをプログラミングすれば、特定の容体の患者のための教材を見つけたり、処方された薬に関連した一般的な副作用の一覧を示したり、そうした副作用を抑える方法があるかどうかを教えたりできる。
医療用botの機能や使用事例は今後も拡大し続けるだろう。医療分野向けの人工知能や自然言語処理の進化に伴い、botも一層スマート化が進み、接続性が高まる。医療機関へのbot導入ですぐに得られる成果として、予約の電話で患者が待たされる時間が減り、予約に対応する職員への給与支払いに伴うコストが削減できることが挙げられる。こうした医療用botのアイデアは有望ではあるが、この技術はまだ新しく、規制の対象になる可能性もあるなど広く普及するためにはさまざまな課題が待ち受けている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
4
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
5
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
6
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
-
7
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
8
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
9
LLMの「過学習」、正しく説明している文章はどれ?
-
10
レガシー基幹システムをSAPに統合 山善が突き止めた「標準化と個別最適」の境界線
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー