FacebookやMicrosoftも参入
人工知能(AI)をビジネスに活用する「冴えたやり方」(1/2 ページ)
現在の人工知能(AI)技術を取り巻く実情を評価する際、企業はオールマイティーなツールを求めるのではなく、特定のタスクでAIを機能させる方法を考えなければならない。
人工知能(AI)利用の市場は、大きな将来性により活気に満ちている。しかし、業界のアナリストによれば、AIテクノロジーの機能とビジネス価値を現実的な視点で捉えて、その将来性への期待値を下げる必要があるという。
「この状況は世界中の想像力を引き付けているようなものである。だが、AIへの過剰な期待は危険だ」とForrester Researchでアナリストを務めているマイク・グアルティエーリ氏は語る。
コンピューティングの黎明(れいめい)期から、AI利用にまつわる話は常に早くから一種の興奮を呼び、大げさに宣伝され、お決まりのように頓挫してきた。約10年ごとに起きる計算能力の進歩によって、人間の思考の一部を再現できる機械の実現も間近ではないか、という推測がなされてきた。だが、その度に、そうした課題は困難を極めることが判明し、AIテクノロジーは時期尚早であると結論付けられてきた。
現在の状況がこれまでと違うのは、ストレージが安価になっていることだ。安価なストレージにより、企業は、データを大量にしまい込むことができる。これは機械学習アルゴリズム、つまりAIの背後に存在する「脳」のトレーニングに欠かせない。それと同時に、そうしたデータを、ほぼ瞬時にアルゴリズムで処理できるところまで計算能力は向上している。また、クラウドコンピューティングの成長により、中小企業もサブスクリプションモデルを通じて高速なAIツールにアクセスできるようになっている。AIツールを自社で構築する必要はない。こうした要素が組み合わさった結果、多くの業界関係者は「幾つかの重要な条件が満たされれば、今度こそ本格的なAIが実現するかもしれない」と口をそろえる。
AIプラットフォーム戦争
AI分野の大手企業の多くは、AIソフトウェアを直接販売するのではなく、プラットフォームとしてAIテクノロジーを提供している。自社で機械学習と自然言語処理のコンポーネントを管理しながら、そのAIエンジンを基盤にして顧客がアプリケーションを構築できるように提供しているのだ。AI市場では、主にプラットフォームのアプローチ領域で競争が繰り広げられることが予想されている。
2016年4月、Facebookは同社の「Messenger」アプリのAIエンジンを使用して企業がチャットボットを構築できるようにすると発表している。また、Microsoftも2016年3月に同様の発表を行っている。IBMは、「IBM Watson」を開発者向けに提供して以来、AIプラットフォームの分野で大手企業の1つになっている。これまでIBM Watsonを使用して、さらにスマートな旅行計画アシスタントや、商品推奨エンジン、健康トレーナーが開発されている。
IBMでWatsonコアテクノロジー部門の統括責任者を務めるジェロウム・ペゼンティ氏は次のように語る。「数年後には、この種のスマート仮想アシスタントは当たり前のものになるだろう。当社は、Watsonがそうした流れの中心的存在になることを期待している」
「顧客との関係の新たな幕開けを迎えており、今がその始まりだと考えている。企業による顧客との関わり方に変化が起こっている」(ペゼンティ氏)
AIプラットフォーム市場の一端を担おうとしているのは、大手テクノロジー企業だけではない。IDCで認識システムの調査を担当するリサーチ部門のディレクターを務めるデイビッド・シャブメル氏は、現在、何らかのAIプラットフォームを提供している25~30社を追跡調査していると語る。
将来、AIプラットフォーム市場には4~5種類のプラットフォームが残るだろうとシャブメル氏は考えている。だが現時点では、非常に多くのプラットフォームが開発されており、そのため、どのプラットフォームが支持され、どのような機能が顧客から求められているのかは不明瞭だ。
「AIプラットフォームもゆくゆくは統合されるだろうが、現在は開拓の段階だ。プラットフォームに関しては、統合が次の大きな戦いになるだろう」(シャブメル氏)
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