米国で年間6000億ドルの損失
深刻化する医療詐欺、“予防”に役立つ3つの分析手法(1/2 ページ)
データ分析は、医療詐欺対策に役立つ効果があることが証明されている。そして、その予防的手法は幅広い業界に恩恵をもたらす可能性がある。
医療詐欺は新しい問題ではない。1996年、ハーバードケネディスクールのマルコム・K・スパロー教授は著書「License To Steal」で、さまざまな手法の医療詐欺について、非常に幅広い説明を行っている。同書では、実際に記載のサービスを提供していない健康保険の不正請求を送ることで、自動化された医療請求手続きのフレームワークがどのように悪用されて、不適切な支払いを得たかについて解説している。
医療詐欺の深刻な実情
政府機関から詐欺行為者に支払われているという問題が深刻になった結果、不正請求を行った個人や組織に法的責任を課す「虚偽請求取締法」の可決につながった。それでも問題は増え続け、医療詐欺の防止や発見に対する医療業界の取り組み不足が露呈することになった。健康保険会社に対するサイバー攻撃が続いた結果、無数のデータ侵害が発生し、何千万人もの個人情報が流出した。この状況によって、米国保健福祉省により「HIPAA Breach Notification Rule」が作られたものの、不正請求に悪用される可能性のあるデータの山が存在しているのが実情だ。
米国では、年間の保険医療費の総額が約3兆ドルであるのに対し、「メディケア(※)」と「メディケード」の支払額は1兆ドルを上回る。RAND Corporationが2012年に実施した調査で医療に関連する不正および無駄に使用された合計額を見積もったところ、最低でも総医療費の20%を上回ることが示唆されている。これは、不適切な医療支払いが年間で推定6000億ドルに上ることを暗示している。
※1. 65歳以上の高齢者と一部の体の不自由な人については、比較的安価な保険料で加入できる公的医療保険システム
※2. 連邦と州が負担し、州が運営する低所得者向け医療費補助制度
従来、医療保険支払者は詐欺対策として“支払った後に追跡”を行っていた。これは、不正請求者を特定し、その後を追い、不正支払の返還を要求する方法である。だが、この手段は効果が薄いと考えられている。その大きな理由は、ターゲットになるのが、個人だからだ。犯人の特定や返還要求は不可能でないにしろ難しいと思われ、返還要求を行うころには犯人が既に行方をくらましているからだ。また、前述の推定値は低く、かなりの数の詐欺犯罪が明らかになっていないと考える専門家もいる。
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