超高速ネットワークの挫折と復活【第2回】
25G/40GBASE-Tの普及を阻む「大きすぎる消費電力」(2/2 ページ)
超高速ネットワークへの挑戦その2「さらに高速な規格」
データ伝送速度25Gbpsの「25GBASE-T」や40Gbpsの「40GBASE-T」も、2.5GBASE-Tや5GBASE-Tと同様に10GBASE-Tが基本になる。25GBASE-Tも40GBASE-Tも、16PAMを利用した4bitの同時伝送と、128DSQの変調方式を利用しており、異なるのはクロック信号の周波数だけだ。10GBASE-Tは200MHz相当だったが、25GBASE-Tは500MHz、40GBASE-Tは800MHzと今度は信号周波数を上げている。信号周波数を引き上げると長距離の伝送は難しくなるため、ケーブルは「カテゴリー8」のみをサポートし、また伝達距離は最大30メートルに制限している。30メートルでもサーバルーム内のラック間接続ならば何とかなる。
規格の標準化は2016年に終わったが、準拠した製品はまだ存在しない。この理由は2つある。1つは10GBASE-Tですらコントローラーの消費電力と発熱が大き過ぎてその対処に苦労しているというのに、動作クロックを2.5倍または4倍に引き上げたら、製品に搭載するのはほぼ不可能という理由だ。現在10GBASE-Tのコントローラーは主に28ナノメートルプロセスルール(半導体の基本配線の太さを定めた条件)で製造しているが、速度を2.5倍なり4倍に引き上げながら、消費電力を同等に抑えようとしたら、14または16ナノメートルのFinFET(立体型のトランジスタ構造)プロセスルールでもかなり厳しい。最低でも7~10ナノメートル世代のFinFETプロセスルールか、GLOBALFOUNDRIESの12ナノメートル FD-SOI(完全空乏型Silicon On Insulator)クラスを採用しないと実用的な消費電力でイーサネットコントローラーを作るのは難しいだろう。そのため、早くて2019年から2020年まで、25GBASE-Tや40GBASE-Tのイーサネットコントローラーが出てこないことになる。
もう1つは、40Gbps程度でよければ、既に「InfiniBand」が利用できることだ。FDR(Fourteen Data Rate)という構成だと1レーン当たり10Gbpsまたは14Gbps(実効9.7または13.6Gbps)で、これを4対束ねれば40Gbpsまたは56Gbps相当になる。実際、この40または56GbpsのInfiniBand用インタフェースカード(HCA:ホットチャネルアダプター)や対応スイッチは広く販売されており、価格も手ごろになってきている。InfiniBandはさらに高速な「 EDR」(Enhanced Data Rate、レーン<信号線>当たり25Gbps)や「HDR」(High Data Rate、レーン当たり50Gbps)も用意しており、これらに対応した製品も販売されている。そのため「今すぐ使いたい」というユーザーは既にInfiniBandを導入するか光ファイバーでの接続を利用しており、25/40GBASE-Tを待つという話はほとんど聞かない。25GBASE-Tにしても40GBASE-Tにしても、まだまだ前途多難であるといわざるを得ない。
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超高速ネットワークの挫折と復活
ITシステムが扱うデータが爆発的に増大している今、超高速ネットワークへの期待は大きい。しかし10Gbps級ネットワークの普及は遅れている。その原因と克服への挑戦を追う。
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