IT部門の選択肢は
「オブジェクト対応NAS」で再確認したオブジェクトストレージの利点(3/3 ページ)
オブジェクト対応NASシステムのベンダーリスト
次に、オブジェクトに対応したNAS製品を提供しているベンダーを紹介する。現在出回っている製品は2つのタイプに分類できる。1つは、NAS環境を改善し、オブジェクトストアを意識させないオブジェクト対応NAS製品だ。もう1つは、NASとオブジェクトを統合したハイブリッド型製品で、どちらのプロトコルでもデータにアクセスできる。
オブジェクト対応NAS製品を提供しているベンダーの1社がNasuniという新興企業だ。同社はAmazon Web Services(AWS)の「Amazon Simple Storage Service」(Amazon S3)をバックエンドストレージとして利用したクラウドベースのグローバルNAS製品を提供している。同様のアプローチを採用しているのがExablox(現在はStorageCraftの子会社)だ。同社のスケールアウト型「OneBlox」システムは、ファイルコンテンツを保持する分散型オブジェクトストアリングを使用し、スマートファイルバージョニングやスナップショットといった興味深い機能も提供する。OneBloxはオブジェクトをチャンクに分割する。チャンクは重複排除機能を提供するが、ユーザーからアクセスすることはできない。
市販のオブジェクトストアソフトウェアとしては、ベンダー独自の各種製品が出回っている。以下にその一部を紹介する。
- Scalityの「Scality RING」は、「SMB 2.0」と「NFSv3」をサポートし、Microsoftの「Active Directory」とも連係する。プロトコルのサポートは、RINGプラットフォーム上で動作するネイティブサービスである「コネクター」によって実装している。
- Caringoの「Filefly」は、同社のオブジェクトストア「Swarm」を拡張するファイルサービスを使ってNASプロトコルをサポートする。また、同社の軽量型インタフェースの「SwarmNFS」は、Swarmオブジェクトストアに保存されたデータに「NFSv4」経由でアクセスすることを可能にする。
- DataDirect Networksのオブジェクトストア「WOS」では、「NoFS」という機能を使ってファイルコンテンツにアクセスする。同社によると、NoFSは伝統的なファイルシステムと比べて保存容量を15~20%ほど節約でき、I/Oトラフィックも大幅に減少するという。
- 日立データシステムズのオブジェクトストア「Hitachi Content Platform」では、「HCP Anywhere」を通じてNAS方式でアクセスする。HCP Anywhereのカスタムアプリケーションを使えば、モバイル端末からコンテンツにアクセスできる。
- Cloudianのオブジェクトプラットフォーム「Cloudian HyperStore」では、「Cloudian HyperStore Connect for Files」を使ってファイルにアクセスする。同製品は、グローバル名前空間やファイルロッキングなどの標準NAS機能を提供するステートレスなアクセスポイントを備える。
標準NASのサポートを提供するオブジェクトストレージベンダーに加え、Avereの「Avere FXT」のようにオブジェクトストアへの接続を可能にするファイルゲートウェイ製品も存在する。だがこうした製品は、両方のプロトコルを通じてデータにアクセスできるわけではない。バックエンドのオブジェクトストアが独自形式でデータを保存する可能性もあり、その場合はオブジェクトレベルでデータにアクセスすることはできない。
最後に、オープンソースの選択肢についても触れておこう。「Ceph」は、オブジェクト、ファイル、ブロックの各ストレージ形式をサポートするスケールアウト型プラットフォームの基盤としてオブジェクトストレージを使用するが、(現時点では)同じデータを複数のプロトコルから直接アクセスすることはできない。「OpenIO」は各種のストレージプロトコルをサポートし、ARM搭載ハードウェアなどの汎用型ハードウェアに配備できる。「ナノノード」という手法により、個々のHDDをストレージサーバとして利用できるようにする。
データアナリティクスに有効
オブジェクトとファイルの組み合わせはアナリティクスに最適だ。従来のNASプロトコルでデータを保存し、オブジェクトまたはHTTPを使ってバンクエンドでアナリティクスを行えば、オーバーヘッドやパフォーマンス低下を最小限に抑えられる。データのリード/ライトをイミュータブル方式で行うのであれば、オブジェクトプロトコルはファイルロッキングなどのデータ整合性維持機能を必要としない。これにより、ファイルシステムのオーバーヘッドが減少し、パフォーマンスが向上する。
オブジェクトストレージとファイルストレージの間の境界線がぼやけつつあるのは明らかであり、両者を統合することが理にかなっているユースケースは多い。オブジェクトレベルのストレージは従来のNASストレージよりも実用的な方式であり、効率と地理的柔軟性にも優れる。そう遠くない将来に、全ての非構造型ストレージアプライアンスでオブジェクト&ファイルアクセスが標準のネイティブプロトコルになるものと予想される。
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