クラウド利用にも実は必須
「テープバックアップ」はZ(ゼタ)Bを超えるといわれるクラウドのデータ保持にも有効(2/2 ページ)
アクティブアーカイブとオブジェクト指向ストレージ
アクティブアーカイブに関連する情報として、オブジェクト指向ストレージにも触れておこう。オブジェクト指向ストレージは、データを階層ではなく1つ1つの部品、つまりオブジェクトとして扱う考えである。拡張性が高く、分散管理も可能で、大容量のデータつまりビッグデータを扱えるのが特徴である。ビッグデータを扱うためには、テープなどの既存のストレージでは処理しきれなくなっており、分散処理に向いているオブジェクト指向ストレージが必要だ。
TechTargetでの記事(What cloud analytics tools can help process and visualize data?)では、Amazon Web Services(AWS)でのビッグデータ分析には支援ツールがあると述べている。分散処理用オープンソースのHadoop、同じく分散処理用オープンソースのSpark、Splunk EnterpriseのSplunkなどである。これらのツールはオブジェクト指向ストレージの仕組みを利用して動作している。
Amazon Simple Storage Service(Amazon S3)など、クラウドで使用しているデータアクセス規則(プロトコル)もオブジェクト指向ストレージ用に最適化されている。このため各社が保持しているアーカイブデータもクラウドで使用しているオブジェクト指向ストレージに格納することになるだろうと私は推測する。
クラウドでも実はテープを使用
実はクラウド提供企業でもテープを使う。2025年までに100Z(ゼタ)Bを超えるといわれるデータを保管する唯一の手段がテープだ、というのがその理由だ。データをクラウドに移行する際、または保管されているデータを適切なタイミングで取得するために利用できる帯域幅が制限されていることも理由に挙げられていた。少ない帯域幅を消費しないようにネットワークを経由するのではなく、テープを使ってやりとりする。データをテープに取り込み、そのテープを物理的にクラウド提供企業に送ってアーカイブとして格納する手法だ。
テープはオブジェクト指向ストレージとして利用する媒体には向いていないという主張があるかもしれない。だが、私は反対の意見だ。「Linear Tape File System」(LTFS)というシステムがある。これはテープをHDDやフラッシュメモリなどと同じように1つのファイルシステムとして利用できるものだ。LTFSは、動画、人間のゲノムデータ、石油やガスの探査遠隔測定など、1つ1つの情報が長いファイルを記録する安定した方法である。このようにテープであってもオブジェクト指向ストレージとして適した使い方ができるといえる。
冒頭で触れたインターネット記事で例に出ていた、テープでは映像作品の制作には問題がある、という点についても現在よりも速度向上が見込める。テープを扱っている企業StorageDNAなどの研究により、テープのデータアクセス効率を現在よりも大幅に向上する見込みがある。カートリッジをマウントした後のファイルの開始位置への検索(シーク)速度が最大45ミリ秒というのは、現在のアーカイブメディア(ここではテープを指す)としてはそれほど悪くない。
テープは現在でも有効な選択肢である
テープ不要説は、1980年代後半から存在している。最初にディスク、次にRAID、ストレージエリアネットワーク(SAN)、そしてクラウドがテープに取って代わろうとしてきた。だが、テープが無くなることはなかった。そして近いうちに無くなることもないだろう。
テープについて興味があれば、StarWind Softwareという企業を調べてほしい。StarWind Softwareは、ソフトウェア定義ストレージ(ソフトウェアによって環境設定をするストレージ)や仮想SANなど新しいストレージの取り組みに熱心だ。同社が販売している製品で仮想テープライブラリ(VTL)というものがある。VTLは、テープの役割を再現(エミュレーション)するソフトウェア定義ストレージの製品だ。VTLは、仮想テープライブラリだが、物理的にテープもサポートしている。このため顧客はテープにデータを書き込み、そのテープのデータをMicrosoft AzureまたはAmazon Web Servicesに移行することもできる。
このようにクラウドや仮想化技術の利用が進む中でも、まだまだテープを使った戦略を組み立てることが可能だ。私たちはテープを有効活用する戦略を立て、適切にデータを管理することで、今後津波のように押し寄せる大量のデータに飲み込まれないように準備を進める必要がある。
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