IoT時代に求められる低コストと大容量
徹底解説:一度は消えかけた「テープバックアップ」が復活した理由(1/2 ページ)
不当な非難を受けていたテープベースのバックアップが、現代に復活しようとしている。企業にとってテープが優れたデータバックアップの選択肢になる3つの理由を紹介しよう。
好き嫌いはさておき、企業データの最終的な保存先が磁気テープになる可能性は高い。Linear Tape-Open(LTO)メディアカートリッジの出荷台数を見ると、NANDフラッシュアレイやNVM Expressアーキテクチャの時代になっているにもかかわらず、テープバックアップシステムの利用は拡大し続けている。
業界団体のLTOコンソーシアムが発表した報告によれば、2015年には約7万6000PBの圧縮データがテープに保存されたという。この数字は前年比17.5%増だ。また、2000年にLTOテープカートリッジが登場して以来、38万5000PBを超える容量が出荷されたとも伝えている。
併せて読みたいお勧め記事
テープストレージで注目の最新技術
- 「LTFS」「BaFe」などの新技術で再注目、「テープストレージ」から目を離せない理由
- オールフラッシュ支持者が知らない「テープ」の優位性、SSD併用で利用拡大も
- SSD万能時代、それでもテープは残ると専門家が考える理由
テープがベストとは言い切れないバックアップ関連技術
Fujifilm Recording Media USAの代表取締役を務めるピーター・ファウルハーバー氏によると、LTO Ultrium 7(LTO-7)規格は継続的に世界中で大きな利益を生み出しており、販売されたテープ容量の記録更新を後押しているという。さらに重要なのは、テープユーザーの多様化が進んでいることだ。
富士フイルムは2009年から毎年「Global IT Executive Summit」を開催している。その出席者には、商工業界の大手各社だけではなく、クラウド時代の新興企業までもが名を連ねるようになっている。
「このイベントには主要なクラウドサービスプロバイダーがこぞって参加し、自社のクラウドデータセンターでテープがどのように役立つかについて、詳しい情報を得ようとしている」とファウルハーバー氏は話す。
Horison Information Strategiesの代表取締役を務めるフレッド・ムーア氏などのアナリストや業界関係者は次のように指摘している。テープの用途はデータのバックアップ手段からアーカイブ用ストレージという役割にシフトしている。アーカイブ用ストレージは、テープベースストレージの豊富な容量と耐久性の高さに加えて、極端に低コストだ。だが、2016年6月に国際標準化機構と国際電気標準会議により「Linear Tape File System」(LTFS)フォーマット仕様(ISO/IEC 20919:2016)が採択されたことで、テープバックアップシステムに関するそのような推測がひっくり返る可能性もある。
問題の原因はテープ自身にはない
テープバックアップをやめて他のデータ保護方法を採用した企業に対して、その方法を選んだ根本的な理由について説明を求めたとしよう。すると、その返答の多くはバックアップソフトウェアの複雑さや非効率性に関するものになる。バックアップを作成するには、エージェントと共にアプリケーションとストレージのインフラ全体に機器を取り付け、データコピー処理のスケジュールを設定して、バックアップデータストリームを処理するネットワークをプロビジョニングする必要がある。さらに、テープストレージキットの正確な操作も欠かせない。最後に、書き込み済みテープをテープシステムから取り出して箱詰めして、オフサイトのストレージに発送する「人の手で行う」手順が必要になる。
テープバックアップシステムの問題の多くは、いわゆる「カーボンロボット」が原因だったと業界関係者は主張し、担当者のミスに言及している。例えば、バックアップソフトウェアが不適切にインストールされたり運用されたりしていた。こうしたソフトウェアは一般的な担当者では導入できないほど複雑で、構成を誤ることも少なくなかった。実際、テープバックアップの概念は全体的として次のように厄介なものに見える。
- プライマリーストレージからブロック、ファイル、オブジェクトデータを取得する
- 使用しているバックアップソフトウェアからしか読み書きできない専用ソフトウェアコンテナにデータをカプセル化する
- データを線形メディアに書き込むため、非常に大規模なデータセットの場合はカートリッジ数が多くなる
- 必要に応じて、バックアップデータを読み取ってネイティブファイルやオブジェクトシステム形式に変換する
これを大変な作業のように感じる者は多い。
一部のディスクベンダーが1990年代後半に主張したこととは異なるが、テープバックアップシステムからデータを復元するときに起こった問題で、テープテクノロジーが本当に責任を負うべきケースはほとんどなかった。ハードウェアやメディアに関する問題が発生した場合、その根本的な原因はテープメディア、テープドライブ、テープロボットではなく、ユーザーにあった。バックアップを復元できなかった場合、そもそもユーザーが損傷したテープを使用してバックアップデータを記録していた可能性が高かった。これは、誤った扱い方をしたカートリッジを使用していたということだ。また、清掃やメンテナンスを適切に行っていないドライブを使ったことで、テープに書き込んだデータが破損した可能性も多くあった。
多くのユーザーの不満が粗悪なバックアップソフトウェアに起因していた可能性もある。にもかかわらず、テープテクノロジーはいわれのない非難を受けていた。そして、大容量ディスクドライブの価格低下と大容量ディスクドライブでディスク間のデータコピーが比較的簡単に行えることが相まって、1990年代後半にはテープはユーザーの支持を失っていた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣 -
製品資料
[サイボウズ株式会社] AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
【漫画付き】ひとり情シス協会が明かす、RAG導入でしくじる企業「2つの共通点」
-
4
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
5
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
6
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
7
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
8
BMWも導入 78兆円市場に化ける「フィジカルAI」の衝撃
-
9
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
10
「AI活用を前提とした業務PCへの移行」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー